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文章の運動

舌が痛い 弁天様でのどが渇いて飴を舐めた
直後から痛み始めてもう三日目になる 舌の
付け根が少し傷になっているようで 塩辛いも
のと熱いものに悶絶している 口をきくのも辛い
経験上では突然直る 口の中の傷 今回もそ
れを願っている 妻の元の勤め先の先輩から
苺が届いた いつも冬の終わりに送って下さる
外房の海に近いと言えるところに住んでいて
お返しにこちらは夏 梨街道で梨を買って送る
コロナ以降梨街道の梨は人気があって 天候
不順もあり品薄で 昨年は送りはぐれた 何か
を贈り合うという行為は私が人のすることのな
かで最も美しい行為の一つと思っていることだ
何かを贈りたいと思える人がいることのなんと
素敵なことだろうか そう思ってもらえるという
のも有難く かけがえなく 残念ながらそう思い
も思われもせず久しく過ぎた

苺は大粒で甘い スーパーの小粒のとは違っ
て口いっぱいに頬張ると 舌の付け根に滲みる
のだけれど たしか 口内炎にもきく美容薬は
ビタミンC入りだったかと思い 薬食いなどと
果汁を口内に行きわたらせる 娘が苺を大好き
で 大半は娘が食べる ミルクも砂糖も何にも
つけない 苺をつぶした後のほんのりピンクの
牛乳はおいしい 小さい頃はそうやって食べた

ジャーナリストの佐々木俊尚氏がツイッターで
あげていたが AIに樹海の情報を入れ込むと
画像でたびたび同じ女が現れる というのを
みた つまりその女というのは 樹海についての
人類の集合無意識にいる共通イメージとしての
女なのか フロイトとかユングのヨタかと思えば
集合無意識の存在を図らずもAIが証明したと
いう事なのだろうか こういう話に強く惹かれる
短歌を作ってみた
AIに現る我らが集合知女一人の笑みの無き顔
AIで 嘘

そういえば日本庭園をそぞろ歩いて 竹林を
抜けて 京都みたいだと思ったのだったが京都
的な風景というのは京都の風景を模倣したもの
なのだろうか それともあるとき 同時多発的に
あちこちに京都的な風景が出現したのだろう
か 集合無意識にからめてそんなことをふと考
えた しかし 京都的風景とは一体何だろう 私
が勝手に数寄屋造りの平屋とか 白い砂利の
ある庭を言っているだけで それが京都かどう
かなど個人的なものだろう スカイツリーに京都
タワーを見出さないとも限らない 高さと形状は
まるっきり違うものに見えたとしても

そのうちにAIでの創作が主流になってくるのか
もしれない ふっと思い立って こういった文章を
書き溜めているエクセルシートをすべてコピー
して ワードにプレーンテキストで張り付けて見
たところ 狂気の私小説めいた様相になった
書いた分量は原稿用紙にしておよそ2100枚
300枚を一冊として7冊分の原稿量となった
これが五十代半ば前からの書き物の私の記録
という事になる その前に短文1000本ノック
をしたので 単行本10冊程度の記述量となる

しかしそんなこた何でもないのだ AIに助けを借
りて いつか一冊に凝縮するかもしれないし逆に
大長編に増殖を試みるかもしれない 一つの文
は完結しながら 他の文の一部にもなり ひろがり
もし 結晶もしていく それが文章の運動という
事になるのだろうか この際の運動というのは
スポーツでもムーヴメントでもない 訳としては
不適合かもしれないがスパイラルとか そういう
もののような気がする あるいはコンク 凝縮
とか そういうものにしたい願望がある

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