📕26_365冊目📕

〜日本のイノベーションのジレンマ〜
“破壊的イノベーターになるための７つのステップ”

玉田　俊平太

発刊時期は、おそらく４〜6年ほど前だが、この本に書かれている、今後こうなっていくだろうというイノベーションに着手している ”組織” が、多くが現代のリーダーとなって、新たな価値を創造していること。

なぜ戦後、世界を席巻した日本企業は衰退の一途を辿ったのか。
日本企業のどのような体質が、変化に適用する上で、不都合であり、欧米諸国のスピード感において行かれることになっているのか。

全ての物事において、破壊からしか創造は生まれない。

今、日本企業を取り巻く環境は、破壊が全て終了し、少しずつ再生の一途を進んでいるのではないかと、希望的観測を僕は持っている。

ただ、日本経済は再生を果たしたわけでもなければ、安寧が約束されたリソースを持っているわけではない。

常に、自分たちの状況を把握し、新たなイノベーションを産み続けるために、自分自身を破壊し、挑戦を続けることこそ、変化する時代を生き抜いていくために、企業に求められる”体質”なのである。

あまりにも、学びが多かった1冊なので、メモとして、書き起こしたことを、雑多に並べておく。

【メモ】
〜初めに〜
・1990年、半導体事業の世界トップ10のうち、７社は日本企業だった。
　25年後、トップ10に残っているのは、第７位の東芝のみ

第1章
「ビジョナリー」⇦ 予見力のある人、非現実的な人、理想家、夢想家
　こういった言葉で呼ばれる存在しか、イノベーションは起こせない
・“ファミコン”のメガヒットから学べること
　①顧客が望んでいるが、得ることができない需要を見極め
　②それを正確に供給する製品に落とし込み
　③他社には真似できない価格で販売する

第2章
「セレンディピティ」⇦ 幸運な偶然に遭遇する力
「イノベーションとは」
　機会を新たなアイデアへと転換し、さらにそれらが広く用いられるようにするプロセスのこと
⇨今は未だ無い顧客の望む未来を想像し、現実化させ、世界に普及させることができて、初めてイノベーションと呼べる
・新しい発明のうち、技術のハードルを超えられるのは<80%>
　その中で、ビジネスとして成り立つものは<20%>
　顧客のニーズを正確に捉えつつ、ビジネスとして普及させる部分のハードルが高い
　※セールスパーソンは会社の要
・３つのイノベーション
「プロダクト・イノベーション」
　既存の製品と全く違った価値や機能を持った製品を開発し、普及させる

「プロセス・イノベーション」
　既存の製品やサービスのユーザー体験を変化させる（ネットバンキングなど）

「メンタルモデル・イノベーション」
　ポカリスエットはスポーツ飲料だが、スポーツシーンだけで飲まれる訳では無い
　顧客の持つ、固定概念を破壊し、マーケットを強引に広げる

第3章
・持続的イノベーションは「改革」
⇨強者の立場にある企業が、既存顧客に向けてサービス設計を行う

・破壊的イノベーションは「革命」
⇨既存の主要顧客には魅力的に映らないが、新規顧客の琴線に触れる、革新的な製品やサービス

・無消費をターゲットにする新市場開拓
まだ、マーケットに存在していない顧客をペルソナに据えて、市場に包括するためのアイデアや製品

・ローエンド顧客のニーズを掴む
ティファールは、なぜ売れたのか？
当時、電気ポットには、あまりにも多くの機能が搭載され、価格が高騰していた。
ユーザーが求めていた機能は、「お湯を早く沸かす」ことだったので、それ以外の機能を排除し、価格を圧倒的に下げたことで、差別化を図った

・企業は“顧客”と“投資家”に資源を依存している。
　それらを優先したサービス、製品設計をせざるを得ないため、現状を破壊するような革新的なサービスやアイデアを頭から排除するようにプログラミングされている。

