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地元民の教える長野市2泊3日旅プラン
見えるでしょう!ロマンの風が・・・・・
はじめに
私のうまれた故郷・長野を初めて訪れる方に向けた2泊3日の旅行プランをご提案します。
善光寺の門前町として歴史的に栄えてきた長野市街地にはじまり伝説ひしめく飯綱・戸隠エリアをめぐる、目一杯の魅力を詰め込んだプランです。
ガイドブックにも載る有名どころから、地元民だからこそ知っている情報まで惜しみなく書き出していますので是非参考にして長野旅行をお楽しみください!
Day 1 市街地探索
今回ご提案する旅の始まりはお昼過ぎに長野駅に到着することから始まります。
東京駅から長野駅まで新幹線だと1時間20分〜1時間40分くらいで到着します。
東京駅発の北陸新幹線(下り)は2024年7月現在、「あさま」「はくたか」「はやぶさ」の3種類がありますが、いずれも長野駅に停車します。
うち、「あさま」は長野駅が終点(上りの「あさま」は長野駅が始発)なので寝不足の方も安心して利用することができます。
お昼過ぎの到着であれば朝も特別に早くなく、無理のない旅の幕開けを迎えられることでしょう。
長野駅に着いたら、はやる気持ちを抑えてまずは腹ごしらえです。
駅ビルの「MIDORI」にある「草笛」さんは味はさることながら量も十分にあるので、朝ごはんを食べられなかった方にも満足のいくお昼ご飯となるでしょう。
たべおわったら少し食休みをしながら、Day2・Day3の足となる車を手配しましょう。Day2では涼しい山へ向かい一泊します。
駅前にはレンタカー屋さんが複数ありますし、Timesカーシェアの拠点も十分にありますので、困ることはないかと思います。
なお、本記事で紹介する行程はバス移動も(田舎なので本数は限られますが)可能なものとなっていますのでご安心ください。
ただし、Day2で山の方へ向かうと言っても舗装された広い道を走りますので、可能であればお車でのご移動をおすすめします。
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お宿
信州名物のお蕎麦をたべたら早速市街地観光に乗り出したいところですが、本日のお宿へ荷物を預けにいきましょう。
長野市街地の魅力は歩いてまわってこそ実感が湧くものですから、重たい荷物を預けて身軽になることが大切です。
初日のお宿は「ホテル国際21」。長野冬期オリンピック(1998年)時にIOC(国際オリンピック委員会)本部ホテルに指定された歴史をもつ、長野市民なら誰もが知るホテルです。結婚式場なども併設しておりホスピタリティ溢れるホテルですが、現在は比較的安価に宿泊することができます。
ありがたいことに、長野駅からの直行シャトルバスを運行してくれています。
東口を降りてすぐのバスロータリーから乗り込めば10分もかからず到着です。「長野県庁通り」という長野市街地の三大通りの一つを走りますので、車窓から広い空をもつ長野市街地を眺めてください。
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お立ち寄りスポット
ホテルで大荷物を預けたら、さっそく長野市街地の散策にでかけましょう!
