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砂糖菓子が壊れるとき
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雨がそぼ降る夜だっただろうか。若尾文子演じるところの京子は、「Photo Studio」と書いてあるドアを開け、その中に入って行った。
そこには写真家である根上淳が待っていて、
「先に食事にしようや」
と言ったが、京子は、
「仕事を済ませてしまいましょう」
と言った。
「そのミンクの外套。いい加減に始末しちまいなよ」
「でも、これはわたしと彼との思い出の品だから」
そして、京子がカメラの前に立ち、そのミンクのコートを脱ぐと、彼女は後ろ向きであったが全裸で、そのままポーズを取った。
その彼女の姿を捉えるカメラレンズのアップ。そのシャッター音に被さるタイトルバック。
もちろん若尾文子の全裸はスタンドなのだろうが、彼女の役どころは、ヌードモデルをやらなければ、食べていけない売れない女優というもの。
その京子、大部屋女優に毛の生えたようなもので、各社を渡り歩いた末に現在の会社に辿り着いたようである。
そして、ふとしたきっかけで代役が必要ということになり、ある監督の作品に魚屋の女房という役柄で出演することが決まったが、テストでは台詞も自然に出てくることができずに、スタッフたちは首を横に振る。
結局、その作品はクランクアップまで漕ぎ着け、昔の映画によくあった○○組完成記念なんて言う記念写真に、魚屋の女房の衣装で笑顔を浮かべて収まっていた京子であったが、次の仕事は決まっていなかった。
だが、その姿を見ていたのが芸能プロダクション社長の工藤(志村喬)であった。
とにかくこの作品、テンポが早い。工藤は京子を何度か食事に誘ったのだったろうか。次第に二人は親密度を深め、京子は工藤の口利きもあり、『櫛』という作品に出演することにより、少しずつ注目されて行った。
この頃、京子は劇作家である五来(田村高広)との知遇も得た。
工藤は京子を熱海の別荘へ誘った。夜、車中にて、
「わたし、仕事のために工藤さんとお付き合いしているように、みんなに思われているのかしら」
「そんな世間の言うことなんて気にしなくてもいいんだよ」
明くる日、京子は別荘のリクライニングチェアーに座りながら、陽の光を浴びていた。
「平和だわ」
「モネの画集でも見るかね」
「ええ」
そう言って工藤は画集を取りに行ったが、程なくして家政婦の悲鳴が上がった。京子が急いでその場に駆けつけると、工藤は床に倒れていた。
シーンが変わると工藤は、青ざめた顔をして布団に寝ている。
「脳梗塞らしい」
そう言うと工藤は、懐から婚姻届を出した。
「結婚してくれないか」
「でも・・・」
「わしの寿命も、もう短いらしい。あと十何時間でも側にいてくれればいいんだ」
「そんなこと言っちゃダメよ。元気になって」
「わしには少なく見積もっても一億の財産はある。それを君に渡したいんだ」
「そんな。ね。わたし、お金なんかいただけないわ」
「あんな親戚なんかに金は渡したくないんだ。一億円あれば女優としてのチャンスを待つこともできる」
その時、ふすまを開けて、工藤の秘書が言った。
「千坂様(京子のこと)、会社からの電話でございます」
聞けば映画会社からの電話で、京子にすぐに東京へ帰ってこいと言う。東京へ戻ると会社の幹部たちはいかっていた。
「君はヌードなんかを撮影していたのかね。これじゃあ。うちのイメージに関わるじゃないか」
会議室の机には件のヌード写真が置かれていた。これも合成かなんかだと思うのだが、こっちは豊満な胸を露出したもので、自分のものでなくても作品中で形としては、ヌードを披露したことになった若尾文子の胸中はいかなるものであったのだろうか。
