パロールとエクリチュール
時代によって顔が変わるというので 何が
何が と聞いてみたら雛人形の話で 昔はの
っぺりだけど 今は今風で どんな 目がぱっちり
盛られてるとか いや そんな 三人官女が
イケイケとか 何それ お雛さんが片肩脱いで
るとか それじゃ違うよ トオキンだよ 遠山の
金の事ね ああ山の金 でも今 女子の服で
鎖骨のあたりに穴 ああ あるね 首があるの
に鎖骨に穴が開いてて あの 素肌がちょっと
見えてるやつね ああいうの着てる 肩だけ
生地がなくてさ そこだけ空いてる ひざ丈の
十二単でさ それはないな でも 日本人形
怖い そういえば何度も話したけど 熊本出身
の後輩で あ それきいたことあるような なんだ
っけ いや 少し度が過ぎたような 病的でさえ
あるような不思議ちゃんで 髪の伸びる日本
人形を押し入れにしまってある 帰省してさ
人形がどうなってるか聞いたらさ お母さんが
見せてくれんとです って ああその話か 聞いた
きいた 百万回聞いた 今 百万一回目きいた
私と娘と妻の三人の言葉が混ざっている これは
今読んでいる現代思想入門風に見て パロー
ルとエクリチュールなのだろうか という事で
この会話の合間には(笑)や息継ぎや さらに
バックにはテレビが流れていてそれら一つ一つ
を細かく描写していくと多分ヌーボーロマン風
になりそこなったり ぬ~べ~ とうつと伸ばす
音が勝手に波線に変換されるところがミスタイプ
から面白く 何とか先生ヌーベーという何かが
あったっけという記憶の まあ そんなの澱みた
いなもんだね 鯔もんだね 何蛸れ なんだ
これ 結局はミドルセンチュリー生まれは何だ
かんだポスト構造主義の世代という訳でそれなら
ば絶対への忌避感もまあ納得というか すっかり
滲みこんでいて 外しというか 敢えてのギリと
か すっかり逃げ道としても板に付いちゃってて
さ 逃げ道ってつまり花道とは違う道で 所詮は
登る山だって低い丘になるってもんだ で何
こころとカラダの二点対向にワセダと馬場の
関係性とは労働集約型の産業構造に何らか
秘法が託されているような (笑) つまりは
鎖骨のところに空いている穴の服から見えて
いる地肌の部分が素顔だという事です