第4章
　優良企業がジレンマに陥るメカニズム
・顧客が求めるニーズには、生理的・物理的・制度的な理由から利用可能な上限があり、その上限はゆっくりとしか解決しない

・顧客のニーズは、逆のくの字を描く
　主婦の軽自動車、医者のスーパーカー

・破壊的イノベーションの始まりは、機能やコストなどの力が足りず、既存顧客には響かない
そこで歩みを止めず、成長を続ければ、どこかで、市場を破壊する瞬間が現れる

part、2 なぜ、日本の優良企業が破壊されるのか？

第5章
・テレビに見るイノベーションの歴史

・機能やサービスの価値が市場のニーズを超えると、ブランドやデザインの勝負
そして最後は、際限の無い価格競争

・顧客が商品を買うのは、顧客の片付けたい用事を解決するために、その製品を雇う
→片付けたい問題に、出せる金額を想像する

・テレビの持つ用事
1、暇つぶし
2、情報収集
3、感動を味わう

第6章
ガラパゴスケータイを破壊したスマートフォン
・スマートフォンは電話を進化させたわけではなく、パソコンに電話機能を付けたモノ

・インベンター　0から1を生み出すモノ
　イノベーター　どこかにある1を模倣し、転用し、普及させるモノ

第7章　自らを破壊するものだけが生き残れる“デジタルカメラの世界”
・優良企業が陥りがちな“キャピタリストのジレンマ”
　富士フィルムの話
　「変化を受け入れ対応する力、変化を先読みする力」

・産業の中心にいる顧客から、あえて目を背けたときに、新しいイノベーションのチャンスが見つかる
⇨ 高画質な写真を求め続けた写真産業で、画質は低くても、早くて、簡単なデジタルカメラのニーズは、産業の中心以外の場所にあった。

「スマートフォン」という“黒船”によって、業界全てが転覆した

・業界の先頭を走っている企業にとって、イノベーションとは“自己破壊衝動”である
　投資家たちからは、忌み嫌われ、自分自身の体を痛めつけてでも、変化に適用しなければ
　時代の流れによって、必ず淘汰される

part,3　は会的イノベーターになるための７つのステップ

第8章　破壊的イノベーション　３つの基本戦略
「新市場型　破壊的イノベーション」
業界トップを走っている企業が、顕在化していないマーケットやニーズを発見し、新たな価値を届ける

「ローエンド　イノベーション」
技術競争が顧客のニーズを超えて、価格の高騰、機能過多に陥っているサービスやコンテン
ツから、顧客の純粋なニーズのみを抽出し、圧倒的低コストで業界を破壊する

「持続的イノベーション」
既存の顧客に対し、既存のサービス・製品を成長させていき、“主観的価値”を高めることで、メンタルモデル イノベーションを与える。

・日本ほど、深い歴史を持ち、その使い方が下手な国は無い

・日本刀のブランドを活かした包丁「旬」

第9章　アイデアを生み出す苗床とは
・アイデアが生み出されるプロセス
１）資料集め
２）資料の俯瞰
３）孵化段階
４）アイデアの誕生
５）アイデアの具体化・展開

・ユーザーのニーズの理解が、イノベーションの成功を決める

・バイオデザインプログラムの大きな特徴
⇨ 多様な知識、経験を持つメンバーを意図的に選抜し、人物特性に応じてチームを構成する
【オーガナイザー】プロジェクトを運営する人
【リサーチャー】市場の情報、反応に敏感な人
【ビルダー】専門スキルを持ち、創作ができる人
【クリニシャン】現場をよく知る人

・NASA アポロ計画からの分析
⇨高い能力を持った同質の属性が集まったチームよりも、通常程度の能力を持った他属性が集まったチームの方が、パフォーマンスは上がる

第10章　用事と問題を探す「ニーズ・ファインディング」
・顧客が抱えるニーズには「ペイン・ポイント＝痛み」と「ストレス・ポイント＝緊張」が存在する。
最低限のニーズ（機能）は満たしているが、そのためにたくさんのストレスを感じている場合、その部分を解決するサービスや商品に顧客は満足を覚える。

