常識破りのサッカー論⑦
『超難問が解けるのに、なぞなぞが解けません』には僕の変人サッカー論も書きました。その中で別格の選手として久保選手を挙げました。
執筆当時の久保選手はマジョルカでも控え扱いで低評価の頃。冨安選手がアーセナルで不動のレギュラーとして絶賛されていた頃でした。それでも久保選手を別格に選んだ。理由は簡単で、久保選手は幼少の頃からスペインのユース最高峰で戦術理論を学んでいたからです。
残念ながら冨安選手は勤続疲労で故障するだろうと予想していました。大柄な彼はSBではなくCBで使うべき選手だからです。冨安選手が故障がちになったのは、アルテタ監督の采配ミスでしょう。
サッカー通の方なら欧州各国で違うサッカーをしている事を知っています。そしてドイツや英国で成功する選手が多い一方で、スペインのラ・リーガでは乾選手以外なかなか成功者がいない事も知られています。それはスペインが戦術理論を重視するからです。
一方日本では戦術理論よりもピッチでのトレーニングが重視されます。そして味方の足下にパスを送るように指導されます。いかにも協調性を大切にする日本らしい指導ですが、強豪国に勝てない要因もそこにあります。
中田英寿選手はキラーパスが代名詞でしたが、相手の急所を鋭く突き、味方選手を動かす性質のパス。城選手は嫌がっていましたが、とても理に叶っていました。
座学で頭脳を鍛えた久保選手に必要だったのは、実は挫折でした。挫折は成長に不可欠な起爆剤だからです。レンタル先で冷遇されて悔しい思いをしている久保選手をマスコミは叩いたけども、僕は「順調順調」と喜び、本の中で別格と評価しました。
レアルソシエダで覚醒したのは当然で、この先10年日本代表は久保選手が君臨するでしょう。現時点の結果だけを見て選手を称えたり貶したりするのでは、せっかくの宝石が輝きを失ってしまいますよ。