世界ホテルと朝の道
世界ホテルと朝の道
新宿
花園神社の近く
安いホテルに
泊まってみた
カプセルホテルに
しようとしたら
閉所恐怖
ダイショブ?
と妻が言うので
やばいかも
と
安ホテル
いいところじゃないか
近くにコンビニ
路地
静か
入り口近くの
ホテルの部屋
夜入り
だからしんとしていた
誰かが
ホテルを
訪ねてくる
と
言うこともなしに
コンビニ飯の
夜が更ける
うるさくない
もっと騒々しいかと思った
朝食付き
バイキング
といっても
家庭料理
煮物に漬物
玉子焼き
焼き魚
納豆 おにぎり
いい感じ
アジア各国から
皆さんが
泊りに来ていた
みんなにこにこして
朝食会場へ
スーツなの私だけ
ワイシャツに
スラックスだけど
これから
集合研修
二日目
千葉だと
泊りの手配無し
なんか楽しい
日本のご飯を
いろいろな国の人
が食べてる
きちんと箸で
これから東京のあちこちに
遊びに行く
その腹ごしらえ
私もちょっとした非日常
いつもは
ほとんど食べない朝食も
おかわりして
おかわりして
なんか朝から
機嫌がいいな
ロールプレイとか
あるのかな
向かい合って
30秒
その人の目を見る
ってのやらされたことある
第一印象を
一分間しゃべると
いうのも
なんだあれ
オカルトな
カリキュラム
結構
没頭してしまうんだよな
根が
単純だから
真に受ける必要ないのに
なんか
いいことがありそうだ
挨拶すれば
きちんと
挨拶が返ってくる
程度の
みんな
そういう気で
来ている
食堂でのんびり
茶を飲むうちに
誰もいなくなっていた
にぎやかだった食卓は
しんとしている
取り残された
廊下でも
誰にも行き会わない
あんなにいた世界の
人たち
消えた
住宅地の中に
そのホテルはあったのだ
ホテルから
出てみると
路地には人っ子一人
いない
こんな朝が
たまにある
実際にたくさん
人は歩いて
いるはずだ
やたら
ねこのきんたま
ばかり
目に入る
体毛に覆われた
かわいい二つの
きんたま
丸だし
花園神社に
差し掛かるころ
人の下半身だけ
見えるようになってきた
烏の
鳴き声が
騒がしかった
運転手の見えない
タクシーを止め
西新宿の
行き先を告げた
タクシーには
アジアからの
先客たちが
表情もなく
静かに乗ってた