展示会業界(東京ビックサイト)進出
ーーー29歳ーーー
**************始めての東京ビックサイトの章********
「任せて良かったよ。今までで最高のブースになった」
この言葉を聞いた瞬間 熱いものがこみあげてきた。
やってよかった・・
溢れ出る涙が止まりませんでした。
十数年前のことです。
これは始めてSIMSさんの展示会をやらせて頂いたときのお話です。
30小間 当時の受注金額800万円のブースを任せてもらえることになりました。
周りからは出来ない、出来るはずがないっ と冷ややかな声・・
図面を書いたこともない、書くための環境もない。
なにより、会社にインターネット環境さえありませんでした。
そのお仕事を頂く1年前にさかのぼります。
先に書いたマイカルサティの破綻、脱マネキン業界のため
10代の頃僕はスケートボードをスノーボードを真剣にやってました。
その時期に愛用していたスケートボードブランド、スノーボードブランドを取り扱っていたその業界で日本最大のブランド取り扱い会社
外にいるスタッフの方に
「デュスプレイをしている会社ですが、担当者いらっしゃいますか?」
と飛び込みました。
当時企画のKさんがおもむろに出てきて
「ちょうど今、次の展示会の企画をしている。そのコンペに参加しますか?」
という言葉
コンペというのはコンパ??
ってコンペという言葉も知りませんでした。
またやったことない、展示会についてほとんど理解していない時期でした。
しかし、自分が使っていたスケートボード。商品のことは多少わかります。
鉄工所で作ったサンプルと以下手書きのぺラ図面で提案しました。
冗談のような図面、提案書です(笑笑
提案後 Kさんが
半笑いで
「前田くんちょっと・・ 他社の提案書を見せてあげると」
それは
コンセプト、CGでのパース、詳細な図面、当日までの担当ごとのスケジュールなど(いま思えばあたり前ですが)雲泥の差がありました。
誰もうちが受注するとは思ってない中
数時間後に電話がなり私が受注しました。
社長が決めたということですが
僕は情熱の量で獲得した仕事だと思ってます。
その時につくったブースが以下のブースです。
単管で躯体を組み、フェンスで全て囲いました。
逆に他の工法は知りませんでした。 業界の枠に縛られないとはいい事です。
このブースは注目を集め、ブースデザイン賞を頂きました。
「この展示会は自分のステージだ。この業界で成り上がる・・・」
いつもの根拠のない自信がわきあがってきたのを覚えています。
実績を買われ、その半年後のSBJ(スノーボードジャパン)のコンペに参加させて頂きました。名前の通った競合を抑え受注。その要因はやはり情熱の強さだと思っています。
SIMS 30コマのブースの他、一緒にその会社HASCO様が抱えていたブランドを全部受注することができました。
SIMS、REEF・・・・ 30小間 、9小間、4コマ 、4コマ、2コマ とにかく未だかつて無い程に一度にたくさんのお仕事を頂きました。
メールで図面が送信できることにびっくりすることなど(笑) とにかく無知でした。
強い想いは、自身の枠を超えた能力を発揮する、人を巻き込む この時 リアルに体験しました。
「できるはずがない」と周りにいわれました。
「先に現金で支払いをしてほしい」 「相場を遥かに超えた、高い見積もり」
そんな中、有限会社イマージュの近藤さんという方に助けて頂けました。
図面の制作からパース、そしてブースの製作まですべて引き受けていただけました。
昼間のお仕事を終えて、自社から40分のイマージュさんの会社に深夜まで毎日入り浸りました。
その時に、イラストレーターやSHADEやCADといった空間デザインに必要なアプリケーションのすべてを覚えることができました。
本当に今 思い出すと感謝ですね。
(近藤さんとは今でも一緒に仕事をさせて頂いております)
展示会の設営はどんなに大きなブースでも1日で施工する必要があります。
その為、事前に半完成にしておかなければならない。
時間と共に、ブースのパーツが近藤さんの倉庫に積み上げられていきます。
毎日 ほとんど寝ていなくて目には真っ黒のくまをつくるような状態でしたが
楽しくて仕方がありませんでした。
ブースのパーツができていくにつれ、ブース完成の詳細までリアルに想像できるようになっていきます。
それはまるで”夢の実現”のピースをつくり、積み上げていくような感覚でした。
会期ギリギリの完成で、ブースの組み立て、掃除までお客様に手伝って頂くような状態ながら
立派なイメージどおりのブースが完成
出来たブースを感慨深く見上げ、感動している時・・・
HASCO社長の声
「任せて良かったよ。今までで最高のブースになった ありがとう」
溢れ出る涙が止める事ができませんでした。
これをつくってきた努力からの達成感もありますが
なにより、これから歩んでいく未来が見えた瞬間だったんです。
過去と未来が同時に心を大きく揺さぶられての大泣き。
人生を大きく変えた瞬間のひとつです。