貧富と品質
貧富と品質
笑いごと
なんだけどね
ひととき
文学について
思い詰めて
悩みぬいて
もう何が何だか
わからなくなってしまい
そんな月日を
十年単位
ま
個人的なものだから
どうでもいい
別に
今
納得している
訳でもないし
自分の書いたもの
読み返してみたりして
いまならここ
こう直すな
と
はじめのころの方が
かけてた
推敲で
余生を
過ごす
などと
寡作
という言葉
甘美に
感じたり
と
おまえ
大作家か
と
笑いごとなんですが
吉田一穂
という
詩人がいて
書いた詩を
とにかく直す
というか
削る
短くなっちゃう
イメージの
原型
だけ
並んだような
それで
詩集は
長い間に
5冊だけ
一冊で
終わる人もたくさんいるから
そういう人でも
詩人を名乗って
ライター
なんかしてたりするから
私の知る限り
男性で
そういう人
いませんね
他意はない
私が見られた
範囲でだけね
一穂先生は
喰えなければ
童話を
書けばいい
と
言った
ちいさな
家を郊外に
たてた
童話の
売り上げで
建てたのだろうか
トラピスト修道院
北海道に
ある
詩人の
出身地
白鳥の
詩を書いた
白鳥は
来る!
と
書いた
このころは
詩を読む人も
限られては
いなかったかも
と
少し
想ったが
いや
昔から一貫して
詩で喰えた人なんか
いない
そんなに
世の中
楽園じゃない
で
私
悶々としながら
千葉県を
回っていた
給料は
よかった
一穂先生は
清貧
でも
お茶は玉露
熱いお湯で
濃く苦い
台無し
千葉県は
あたたかい
畑
田んぼ
雑木林
工場
ささやぶを
ぶった切って
新しい道を
通しても
通る車などわずか
そういうところで
書くことについて
よく考えた
空は
冬晴れ
子供を育てて
子は育ち
今
質はともかく
毎日書いていられるよ
芸事に賭けて
だめだった
極貧に
甘んじる
みたいなことは
ない
貧富と品質
関係ない