百鬼夜行 vol.8 開催レポート
- はじめに.
2023年7月15日(土)-16日(日)、『百鬼夜行 vol.8』を開催しました。参加者並びにスポンサーの皆さま、ありがとうございました。
開催地は、数々の伝承が残る九州は福岡県。百鬼夜行では初の九州上陸です。その中でも今回は、「日本一の怨霊」とも言われた菅原道真をお祀りする太宰府天満宮、そして天照大神の娘たちが降り立った地と言われる「宗像大社」を訪れました。
今回は初の海上移動もあり、いつもとは少し違った雰囲気も漂う百鬼夜行となりました。2日間の開催記録を書き留めたいと思います!
- 百鬼夜行 vol.7 備忘録.
◉ 旅のしおりはこちら
◉ 北九州小倉の夜
今回、参加者のほとんどが名古屋在住、そしてなんと車での参戦…!!翌日の移動距離などを考慮し、集合地は北九州の小倉に。夕方集合とし、まずは九州の夜を楽しむことにしました。
この日は、ちょうど「小倉祇園祭」の開催日。いたるところから太鼓の音や掛け声が聞こえてきて、街全体がお祭り会場のような雰囲気!とても賑わっていました。
日本各地に残るお祭り。その地に住む人々が代々伝統を守り続ける、とても素敵な文化です。これからも絶えることなく続いてほしいなと願わずにはいられません。
翌日は早朝出発。お祭りと北九州グルメをたっぷり満喫し、この日は早めに就寝しました。
◉ 太宰府天満宮
太宰府天満宮の御祭神は、かの有名な菅原道真公。生前の経歴から「学問の神」として信仰を集める道真ですが、実は「日本三代怨霊」の一人に数えられ、歴史上最も恐れられた怨霊神だと言われています。
* 日本三代怨霊:菅原道真・平将門・崇徳院
太宰府に左遷された道真が失意のうちに亡くなると、都では道真の祟りについての噂が流れるようになります。そして、道真の失脚に関わった人物に、次々と不幸が訪れます。
都の人々は、これらがすべて「道真の祟り」であるとし、恐怖に震えたといいます。そして、道真の怨霊は雷神になったと考え、元より雷神がお祀りされている京都北野、そして道真が亡くなった太宰府の地に、それぞれ天満宮を創建しました。これが、太宰府天満宮のはじまりです。
太宰府では、博多在住のご一家も合流し、賑やかに境内へと向かいます。早朝出発したので、朝拝に参加することができました。
今回、素敵なご縁があり、なんと太宰府天満宮の神職の方にご案内していただくことができました。現在、重要文化財である御本殿を124年ぶりに大改修しているのだそう。改修は3年間にもわたるとのことで、御本殿前には、3年間限定の「仮殿」が建設されていました。
本殿の大改修が完了した暁にはこの仮殿は解体してしまうそうですが、改修の間も道真公、そして参拝に訪れた方々に喜んでほしいとの思いで、この仮殿を建設したのだそう。素敵な心意気です。
道真公は、雷神として天満宮にお祀りされるまで、「怨霊=祟りをもたらす鬼」として恐れられていました。
怨霊神としての鬼は、いかにして生まれたのか。道真公の怨霊は、彼の失脚に関わり、「自分は道真に恨まれているに違いない」と考えた人々の恐怖心が生み出した結果だと考えると、非常に興味深いです。
◉ 宗像大社
次に向かったのは、日本神話にも登場する日本最古の神社の一つでもある宗像大社。天照大神の娘の三女神が降り立ったといわれる聖地です。
宗像大社は、沖津宮・中津宮・辺津宮の三宮で構成されます。
九州本土にある辺津宮、そこからフェリーで25分ほどの大島にある中津宮、そして沖ノ島にある沖津宮。
中でも、沖津宮がある沖ノ島は、今なお女人禁制の伝統を守り、一般人は立ち入ることのできない神の島。上陸するには海に浸かり、禊を受けなければなりません。一木一草一石たりとも持ち出すことができない掟などが今も厳重に守られている神聖な島です。神職は、10日ごとの交代制で沖ノ島に滞在し、毎朝お祈りを捧げています。
まずは、本土の辺津宮を訪れました。
辺津宮境内にある高宮祭場は、沖ノ島と並ぶ最も神聖な場所。万物に神々が宿るという自然崇拝を今に伝える、稀な古代祭場です。
木々に囲まれ、境内の奥に隠れるように存在する高宮祭場。対峙すると、背筋がすっと伸びる思いでした。
そして、辺津宮参拝のあとはフェリーで大島に移動します。
百鬼夜行初の、海上移動です!
ゆったりとした島時間が流れる大島を散策しながら、中津宮、そして沖ノ島の拝殿の役割を果たす沖津宮遥拝所を目指します。
この日は見事な夏晴れで気温はぐんぐん上昇…暑さでバテそうになった時、ZENKIクルーの1人が、コミュニティバスを発見!タイミングよくバスに乗ることができ、島の北側に位置する沖津宮遥拝所へと向かいました。
あいにく沖ノ島は見えませんでしたが(天気の良い日には見えることもあるそう)、海に面した遥拝所は、とても気持ちの良い場所でした。
遥拝所から沖津宮へ参拝し、またバスに乗って島の南側へ戻ります。そして、最後に訪れたのが中津宮です。
海や山と調和しながら、それぞれ三者三様の姿を見せる三宮。沖ノ島には立ち入ることができませんが、宗像大社全体が、自然崇拝の歴史を肌で感じられる場所だなという印象を受けました。
- おわりに.
中津宮参拝の後は、フェリーで本土に戻り、これにて百鬼夜行 vol.8は終了です。
今回の百鬼夜行では、人が鬼になり神となった怨霊神を祀る「太宰府天満宮」、日本神話の舞台であり自然崇拝が息づく「宗像大社」と、違う顔をもつ2ヶ所の神社をめぐりました。
今回の百鬼夜行を通じて、個人的に感じたのが、日本における信仰は多種多様さであり、日本人の発想の自由さです。神仏習合にも代表されるように、独自の信仰を築き上げてきた日本文化の一面を垣間見た気がしました。
次回百鬼夜行の舞台はついに、伊勢神宮です。
日本の最高神である天照大神が鎮座する場所。ZENKIクルーと一緒に訪れることで、どんな発見があるのか、今からとても楽しみです。