【キー17】絵文字
🥁
LINEで「ドラム」と入力すると、楽器のドラムの他に、乗り物の絵文字が候補にでてきて僕はこの理由が知りたい。
ケーブルカーの分類の一種には「ドラム」を含むタイプのものがあるのかと思って、「ケーブルカー 種類」とかで検索しても欲しい答えはでてこない。
ケーブルカーのマニアックな分類に基づいた変換候補ではないようだ。
他にも「LINE ケーブルカー 意味」とかで調べたが進展はなく、
みたいな知識は得られたが探している答えは分からない。
SticonsをLINEの英語翻訳トークに送ると、意味が分かるみたいな記事もあったけれど、少なくとも今回の絵文字ではその手法は通用しなかった。
「LINE 絵文字 意味 一覧」で検索をかけると
まるで答えに辿り着かない。
ネットリサーチに疲れた僕に、心の中のお母さんが「謎は謎のままにしておきなさい」みたいなことを言ってきて、「はーい」と返事しつつも脳の片隅にはこの謎の居場所を設けたまま数週間が経った。
会社の先輩が最近、結婚式を挙げてそのままハネムーンにいったらしい。
そういえば、部内のみんなで結婚式にだす祝電とバルーン代を割り勘しましょうみたいなメールがきていた。
その先輩は一週間くらいして帰ってきて、お土産ですとチョコレートを部内の人に配っていた。
話が聞こえてくる。メールを返しながら神経は耳に注ぐ。
(どこ行ってたの?)
(クロアチアに行ったんですよ)
へー
(天気よかった?治安とか平気な感じ?)
(天気も良かったし治安もぜんぜん心配なかったです〜)
ほー
(写真なにかないの?)
(これ世界遺産の街です )
(すごいめっちゃトラム走ってんじゃん)
….トラムってなんだ 動物か乗り物か
僕は何の気なしに調べる。「トラム」で検索。
ジャジャジャーン
脳内のYOSHIKIがシンバルを叩きまくる。
おいおいドラムってトラムだったのか。
路面電車をトラムと呼ぶことを知らなかった僕に予想だにしないタイミングでの答え合わせ。
思わず声が出る。
「これじゃん」
「え?」
あ
先輩が僕のところにチョコレートを持って立っていた。
●
🌉
割と一般的に使われる言葉を僕は知らなかった、みたいなことは結構あって、「お小水」もつい数ヶ月前までそうだった。
病院へ入院前の検査にいったら、その一室にどんどん機械が運ばれてきて細い管で血をとられたり、その後に来た太いチューブに息を吐いたりしたりした。
それで最後に、紙コップを渡されて、ではお小水をいれてカウンターに持ってきてください。と言って看護師さんが部屋を出て行ってしまった。
お小水ってなんだろう。紙コップだし唾液かな?とか少し考えて、紙コップをよくみたら「尿ライン」と書いてあって、僕はお小水を知った。
●
🍂
言葉じゃないけど「案外わかっていないもの」の他に、僕は金木犀の香りがまだどれかはっきりわかっていない。というのがある。
一緒に歩いている人が「すごい金木犀の匂いするね」とか言っても「ね〜」みたいな緩い返事しかできない。
でも、香りのいいところは知ったかぶりが押し通せるところだ。
公園とかで
「ここ、すごい金木犀の香りするね」と僕が言って、
「え、全然しなくない?」
とか言われても、鼻が詰まってるんだよとか言える。
香りって、目に見えるものではないし、音とか手触り感とかよりもフワフワしたもので流動的だから、「分からないお前がまちがっている。お前に分からなくても俺にはわかる」が通用しやすい。
そして、こういうことを何年も繰り返して秋をやり過ごして、僕は金木犀の匂いをわからないまま大きくなってしまった。
💩
会社のポータブルサイトに記事を投稿を試みたら、「NGワードが含まれているため投稿できません」と表示されたことがある。
内容は短歌を紹介する文章でアウトなことを書いた心当たりは皆無だったが、どうやら短歌中に登場した「うんこ」がNGだったらしい。
うんこ が偶然文章中にでてきたらどうするんだろう。
「あなたそんな格好してどっか行くの?」
「うんこの前話したマルシェ行こうかと思って」
とかエッセイや日記を書いてたらありえるし。
同じような心配を「しね」で思うこともある。
「合格おめでとう!」
「ありがとう 流石に二回目だしね」
これは「うっかり暴言あるある」だと思う。
入力して送信前にソワソワする。
かといって、「二回目だしネ」は、おじさんすぎてできない。
ポータブルサイトにも、明らかに暴言じゃないのはしっかり判断して受容してほしい。
というか「しね」はともかく、うんこは別にいいだろ。金融庁だってホームページに載せてるし。
もし会社の偉い人が見てたら修正お願いします。