【小説】便利屋玩具のディアロイド #04『カブラヤ』後編
【前回】
カブラヤの本社までは、電車で一時間ほどの距離だった。
社会人ばかりが歩くビジネス街を、彩斗はどことなく居心地悪げに歩いていく。
彼の肩に乗ったボイドは、周囲を警戒しながらも会社までの道を彩斗に教える。
やがて見えてきた巨大なビルに足を踏み入れると、瞬間、「わぁ!」と大きな声が響いてきた。
「ホントに来てるじゃん、久しぶり~!」
「……あれだ」
手を振りながら近づいてくる女性に、彩斗の肩に乗ったボイドが言う。
黒い髪を後ろで乱雑に括り、白衣の胸ポケッ