長野市街地のおすすめスポットは以下の通りです。
①善光寺
「牛に引かれて善光寺参り」で有名な善光寺。
長野市にきて訪れないという選択肢はあり得ません。
後述の長野中央通り(善光寺表参道)から正面めがけて登ってくると、仁王門・山門・本堂と順々に迫力が増す様を体験できます。
東京ディズニーランドでの、入場してワールドバザールからシンデレラ城にかけての景色の変化が好きな方には分かると思います。
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お参りをするだけでなく、参道を一望できる山門にのぼったり、真っ暗な本堂の中をめぐる「お戒壇巡り」などの体験を通じて、善光寺の魅力をを隅から隅まで感じましょう。
なお、7年に一度のお祭り「御開帳」時には2ヶ月で約700万人もの人々が全国から訪れ、善光寺の人を惹きつける魅力が健在であることを物語ります。
②長野中央通り
長野市街地には、長野駅から善光寺方面に向かって大きな通りが南北に走っています。東から順に「長野大通り」「長野中央通り(善光寺表参道)」「長野県庁通り」の3つです。
このうち、「長野中央通り」は長野市の魅力が特に詰まった素晴らしい通りです。
広い歩道と随所に置かれたベンチ
大小様々な店舗や神社
国登録有形文化財の「藤屋御本陣」をはじめとする歴史的建造物
信濃の雄大な山々を借景とした街並み
「表参道長野オリンピックメモリアルパーク」に代表される憩いの公園
ウォーカブルで公共的でありながら、観光客からも地元住民からも愛される街並みが続いています。
この中央通り、夜は灯籠が道を照らし落ち着いた雰囲気となり、また雨の日には石畳に街並みが映り込むむなど、時間帯や天気によっても様々な様相を呈しますので、滞在期間中に何度も歩いてほしいと思います。
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③権堂商店街
長野市民に愛される商店街・権堂(ごんどう)。
昔に比べればシャッターを下ろすお店も増えてきましたが、いまでも地元市民の息遣いを感じることができる商店街です。
例年、7月後半から8月初旬にかけて行われる「長野七夕まつり」をはじめ、季節に応じたイベントが多数開催されるのも魅力の一つです。
④城山公園・長野県立美術館
善光寺の東側の高台に位置する城山公園と長野県立美術館。
公園や美術館そのものも素晴らしいのですが、お勧めはここから眺める善光寺の横顔。誰でも入れる美術館のデッキからの眺めは最高です。
季節によって表情をかえる背後の山肌と善光寺の重厚感ある佇まいが美しいので、ぜひ訪れてみてください。
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ちなみに、すぐ近くには2024年7月にオープンする「ながのこども館(ながノビ!)」や無料で入れる「城山動物園」など、子ども連れにも楽しいスポットが盛り沢山で、長野市の中心が善光寺であるという伝統ある街の在り方が受け継がれていることを感じさせます。
2022年まであった「少年科学センター」がリニューアルオープン。子供の頃、少年科学センターにあったジオラマを眺めるのが好きでした。
昔は夜になると元気なオットセイの鳴き声が市街地中に響き渡っていました。
⑤長野駅周辺
中央通りのお店を見ながらプラプラと歩いていれば、あっという間に長野駅です。
https://www.jred.co.jp/design/03.html
大庇が迫力のある長野駅ですが、これまで幾度かのリニューアルを経ています。昔からの長野市民に馴染みのあるのは、1936年竣工の「仏閣型駅舎」とその後の長野新幹線開通にあわせて1996年に改築された「橋上駅舎」。
現在の姿になったのは、北陸新幹線(東京〜金沢)開通にあわせた2015年の改修工事の結果です。
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1936年当時から駅前に佇む「如是姫像」はもともと善光寺にあったもので、いまでも善光寺の方を見つめて立っていますので、ぜひ気にかけてみてください。
また、2015年の改修に伴いリニューアルオープンした駅ビル「MIDORI」には馴染みのチェーン店だけでなく、長野ゆかりのお土産屋さんも多数入っています。
駅前の東急百貨店には長野県民御用達の本屋さん「平安堂」が入っていたりと、駅周りの店舗ラインナップを見るだけで長野県に来たという実感が湧いてきます。
さらに、長野駅前では大きな再開発の計画もあり景観が大きく変わることが予想されます。
歴史ある善光寺門前町である長野市の進化の過程を、ぜひその目に焼き付けてください。
