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寂しさに名前をつけて

もちろん
私も含めてですが

老人前の
微妙な年ごろ

まだ若さの
片鱗は
残るが

全体的には
明らかに若くない

そういう人たちが
体育館に
集まった

同じ中学
出ているかもしれない

私の隣は
坊主頭に
刈りこんでいる
女性

白くて
透ける生地の
夏のカーディガン
羽織っている

きちんと化粧が
描かれている
同じくらいの
背丈の女性


暑い時期はいつも
ジーンズに
開襟シャツ
小袋をたすき掛けして
そこに
スマホや
扇子を入れてる

カメラは
ひだりのポケットに
入っている
ポケットのふくらみで
開襟の裾が
左だけ
スカートのように
広がる

この年頃の
女性は
脚を見せる
事がない

丈の長い
スカートか
スカートを細めた
ズボンをはいてる

その割に
袖のない服を着たりする
脇が見えても
それは構わないか もう

自分を
生に
見ることはないから
自分を
さておき

生半可な
年齢の
集団だと
おもった

美しくない
生気にあふれて
いるわけでもない

ざわざわしない
相手がいない

家に帰れば
このひとときの事
家人に
聞かれることだろう
一人の人は
SNSに
乗せるかもしれない
でも

この人たち
大半
まだ
働いている
最中だよな

定年にも
引退にも
年齢的にも
身体的にも
経済的にも
まだちょっと
早い

ちゅうぶらりな
感じの
歳まわりは
前にもあった
未成年のころだ

今度は
成年から
老人属の
成年に押し出される

恐らく
着る服は
今と一緒で

カメラも
壊れるまで
同じで

身体の老いから
固められていく
使っていた歯は
崩れ始め
のどの
嚥下が
下手になる

そのあたりから
クラス会が
増えるそうだ
行かないよ
見たくないよ

会いたければ
個別に
手を尽くそうと思う
でもきっと
すぐ話が尽きる

わかいころとはちがう
から
そのとき
抱き寄せると
いうことは
ない

会いたくも
別にないな
あの人たちとの
交流は
もうとっくに
終わったことだ

寂しさがつのるか
薄れるか
このあたりで
分かれるだろう

寂しさはいいよ
一生ものだよ
裏切らないで
どこまでもついてくる
名前を
つけとくといいよ
友達みたく
不意に来るから

そうすれば
手心が
期待できる

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