「わたし、どうすればいいんでしょうか」
「もう会見は用意してある。そこで、あのヌードは他人の空似ですと、知らぬ存ぜぬを通すんだ」
京子は熱海の別荘に電話を入れた。最初は秘書が対応していたが、病床から工藤が這って出てきて電話口に出た。
「工藤さん。寝ていなければダメです」
「京子。ようく聞いてくれ。こういう時こそ、正直に何もかも話すんだ。偽りのことを話してはダメだよ」
「は、はい」
詰めかけた報道陣。炊かれるフラッシュ。会社首脳陣が同席する中、京子は戸惑っていた。そこにボーイみたいなのが現れ、京子にメモを渡す。そこには工藤が亡くなったことが記されていた。
シーン変わって、工藤の葬式。僧侶が遺影に向かって観音経を唱え、多くの参列者が集まっていた。その後方にいる京子。少しずつ祭壇に向かって近づいていた彼女は、やがて走り出し、気づくと棺に抱きついていた。
「わたしを置いていかないで!」
騒然とする会場。
「とにかくここを出よう」
そう言って京子を連れ出し、車に乗せたのは新聞記者であるところの津川雅彦であった。
しかし、この葬式のシーンも若尾文子はセクシーな喪服を着ている。肩が片一方しかないノースリーブのような喪服でしかもミニ。
この作品の面白さの一つは女優である若尾文子が、作品の中で女優を演じていると言うこともあるのだが、その彼女がシーンごとに違う衣装を纏って、まるで七変化のような姿を見せることにある。
しかもそれが、和装は一切なく、この作品が公開された67年のトレンドのファッションであるということも見逃せない。
津川は車の中で名刺を渡し、京子を自分の部屋に連れて行った。その部屋の壁には、あの京子のヌード写真が貼ってあった。思わず顔を背ける京子。
「いいじゃないか。こうやって君は世間の男たちを満足させているんだよ」
ノブ(津川のこと)と京子は、次第に親しくなっていったが、お互いに肉体関係を求めることはなく、友達といったような不思議な関係が続いていった。
「京ちゃん。大学の聴講生になればいいんだよ。あれなら、受験もいらないで大学の講義を聞けるし。教養がつくぜ」
「そんな。わたし、施設に預けられて育って、高校もろくに出ていないのよ。それが大学の講義なんて」
「結構面白いもんだぜ。自分の好きな講義を選ぶだけでいいんだ」
「ねえ。共学と女子大どっちがいい」
そう言うと二人はじゃれあった。この時の若尾文子の姿が、髪はツインテール、それでいてシミーズ一枚ときているから可愛いったらありゃしないのである。
京子は朝、撮影所に行ったが、自分の名前が書いてある札はどの組にも入っておらず、この日も仕事はなかった。そんな境遇の女優がもう一人いて、一緒に帰ろうということになった。
「あんたもくすぶっているようだね」
「もう。一年近くもこんな状態よ」
「お互い。もう娘の役を張れる歳でもないしね」
この同じくくすぶっている女優、春江。この時から京子の世話を焼くようになり、京子がスターの座に駆け上がっていくと、公私共に欠かせない存在になっていく。
ある日、春江が京子のアパートを訪ねてみると、彼女は荷造りをしていた。
「一体どうしたのさ」
「心機一転。生活のすべてを変えるの」
「運送屋は頼んだの」
「あっ。忘れていた」
慌てて運送屋を探しに行く春江。
京子はノブの薦め通り女子大に聴講生として通うようになった。珍しくジーパン姿で、ランニングをする若尾文子のカット。ノブは京子の部屋を訪ねた。
「ほう。古代エジブトの本かあ」
「もう。天木教授は五千年前の出来事を、きのうのことのように語るのよ。この本も貸してくれたの」
「期末試験は義務じゃないんだろ」
「でも、わたし受けてみたいのよ」
「こりゃ、だいぶ熱が入っているね」