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長野駅前まで歩いてきて疲れたら、ローカル線「長野電鉄」に乗って「市役所前駅」か「権堂駅」降りて帰るのも選択肢の一つです。
いまだに駅員さんに切符をきってもらって乗るという乗車方式ですが、平日の朝晩は通勤通学の市民で意外にも混み合います。
鉄道各社(JR東日本、東京メトロ、小田急電鉄、東急電鉄など)払い下げられた懐かしの「小田急ロマンスカー」や「成田エクスプレス」が、役割をかえて活躍していますので、ぜひ一度ご乗車ください。
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レストラン
晩御飯はお宿のレストランでいただくでもよいですし、せっかくだからと市街地のお店に足を伸ばすのもよいでしょう。
上記の長野中央通りや長野駅前には様々なお店が軒を連ねていますので、気になったお店にぜひ入ってみてください。
特に①②はすこしお値段がはりますが、おすすめのお店を3つ紹介します。
①萬佳亭
先述の「城山公園」の隅にある懐石料理屋さん。
長野の旬の食材を盛り込んだお料理はもちろん絶品ですが、特筆すべきはお店からの景色。大きな窓から長野市街を一望できるのです。
実はお店の横に広がる公園からも同じように街並みを一望できるので、山々に囲まれた長野の様子を見にぜひ一度訪れてみてください。予約推奨。
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②Dining Iris
市街地中心部の商業施設「TOiGO」の近くにひっそりと店を構えるビストロ。
長野の大自然で育った食材をふんだんに使っ楽しいお料理をいただけます。予約推奨。
③ぱてぃお大門
伝統的な蔵を改装して誕生した店々。善光寺表参道にあるので、夜の善光寺散歩ついでにふらっと寄ることができます。
和洋中問わず様々なお店が集まっているのでお気に入りのお店がきっと見つかるはず。カフェや茶屋も軒を連ねています。
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晩ごはんを食べたら、夜の長野散歩にでかけるも良し・お宿に戻って移動の疲れを癒すも良いでしょう。
時間に余裕があれば、お部屋で長野の地方局「SBC信越放送」を観てみることをおすすめします。山の天気予報や遭難情報などをみれば長野にきた実感が増すと思います。
Day2 飯綱・戸隠散策
今日のメインは山エリア、すなわち飯綱・戸隠エリアです。
朝ご飯を食べたらお宿をチェックアウトして、早速手配しておいた車に乗り込みましょう。
昨日みきれなかった長野市街地観光は明日にとっておいて、時間に余裕をもって出発です!
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本日第一の目的地は、飯綱(いいづな)エリアにある「大座法師池」です。
実は「飯綱町」という町が長野市の北東に隣接しているのですが、この大座法師池の位置する場所は長野市内です。しかし長野市民が「飯綱」というとき、この大座法師池の周辺も指しているケースが多いので、本記事では飯綱町と区別して、大座法師池周辺を飯綱エリアと呼びます。
なお、飯綱町は長野県の名産品である りんご の一大産地であり、りんご狩りなどを体験するには素晴らしい場所ですから、お時間の都合があえばぜひご訪問ください。
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さて、長野市街地から大座法師池まで車でのルートには大きく2種類あります。「七曲りルート」と「ループ橋ルート」です。
前者は「七曲り」というヘアピンカーブの続くトンネルを通るルートで、慣れれば大したことないのですが初めて運転する方にはすこし怖いかもしれないです。対する後者は「浅川ループライン」という長野オリンピックにあわせて整備された道を通るルートです。七曲りに比べると迂回になりますが大型車も通れる広くて空いている道なので、運転に自信のない方にはおすすめです。
長野駅前から大座法師池まで、七曲りを使えば30分・ループ橋を使えば60分弱ほどでかかります。
なお、路線バスで飯綱・戸隠エリアへ行くには、長野駅からアルピコ交通の「ループ橋経由戸隠高原線」をご利用ください。
いまでは東京と変わらない暑さの夏をむかえる長野市街地ですが、飯綱・戸隠はその標高差ゆえに比較的涼しくなります。
特に七曲りルートをつかうと、トンネルを抜けた瞬間に、一気に気温がさがり山の匂いが強まる変化がはっきりと分かりますので、夏は窓をあけて走行することをおすすめします!七曲りから先はクーラーを消して山の風をその肌に感じましょう。
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お立ち寄りスポット
