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一日の昼間が終わる・川べりまでの朝晩の
一日の昼間が終わるころ
散歩をしようと川べりまで歩く
途中であらゆる不本意への呪詛を
吐き捨てながらマスクの中で
ぶつぶつ口を動かしながら歩いた
信号を渡り石の階段を上ると
土手から川が見下ろせた
たいしたことのない川だなと
吐き捨てて妙に気分が高揚し
河口まで20キロ走る気になって
ボクシングのふりをしながら
走って川を下って行った
自分の考えを表現することは
はしたない
それをあえてする恥ずかしさを
自覚しておきたいぜ
川べりまでの朝晩の散歩が
習慣になるということもなく
思い出したように川に来ては
決して深くもない藪を分けていく
一人分ほど空いている釣り座に
鮮やかな浴衣が干しもののように
拡げてあった 朝顔のプリント
朝顔の実物 朝顔のむらさき
浴衣の中身も朝顔だから
陽が高くなるにつれすぼんで
藪の中で目立たなくなる