講堂の机に座り京子は、解答用紙に取り組んでいた。その様子を見に回ってくる天木教授に扮している船越英二。だが天木の京子を見る目は、すでに粘ついていた。
キャンパスをあとにしようとしている京子。すると天木がうしろから車でやってきて、声をかける。
「なかなかいい解答を書いていましたよ」
「あ、先生。ありがとうございます」
「どうです。食事でもしながらゆっくりしゃべりませんか」
そこはカニクリームコロッケがうまいという、料理屋の和室であった。とにかく天木は会話もそこそこに京子の手を触ってきた。
「先生。こんな・・・」
「もう僕は自分でも理性を保っていられなくて。最初に君を見た時から」
そう言うと天木は京子を床に倒して、そのまま彼女の唇を奪った。京子の瞳から涙が流れ落ちる。
シーンが変わると『顔より脚』と言う映画の完成記念パーティーで、ドレスアップをして集まった人々に笑顔を振り撒いている京子の姿があった。
「京ちゃん。天木氏に失望してから、俄然女優にやる気を出し始めたな」
とノブ。
「で、今じゃあたしは、その家政婦っていう訳」
と春江。
プロデューサーだったのだろうか。失念したが、とにかく業界関係者が場をセッティングして、京子とホームラン王・土岐を引き合わせることとなった。それは京子の熱烈なファンである土岐のたっての要望であった。
で現れたのが藤巻潤。ホームラン王、つまり鼻息が荒い。鼻息が荒い大映の俳優と言えば藤巻潤ということで、このキャスティングは成功と言えるだろう。
クラブの個室のようなところで歓談していた二人であったが、すぐに打ち解けたようであった。
今は高級マンションに住むようになった京子。その部屋には自身が写っているパネルが飾ってある。そのうちの一枚が若尾文子の代表的な写真で、ここに使用されていたのかと分かった。
そんな部屋の電話のベルが鳴る。しかも深夜に。それは試合が終わったあとの土岐からのもので、そんな電話が毎晩のように続くのであった。
「あんたもあんただよ。一言土岐さんに迷惑ですって言えばいいんじゃないか」
「でも、そんなこと言ったら失礼でしょ。土岐さんも、この時間じゃないと電話できないのよ」
「あんただって明日早くから撮影なんだよ。そんなことも土岐さんは知らないで」
京子は根がナイーブな人間で、ノブや春江にも寝付くまで側にいて欲しいと言ったことが過去にもあったし、すでに睡眠薬なしでは寝られなくなっていた。
そんな京子と土岐であったが、今で言うなら電激婚をして、世間を騒がせた。しかし、いざ結婚してみると毎晩、毎晩取り巻きたちが家にやってきて、飲み食いして騒ぎ、そんなヤツらを京子はもてなしていたが、食事を準備する春江は嫌気がさして、マンションから出ていってしまった。仕事だけの関係にしようと言って。
京子はある日、一人でふらりと銀座に行ってみた。しかし、通行人の一人が京子に気付きサインをせがむと、後から、後から蟻が群がるように人が集まってきて、京子をサイン責めにする。その群衆の中の声が京子の耳に入ってきた。
「千坂京子って見た目はいいけど、ちょっと頭が足りないような役ばかりじゃないか」
それを聞いた京子は、その場に卒倒した。そこに車で通りかかったのがまたしてもノブ。
京子が気づくとそこは病院の一室で、ベッドの傍らにはノブがいた。
「あら。ノブちゃん」
「一人で銀座に行くなんて無茶すぎるぜ」
そこに土岐が入ってきて、京子をお姫様抱っこをして連れて帰った。
こんな夜もあった。それは女優新人賞の報告が決まる日で、京子はそわそわしていた。電話のベルが鳴る。
「はい。千坂です。はい。はい。そうですか。わかりました」
「どうだった」
「映画評論家の○○さんの意見で。今回はダメなんですって。わたしの演技は肉体を使っているだけのストリップと変わらないものなんですって」
