白蝶貝の使い方
今は使わなくなって久しいけれどボールペン
勤めの時は何度かインクが出なくなるまで使い
切った 軸が透明でないものは使い切るまで
インクの残量がわからない 急にメモの途中で
書けなくなる 手書きをほとんどしなくなったが
しかし物質としてのペンがほしい
先般 巨大ホームセンターで穴の開いた丸木
を買った 中にペン軸を仕込んでオリジナルの
ペンを作ろうと思った 穴の見当をあてずっぽ
うにつけて ペンとしては少し太すぎるくらいの
白木の丸木で 一度買ってからその後に白蝶
貝の粉末を買い足した 一番細かいものから
二番目の粒子にした あまり大きな粒だと飾り
塗りには難しいそうだと思って 薄いグリーン
というか煎茶のような色の老眼鏡も買った 今
百均の眼鏡をかけているができればもっと高級
に見える眼鏡が欲しかった 作ったりもしたが
結局汎用の安物でしか目に合わなくて 以前
そこで買った老眼鏡が辛うじて百均以外でつ
かえる眼鏡だったから あれば買おうと思って
いた ボストンタイプというのか丸いプラスチック
のフレーム と言っても1500円だから高級に
見えるかわからない 意外に眼鏡は気にかけ
られないように気がする かけているかかけて
いないか そこだけで
まずは白蝶貝で飾り塗りした竿をこさえた 持ち
手に塗りこめてゴーヤみたいにギザギザを研い
で行くと 意外にも柔らかく研げていって 研ぐ
にしたがってピンクや銀や 色々な反射を見せ
はじめ 本当ならば透き漆でその反射を薄茶に
落ち着かせるところを派手に歌舞いて目立たせ
て 粋でないことこの上ないが所詮は川向こうの
土交じり これでいいやと開き直った
中一日置いてペンをこさえた 断続的に一日
やった 緑 貝 緑 金 朱 緑と色を重ねて
研ぐ前にはまっすぐな胡瓜のようだった 土管の
みたいな軸なのでペン先とペン尻にすこし曲線
を彫っていって ヤスリで目塩梅にペンの型を
切った こちらも派手な仕上がりだったが そこに
無印良品で買ったやすいゴムの滑り止めのつい
たボールペンの フックの部分を切って穴に差し
込むとちょうどいい太さに嵌まった 尻と先が
プラスチックだと全体的にラメの太軸がヴィレッシ
バンガードに売っている筆記具のように見えて
和とプラと天然ラメと ちぐはぐな組み合わせが
粋なのか丸出しの野暮か
塗りと研ぎを繰り返してどこか達してしまった 実
のところ全然成り立っていないのに 納得の
出来ではないのに達する その放心が来てし
まう キューカンバーペン と名付けた 白蝶貝
の使い方は意外と難しい 派手に光らせれば
いいというものではなかった それを知れたから
よかった
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