・“ 遊休資産 ” ⇨ マネタイズできるが、何らかの理由で使われていない、資産のこと

・ノン・コンシューマー（無消費者）とは、サービスに興味がないわけではなく、何らかの理由で、サービスの利用を制限されていると考える。
その壁を壊すことで、広大な無消費者層へのアプローチが可能となる。

・“ 消費 ” を制約する、４つのスキル
「資力」「時間」「スキル」「アクセス」

・アイデアを作り出す才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存する

第11章　破壊的アイデアを生み出す「ブレインストーミング」
・顧客が制約を感じている問題を正確に把握し、その部分を解決する方法を集中して考えよう。

「ブレインストーミングの７つのルール」
（１）価値判断は後回しに
　価値を想像すると、アイデアにブロックがかかってしまう。
　まずは、根源的な願い（ニーズ）を、どんどん言葉にしよう

（２）ワイルドなアイデアを促す
　ブレインストーミングで上手れたアイデアは、その後の作業で洗練され、具体化されていく。
まずは、無茶苦茶で馬鹿げたアイデアを発信しよう。

（３）他人のアイデアの尻馬に乗る
　誰かのアイデアをきっかけにきづいたことがあれば、どんどん出していこう。
　ただし、誰かのアイデアを否定するような意見は控えるように。

（４）数を求める
“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”
ブレインストーミングで大切なのは、質よりも量
ブレインストーミングのセッションは、だいたい60分〜90分にとどめる。

（５）一度に一人が話す
　聞くことは話すことよりも大切
　ファシリテーターが、話をコントロールし、声を上げた人が意見を言い切れる空間づくりをすること。

（６）テーマに集中させる
　○避けるべきこと
　・議題に対して、注意力が散漫である
　 ・雑談する
　 ・その場でアイデアの価値を分析する
　・アイデアを選別する

（７）可視化する
　どのようなアイデアが出されたのか、何に関して、議論がされているのか、可視化する
　⇨ できるだけ作業の時間が少ないことが正義（時間を使うべきところに使うこと）

第12章　破壊度、実現可能性による破壊的アイデアの選定
・イノベーションのプロセスは、「収縮」と「発散」の繰り返し

☆アイデア・ステートメント
○ターゲットは誰か？
○どのような機能、アクションをさせるのか？
○成功のために、何を行うのか？

☆アイデア・レジュメ
　１）戦略的意図⇨
　２）戦略的意図達成のために使用するイノベーションの手段
　３）最初の足場とするターゲット顧客
　４）製品、サービスの最初のバージョン概要
　５）考慮すべき既存・潜在的競合他社
　６）競合を最小化し、排除する手段
　７）収益源
　８）収益モデル
　９）5年目までに大規模な事業になり得る理由
１０）固定費を低く抑える手段
１１）製品・サービスを生み出す手段
１２）製品・サービス提供の手段
１３）製品・サービスのマーケティング手段

☆新規事業では、足場となるターゲット層にリーチした時点では、サービスや製品にたくさんの間違いを孕んでいる。
それらをブラッシュアップし、より大きなマーケットへ展開していくためにも、初期投資を抑え、改善を繰り返せる「リーン・スタートアップ」を心がけよ。

第13章　破壊的イノベーションを起こす組織とは
「破壊的イノベーションは独立した組織に任せよ」
・既存組織の意見や顧客の呪縛は強すぎる。
改革はできても、革命はできない

第14章　破壊的買収　４つのハードル
ハードル①：資源を買うのか、ビジネスモデルを買うのかを明確に判断する
ハードル②：買収先企業の価値を正確に見極める
ハードル③：妥当な条件で買収契約を結ぶ
ハードル④：買収した企業を適切にマネージする

・挑戦に挑む際は、挑まなかったリスクも想像し、どちらを選択すべきか、判断をする必要がある。