「ちきしょう!あのババア!自分が萎びているからって、妬んでやがるんだ!今度会ったらぶっ飛ばしてやる!」
そんな京子と土岐の生活も次第にすれ違っていった。
「ただいま」
「どうしたんだ。こんなに遅くまで。俺はいつ夕飯を食べられるんだ」
「ごめんなさい。撮影が長引いちゃって。叔母さんがきてくれるはずだったのに。今から準備しますからね」
「もういい。外で食べてくる」
ある楽屋。京子はついにワンマンリサイタルを開催できるところまできた。とびきりの衣装に身を包み、胸をときめかせる京子。
マネージャーのような者が言う。
「土岐さんが会場に入ったそうですよ」
「本当に!わたし、俄然張り切っちゃうわ!」
京子は笑顔でマンションのドアを開ける。
「あなた。来てくだすったんですってね」
鬼のような形相をしている土岐は、いきなり京子の頬を打った。
「どうしたの」
「何がリサイタルだ!あの衣装が真面目な主婦の着るものか!」
「あなた」
「もう俺は君を真綿に包んでクローゼットの中に入れて、鍵を掛けておきたいんだーっ!」
土岐は男泣きに泣いた。
久しぶりにマンションに尋ねてきた春江。部屋では土岐が荷物をまとめている。
「どうしたの」
「俺たち。別れることにしたんだ」
京子は気晴らしだったのだろうか、サングラスをかけて、コテージのあるホテルを訪れていた。そこのロビーであの劇作家である五来と再会した。
「これは奇遇ですな」
「五来さん。こちらにお泊まりですの」
「ええ。僕はコテージのほうにね」
京子は夜遅くまで五来のコテージの窓から溢れる灯りを見ていたが、睡眠薬を飲むとまた眠りに落ちた。
朝。ホテルの庭を散歩する五来と京子。
「わたしが分析するにあなたは、施設で預けられ育ち、会いに飢えていた。あなたは一度は肉体的な頼もしさに包まれ安心感を得たが、それは刹那的なものに過ぎなかった。あなたを本当に安心させられるのは、知性だと思うんですがな」
シーンが変わると京子と春江は、タクシーに乗っている。
「わたし、やっぱり怖いわ」
「仕方がないよ。自分で蒔いた種なんだもの。しっかり行っておいで」
京子が向かったのは五来の家であった。その庭には五来と、その妻が待っていたが、五来は背を向けている。
こういう役をやらせたら本当に上手い五来の妻、山岡久乃は何やら難しい男女の精神論のようなものをまくしたてたが、要するに五来の心はすでに京子に移っていたのだった。
と、ここまで書いてきて、本当にこの作品はテンポが早いと思う。
話を単純化すると京子が次々と、男とくっついては別れ、くっついては別れを繰り返している訳だが、京子が魔性の女で、男をたぶらかす話とも違う。むしろ男たちのほうが、蟻のように京子に寄ってくるというのが近いと思う。
この作品の原作は曽根綾子。監督はあまり知らない今井正と言う人。そして脚本はなんと、橋田壽賀子。橋田壽賀子の脚本が、このテンポの良さを生んでいるとしたら、かなりの才能の持ち主ということになる。
マンションにて五来と京子のラブラブ生活は始まった。ラブラブ生活過ぎて、五来は京子の主演する映画の脚本を手直しすることはできても、自身の作品に手をつけることはできなかった。
「もう。あなた。わたし、この人とのキスシーンだけは絶対に嫌。この人以外の人だったら誰でもいいの」
「分かったよ。会社のほうに掛け合ってみるよ。きょうは夜、遅くなるから」
「あなた。わたしを一人にしちゃいやよ」
「でも。ハミルトン氏には、これまで何度も不義理をしているから」
別の日。京子が台所に立っていると、不意に込み上げるものがあった。急いで五来に抱きつく京子。
「なんだい。どうしたんだい」
「あなた!赤ちゃんができたのよ!ねっ!」