山の空気を味わっているうちに、あっという間に大座法師池に到着です。
この池の周りはもともとアスレチック(小天狗の森)を併設した「飯綱高原キャンプ場」として整備されていたのですが、施設の老朽化や後述の戸隠エリアの人気拡大によって観光客が飯綱をスルーしてしまう現象が起き、夏休み期間でも閑散とする様子が見受けられました。そこでコロナ禍の2022年に「長野フォレストヴィレッジ」として再整備され、今ではすっかり綺麗な「森の駅」として賑わっています。
アウトドアグッズはもちろん、地元の野菜や果物をはじめとする名産品が販売されており、カフェ・レストランも併設されています。
2日目のランチはここで頂いてもよいでしょう。(おすすめ点は他にも後述しますので是非あわせてご検討ください。)
さらにジップラインをはじめ自然の中で楽しむアスレチックは、お子様にとっても特別な体験になることでしょう。夏は暑いかもしれませんが、手漕ぎボートやスワンボートもあります。
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トイレも綺麗で駐車場も広くて無料ですから、キャンプをする方はもちろん、そうでない方も気軽にお立ち寄りください。
大座法師池を皮切りに飯綱・戸隠エリアは日本神話のひしめく世界でもありますから、地図と池を眺めながら伝説に思いを馳せるのも面白いでしょう。
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大座法師池を満喫したら、さらに車でバードラインを走り戸隠エリアに向かいます。
2日目におすすめのお立ち寄りスポットを、飯綱から近い順にいくつかご紹介します。気になった箇所には車をとめてぜひ足を伸ばしてみてください。
戸隠エリアの全体像を把握するには戸隠神社HP掲載の下記マップがわかりやすくておすすめです。
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①一の鳥居
初心者にもおすすめな飯綱山登山の玄関口です。
同時に、戸隠キャンプ場まで伸びる「戸隠古道」のスタート地点でもあります。
体力に自信があれば、車を一の鳥居に停めて、ここから先の戸隠エリアを徒歩で散策するのも良いでしょう。
(私が歩いた時は、一の鳥居から杉並木を経て奥社到着まで徒歩で丁度4時間かかりました。)
②野菜直売所
飯綱・戸隠エリアの住民御用達の直売所。
採れたての新鮮な野菜をお値打ち価格で購入することができます。
キャンプやBBQをされる方は是非お立ち寄りください。
③戸隠展望苑
戸隠連峰を背にして広がる蕎麦畑を一望することができます。7月下旬には蕎麦の白い花が咲き誇る様を眺めることができるでしょう。
すこし分かりづらいので多くの人が通り過ぎてしまうのですが、私の密かなお気に入りスポットです。
⑤鏡池
厳しい山並みの戸隠連峰を水面に映す鏡池。
訪れた季節によって大きく表情を変えますので何度訪れても飽きない池です。併設のカフェ・レストランで鳥の囀りに耳を傾けてティータイムもおすすめです。
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⑤チビっ子忍者村
子供が大喜びすること間違いなしの忍者テーマパーク
実はこのエリアは「戸隠流」という伝統的な流派を継ぐ忍者の里としても有名なのです。戸隠流忍者の歴史には武田や真田など、戦国武将好きな方には馴染み深い名前も多数登場しますので興味のある方は是非訪れてみてください。
⑥戸隠民俗館・戸隠流忍法資料館・忍者からくり屋敷
チビっ子忍者村よりも大人向けのコンテンツが揃ったのがここ。
子供の頃、からくり屋敷や手裏剣投げを何回もやらせてもらった思い出があります。併設の民俗館や資料館は山奥で受け継がれてきた戸隠の歴史を知るのにぴったりです。
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レストラン
たくさん歩いて遊んで、お腹が空いたらランチタイムといきましょう!
先述の大座法師池のレストランの他に、おすすめのお店をいくつかご紹介します。大座法師池から戸隠方面へ向かって出逢う順に並んでいます。
①手打ち蕎麦「あいざや」
戸隠のお蕎麦屋さんが立ち並ぶ通りからはだいぶ手前ですが、2022年にオープンしたばかりの人気店。
https://www.instagram.com/teuchisoba_aizaya/
もともとこの場所には「山笑」という名店があったのですが、そこを居抜きで使っているようです。戸隠では珍しい十割蕎麦も食べられます。
また、このお店の周辺は空が開けていて景色も良いので、向かいの「戸隠そば博物館とんくるりん」に車をとめて、ぜひ戸隠の空気を胸いっぱいに吸い込んでください。
(とんくるりんでは蕎麦打ち体験もできます。挑戦したい方は是非!)
