酒肴としての文
酒肴としての文
とある詩人が
詩集を肴に
ハイボールを吞んでいた
酒肴としての
韻文
あり
なのかな
酒肴としての
短い書き物
私は
何を読みたいだろう
人生をうたう
恋人をうたう
故人をうたう
過去をうたう
違うな
月並みすぎる
下戸に限りなく
近い私は
小さな
字で酔う
暗くも
明るくもない
何も言わない
ためにならない
誰かが
本当にしていた
会話など
文字起こしして
読んでみれば
ああ
本当に何も言っていない
人は
何も言ってない
言葉にしても
半分は
言葉にすらなっていない
はー
とか
ふっ
とか音だけ
だけれども
これが
薄めたアルコールには
よく合うんだな
何も
頭に残らない
残らないのは
上等な
酒なんだよな
いいワイン
下戸には
翌朝にわかる
何も
言わない
文章が
書きたい
書いてあるようで
端から
ばらけていくような
何か思うかもしれないけれど
他もこともみんな一緒に
読んだ人が
まっさらになる
私の人生に
酒は特に
要らないかな
もう
禁酒という意識もない
それでも
読むことと
書くことは
どうしても
要るな
どうしてだろ
そんなに
大切だと気が付かなかった
酒より
文
人と
自分の
考えたこと
でも
すっかり忘れる
いつか
忘れて
短く
何文字かが残る
最期の前には
酩酊のような
どんな文字
集める
だろうか