シーン変わり、青ざめた顔で担架に乗せられ手術室に運ばれる京子。それからしばくして二人は医師から説明を受けた。
「子宮外妊娠でしたな」
程なくして五来はマンションから姿を消した。京子が探しまわると、ある旅館にいることが分かった。
「あなた。突然いなくなって、どうしたの」
「五日ばかり旅をしようと思っていたんだよ」
「突然、姿をくらますなんてひどいわ」
「君もこれからは一人で生きることを考えなくてはいけないよ」
「どういうこと」
「一緒に生活するようになって、君の主演作は一本だけ。僕に至っては君の脚本を直すだけで、新作は一つもかけていないんだ。少し距離を置こう」
「ねえ。そんなこと言わないで。もっと演技のことや、いろいろ教えて欲しいの」
だが五来の意思は変わらず、二人は別居という形になった。
そんな時、京子が五来のマンションを訪ねたが、不在で合鍵を使って中に入って行った。書斎には原稿用紙が置いてあり、京子はその文字を何気なく追っていたのだが、次第に驚きの色を隠せなくなった。
京子は担ぎ込まれた病院の医師を訪ねた。
「先生。わたし、どうしても子供が欲しいんですの」
「困りましたな。実はあの時、あなたはすでに子供を産めない体になっていたんですよ。きっとご主人は、あなたに気を遣って、そのことを言わなかったんでしょう」
彼女は病院から出ると往来にある電話ボックスの中に入り、ノブの元へ電話を入れた。
「もしもし。ノブちゃん」
「京ちゃんかい。どうしたんだよ。急に」
「とにかく早くきて。今、勝鬨橋あたりの電話ボックスにいるの」
ノブは急いで車を走らせ、京子を自身が務める新聞社の一室に通した。
「どうしたんだい。京ちゃん」
「わたし、さっき五来のマンションに行ったの。そしたら書きかけの作品があってね。それを読んだら、男の人が女から逃げていく話なのよ。わたし、あれを読んで五来と別れることを決めたわ」
「さっきから部長をはじめ、うちの連中が廊下でお待ちかねなんだ。それうちだけのスクープにしていいかな」
「ええ」
京子は再び、春江との二人暮らしに戻った。
しかし、再び主演女優賞を逃すなどのことによって、彼女は精神的に弱っていった。
青ざめた顔をしてネグリジェを着たまま、鏡で髪をとかす京子。
「あんたの気持ちは分かるよ。誰だって賞を逃せば悔しいよ。でも、もう睡眠薬はやめられないのかい。これじゃあ。体が持たないよ」
「わたしのことは、もう放っておいて」
「放っておいてって!あんた、結局一人じゃなにもできないじゃないのさ!」
そう言って部屋を出ていく春江。
夜分に電話のベルが鳴る。
「もう。誰だろうな。こんな時間に」
そう言いながら受話器を持つ春江。
「はい。どちら様ですか。え、えっ!千坂がナポリの映画賞を!分かりました!すぐに伝えます!」
興奮気味に京子の部屋を開けようとする春江。だが扉は鍵が掛かっていて、容易に開くことができない。春江の頭に嫌な考えが横切る。
何度か体当たりをして、やっと扉を開けることができた。
「京ちゃん・・・」
そこにはベッドに横たわり、受話器を持ったまま、息絶えている京子の姿があった。
翌朝。京子の遺体は警察によって運び出されて行く。そこに詰めかける報道陣。容赦無くカメラのシャッターが切られる。
そこに鼻息の荒い藤巻潤が現れ、止めろー!止めろー!と騒ぐ。
その喧騒をよそにノブと春江は、静かに話す。
「京ちゃん。これでやっと安心したのかもな」
「今頃、天国でナポリの映画賞をもらっているかもね」
文字にすればこれだけのことかもしれない。だが、この作品の中で千坂京子というキャラクターを演じ切った若尾文子の才能は、やはり素晴らしいものがある。
若尾文子の作品と言うと、増村保造や川島雄三監督作品に特筆すべきものもが多いが、以外なところにも彼女の素晴らしさはあった。
そんな気になった作品であった。