②そば処よつかど
名前の通り角にたっているお蕎麦屋さん。比較的新しいお店なのですが、当初から美味しいと評判です。
駐車場が狭いので入れたらラッキー!
③戸隠そば山口屋
お土産屋さんと広い駐車場を併設している、昔からの繁盛店が山口屋。
団体向けのバスもよく停まっている姿をよくみかけます。
連休やハイシーズン(夏休み期間や蕎麦祭りが開かれる11月など)は渋滞も多発する戸隠ですが、このお店は比較的はいりやすいと思います。
家族連れにもおすすめ。
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④小鳥の森
戸隠エリアでは珍しいイタリアンレストラン。
おすすめは生地に蕎麦粉をつかったサラダピザと、戸隠の美味しい水で育った岩魚のパスタ。お庭で気だるそうにしている看板犬も愛おしいです。
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⑤季節の素材 手打ちそば 岳
戸隠キャンプ場内にある隠れた名店。キャンプ場にチェックインしない方でも利用できます。
おすすめはテラス席。キャンプ場の清々しい空気の中で戸隠連峰を眺めながらいただくお蕎麦は格別です。
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お宿
2日目のお宿は「awai 戸隠」です。かつての公民館を改装した「旧中社公会堂」と、戸隠エリア伝統の茅葺き屋根の古民家を改築した「茅葺の家」の二つの建物から構成される、2023年オープンのホテルです。
※茅葺の家は2024年オープン
どちらに宿泊しても、お料理は旧中社公会堂でいただきます。
長野の新鮮なお野菜を中心に構成されるフランス料理はどれも格別で、楽しくて特別な食体験が待っています。
ランチの時間帯はレストランとしても営業しているので、ぜひお食事だけでも訪れてみてください。
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従前建物の息吹を感じさせる落ち着いた外観・内装も、丁寧なお料理も、やさしいスタッフの皆様の対応もふくめ、私のイチオシの場所です。
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Day3 戸隠五社巡り
3日目は、戸隠にきたら欠かせない五社巡りをしましょう。
戸隠五社とは、飯綱から近い順に、宝光社(ほうこうしゃ)・火之御子社(ひのみこしゃ)・中社(ちゅうしゃ)・九頭龍社(くずりゅうしゃ)・奥社(おくしゃ)という5つの神社のことで、どれもこの地で昔から大切にされてきた神社です。
私が小さかった頃は主に地元民が参拝するひっそりとした神社だったのですが、御朱印ブームなどもあり近年は全国・世界各地から人々が訪れる長野の一大観光地です。
特に奥社は、2010年頃にJR東日本「大人の休日倶楽部」のCMで取り上げられたことを契機にその知名度が大きく向上し、以来パワースポットとしても人気を集めています。
https://www.jreast.co.jp/otona/tvcm/togakushi.html
(CMの中で吉永小百合さんが杉の木の うろ に入るシーンがあるのですが、今では「御神木」として保護され入ることはできません。私も子供のころは入って遊んでいましたが観光客が増え、木へのダメージが懸念されての対応だと思われます。)
巡る順番に決まりはありませんが、おすすめは奥社に遠い順に、つまり宝光社から巡ること。できれば戸隠古道を辿って徒歩での巡礼をしたいところです。森の中を歩きますので、熊よけの鈴と虫除けスプレーを持って歩きやすい靴で巡りましょう。
数年前に私が歩いたときは、宝光社から奥社参拝を終えて奥社参道入口の駐車場にたどり着くのに、3時間半程度でした。お昼ご飯を挟んだり御朱印を頂戴したりしても、半日あれば巡り切れますので、足腰に自信のある方はぜひ挑戦してみてください。
また、早起きして人の少ない早朝に、奥社だけでも訪れてしまうのもおすすめです。神秘的な空気におおわれた杉並木は、まるで神様の世界に足を踏み入れたような錯覚を抱かせます。
