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四国巡演もいよいよ大詰!

『楽しい歌舞伎/文七元結』四国巡演もいよいよ大詰。今日は松山市民劇場さんの例会で道後温泉近くにある県民文化会館に来ています。

「柳生さん、ロビー、見ました?凄いですよ」中嶋さんが興奮して私の楽屋に飛び込んで来ました。何事かとロビーに行って見るとそこには驚くべき光景が広がっていました。

《劇団前進座創立94周年おめでとうございます》
の横断幕。そして何と例会でお邪魔した歴代の前進座公演のすべての作品のポスターが年代順に整然と並べられているではありませんか。
前進座は1968年の第一回例会『佐倉義民伝』を皮切りに今回の『文七元結』まで実に31作品も松山にうかがっています。
それにしてもすべてのポスターをこんなにも保存状態良く大切に保管してくださっていたなんて凄すぎます。ただただ感謝しかありません。


私が松山にうかがったのは計9回。最初は1988年の『解脱衣楓累(げだつのきぬもみじがさね)』研究生でした。ポスターの端っこに小さく私の名前があります。懐かしいです。


1996年の『かあちゃん』ではいまむらいづみさんの相手役<勇吉>という“超”のつく大役を勤めました。ここで4ステージも演らせてもらったんですね。


2009年の『銃口』のポスターには<近堂上等兵>役の坊主頭の私が…若いなぁ(笑)松山公演のこの日は私の49歳の誕生日でした。


コロナ禍が猛威を振るった2020年は
「松山から演劇の灯を消してはならない」
という皆さんの熱い思いから松本清張朗読劇を例会として取り上げてくださいました。
「あの朗読劇は凄かった。だって景色が見えるんだもの」
ポスターを見ている私に会員さんが話しかけてくださいました。

この壮観で圧巻のポスター群を前に私は胸がいっぱいになり泣きそうになりました。ここには前進座の歴史があり、私自身の歴史がありました。

本番は劇場の廻り舞台の機構も使いテンポ良く進み、会員の皆さんの笑いと涙でとても温かい舞台となりました。

終演後のロビー交流会もびっくりするくらいのたくさんの皆さんが集まってくださり、大いに盛り上がりました。ひときわ目立ったのが、とびきり若い人たちの多さでした。率先して質問や感想を言ってくれて、運営サークルとしても搬入搬出、舞台挨拶、交流会参加と大活躍。聞けば声優タレントの専門学校の生徒さんたちで、会員数は30人以上とか。凄いなぁ。この若者たちがこれからの市民劇場を支えてくれる大きな力になること間違いなしです。頼もしい。


松山市民劇場は今年で創立60周年。長きに渡って四国の松山の演劇文化を守り発展させてこられた会員の皆さんには心からの敬意と感謝を表します。本当にありがとうございました。次回は『あかんべえ』できっと松山に戻って参ります。


柳生啓介

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