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簡単に五社をご紹介します。
宝光社
戸隠の玄関口にあるのが宝光社。長野駅からバスで戸隠に行く方は、「宝光社入口」というバス停で降りて、ここからの戸隠五社巡りがおすすめです。
お車の方にも無料駐車場が用意されていますので安心です。
宝光社参拝のためには270段ほどある長い階段を登らなくてはならないので、まだ体力に余裕のあるうちに訪れることをおすすめします。
火之御子社
宝光社から歩いて15分ほどのところにあるのが火之御子社。五つの社の中で一番小さいですが、その分人も少なく落ち着いているので、戸隠の澄んだ空気を吸い込むには絶好の場所です。
付近には西行桜があり特に春には訪れる人々の目を惹きます。
中社
2020年に建て替えられたばかりの大鳥居が目印の中社。境内内の立派な三本杉や本殿の裏にあるさざれ滝にも注目です。
100台をこえる無料の大駐車場が整備されており、空いている時はここに車を停めて五社巡りの拠点とするのもおすすめです。
九頭龍社・奥社
戸隠を代表する光景である杉並木の参道を抜けた先に並んでたつのが九頭龍社と奥社です。
参道入口には駐車場(有料)があり、お蕎麦屋さんや先述の忍者からくり屋敷なども近くにあるため、時間のない方は九頭竜社・奥社周辺に的を絞って散策するのも手です。
また、戸隠山登山道入り口は奥社社務所脇にありますので、登山客も参道を通って参拝をしてから入山します。
なお戸隠山は「蟻ノ塔渡り」などの左右が切れ落ちた岩場がある上級者向けの山ですのでご注意を。初心者の方には先述の一の鳥居より飯綱山がおすすめです。
五社の中でも特に奥社参道は季節・時間帯・天気によって全く異なる表情をみせるので、訪れたその日の光景を楽しみに訪れてみてください!
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二日間にわたり飯綱・戸隠エリアを満喫したら、安全運転で長野市街地に帰りましょう。
また、夏場は涼しいい戸隠から市街地に降りるとその暑さにやられるパターンがお決まりですのでご注意ください。
帰りの新幹線まで、行き残した箇所を巡るもよし、お土産を探すもよし、駅ビルMIDORIの「信州くらうど」で地酒に舌鼓をうつのもよいでしょう。
ご紹介したすべての場所を3日間でじっくり巡ることは難しいかと思いますので、この旅行で長野を気に入ったら是非また長野にいらしてください!
最後に 溢れ出る長野の魅力
すべての場所を巡るのは厳しい、と言っておきながら気がひけるのですが、今回のプランからは漏れてしまった長野市内の他のおすすめスポットをご紹介して終わろうと思います。
①スキー場
今回ご紹介した飯綱・戸隠エリアには、それぞれスキー場があります。
自然豊かな長野では四季折々の楽しみがありますが、冬はやっぱりウィンタースポーツ!雪道の運転には十分気をつけて訪れてみてください。
②水野美術館
長野県は美術館・博物館の数が全国1位!全国のおよそ10%の美術館・博物館が長野県にあります。
長野市の美術館といえば先述の県立美術館が有名ですが、日本画を扱うこちら水野美術館もおすすめ。
丁寧に手入れされた美しい日本庭園も心が落ち着きます。
何より私の祖母の作品も常時展示されていますので是非訪れてみて下さい。
③川中島
日本史好きなら一度は目にしたことがある上杉謙信と武田信玄の一騎討ちがあった場所が長野市にあります。
長野ICから長野市街地へ向かう途中にありますので、お車でお越しの方はぜひ訪れてみてください。博物館の展示も充実しています。
④姨捨駅
「おばすて」と読みます。日本昔ばなしで聞いたことがある方もいるかもしれません。
ぜひ訪れほしいのはJR東日本「姨捨駅」。この駅からは「善光寺平(ぜんこうじだいら)」と呼ばれる長野盆地を一望することができ、その眺めは「日本三代車窓」に数えられています。
また姨捨は棚田も有名で、特に5月頃に水の張った棚田に映り込む月は「田毎の月」と呼ばれ万葉集にも歌われた観月の名所でもあります。
実はここまでご紹介したスポットのうち、姨捨山駅だけ長野市ではなくお隣の千曲市にあるのですが、あまりに美しい光景なので紹介しました。
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長野県は47都道府県のうち、全国4番目に広い面積をほこり、2番目に多い市町村数(うち村の数は日本1位)をもちます。
この記事でご紹介したのは、長野県の中の長野市のさらにその一部にすぎません。
長野県の人はよく、北信・中信・(東信)・南信と長野県を区分しますが、長野市の位置する北信だけでも、葛飾北斎が晩年を過ごしたことで有名な小布施やスキー場が有名な野沢温泉など名所が目白押しです。
長野県を俯瞰すれば、別荘地の軽井沢・真田幸村ゆかりの上田・リゾート地として高明な白馬村・お城や上高地で有名な松本市・花火大会も人気の諏訪・リニア中央新幹線の駅が設置予定の飯田など訪れるべき場所が無数にあります。
この島国の中心で、厳しくも豊かな山々とそこに根ざす多様な文化を現代に伝える地・信州長野の魅力を知るきっかけが、この旅行であったならば長野を愛する一市民として身に余る光栄です。
おまけ お宿のご提案
本編では「ホテル国際21」と「awai 戸隠」をご紹介しましたが、ここではその他のおすすめのお宿をご紹介します。
①善光寺前の宿坊のご提案
善光寺の体験をより充実したものにしたい貴方におすすめなのが宿坊。
お朝時(お数珠頂戴)など善光寺の近くに宿泊しないと出会いにくい体験をはじめ、住職と同じ精進料理をいただいたり善光寺についての解説をうけたりと、宿坊に泊まらないとできない経験があります。
昼間の賑やかな様子とは違い、空気の張り詰めた善光寺の表情を見たい方は、宿坊に泊まり早朝の善光寺へ行ってみることをお勧めします。
②戸隠の宿坊のご提案
戸隠には旅館やペンションなども多数ありますが、中でも歴史を感じる宿坊での時間は特別なものになるでしょう。
古くから宿を構えている方々からしか聞けない穴場があるかもしれません。
③飯綱・戸隠エリアでキャンプ場のご提案
アウトドア好きな方はキャンプ場もぜひ選択肢の一つに
・長野フォレストヴィレッジ(飯綱高原キャンプ場)
先述した大座法師池ほとりのキャンプ場です。戸隠に比べて市街地からのアクセスがいい点も嬉しい。
・キャンププラス飯綱(飯綱東高原オートキャンプ場)
飯綱町にあるので、その意味で真の「飯綱キャンプ場」はこちらです。
すぐ近くにはグランピング施設もあります。
霊仙寺湖(れいぜんじこ)のほとりで優雅な時間を過ごすのもよいでしょう。
・戸隠キャンプ場
妙高戸隠連山国立公園内にある戸隠キャンプ場は牧場も併設しており、のびのびと過ごしたい方におすすめです。
長野駅からのバスはこの戸隠キャンプ場まで延びていますので、気軽に遊びに行くだけでも楽しいです。
おまけ お土産のご提案
さまざまなお土産がありますが、私のおすすめをいくつかご紹介。
①お蕎麦
戸隠のお店でいただくのと遜色ない味をご家庭で。
おすすめは「おびなた」のお蕎麦。
先述のお蕎麦屋さん「あいざや」の近くに実店舗がありますので戸隠から帰る際には是非お立ち寄りください。
②七味唐辛子
長野のお蕎麦屋さんで見かけないことはないのが、八幡屋磯五郎の七味唐辛子。
善光寺前の表参道に本店がありますので是非お買い求めください。
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③おやき
長野県の郷土食といえば おやき。
皮の材料・焼き方・具などのバリエーションが豊富で多くの名店が存在します。
長野駅ビルMIDORIにも「いろは堂」と「小川の庄」の2店舗が入っていますので、一個ずつ買って帰りの新幹線でぜひ食べ比べてみてください。
④お菓子
長野の定番土産といえばすっかり「雷鳥の里」ですが、それ以外にも胡桃や栗、りんごなどを贅沢に使ったおいしいお菓子が長野にはたくさんあります。
どれも私が幼い頃から食べてきた信頼の味です。
買いきれない分は次の長野旅のお楽しみということで。
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