建設業のNEWS TOPICS(2023.11)
1日 総資本経常利益率が減少/東保証、建設業財務統計指標
東日本建設業保証は中小建設会社の経営活動実態を分析した「建設業の財務統計指標(2022年 度決算分析)」を発表した。収益の総合指標にしている総資本経常利益率は前年度を1.28ポイン ト下回る4.32%。2年連続で減少となった。要因は分析していないが、長期化する資材高騰の影響があるとみられる。
6日 75%以上達成団体は倍増/国交省、都道府県の週休2日工事
国土交通省が都道府県に週休2日工事の取り組み状況を聞いたところ、2022年度は前年度より週休2日を実際に達成した工事の割合が各団体で上昇していることが分かった。22年度の工事完了件数のうち4週8休の達成件数が「75%以上」と回答したのは7団体で、21年度から4団体増加した。達成率が高い団体は発注者指定型の割合が多く、週休2日の対象範囲も限定しない傾向がある。
7日 25年度の完全週休2日導入/東京生コン協組、周辺協組と連携
東京地区生コンクリート協同組合は2025年4 月1日から完全週休2日制導入を目指す方針を固めた。土日祝日の完全休日化を前提に、やむを得ず稼働する場合は割り増しの休日単価とする。組合員企業では高齢化が進んでおり、週休2日にしなければ若手の人材確保が困難との問題意識が背景にある。今後、施工者らへの説明を本格化するとともに、首都圏の周辺協組との連携を模索する。
8日 自治体で交代制導入進む/国交省調査、週休2日確保へ工夫
国土交通省は地方自治体発注工事の週休2日の実現に向け、交代勤務などの対応方策の浸透を図る。同省によると、技術者や技能者が交代しながら4週8休以上を確保する「週休2日交代制工事」 は都道府県の約4割に当たる19団体が導入済みで、8団体は導入を検討中。通年の維持管理業務などで運用実績がある一方、受発注者双方の業務負担などを課題に挙げる声もある。建築工事などに多い施設供用しながらの工事を念頭に、関係者間の密な調整で休日確保を可能とする好事例の水平展開も促す。
8日 建設業は3.2%増/厚労省調査、23年夏季ボーナス
厚生労働省は建設業の2023年夏季賞与(ボー ナス)の調査結果を公表した。1人当たりの平均額は前年比3.2%増の54万0695円。全16産業で7番目の水準で、全産業平均(39万7129円) よりも14万円以上高かった。前年からの増減率は全産業平均(2.0%増)を1.2ポイント上回った。
9日 品確法改正PT 設置へ/自民品確議連、働き方改革対応
自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」 (会長・根本匠衆院議員)が公共工事品質確保促進法の改正に向けた検討を本格化する。都内で総会を開き、有志議員が参加する法改正プロジェクトチーム(PT)の設置を了承。建設関連業界団体からの要望を踏まえ、法制化の内容を詰めていく。
10日 30地区で24年当初に手続き/防衛省、 最適化事業のECI初弾
防衛省は基地や駐屯地など既存施設の集約化や再配置を行う「最適化事業」について、初弾案件の設計業務の委託先を決める公募型プロポーザルの手続きを2024年1~3月に開始する。いずれも施工予定者が設計を支援する「ECI 方式」を採用する。発注単位は各駐屯地単位。23年度に優先的にマスタープランの作成作業を進めている地区のうち、ECI を採用予定の51地区から約30地区を選び、それぞれ業務を発注する。技術協力業務についても24年度内に契約を結ぶ予定だ。
10日 受験資格・試験内容を刷新/国交省、技術検定実施計画
国土交通省は監理技術者や主任技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得する技術検定の2024年度実施計画を公表した。若年層の確保や他産業からの入職促進を目的に、学歴差を撤廃した新たな受験資格を24年度から適用し試験問題も見直す。受験資格は第1次検定で学歴差を撤廃し門戸を広げ、1級は19歳以上で受験可能となる。 第2次検定は1級、2級ともに「技士補」となってから一定期間の実務経験で受験可能とする。ただし28年度までは従来の受験資格要件で第2次検定を受験可能とする経過措置を運用する。
13日 国土強靱化対策で1.5兆円/政府、23年度補正予算案
政府が閣議決定した2023年度補正予算案によ ると、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の4年目分として、国費1兆5188億円を計上した。財政投融資などを加えた事業費ベー スでは2兆3560億円。うち公共事業関係費は国費1兆3022億円(事業費2兆0035億円)を確保する。いずれも計上額には現下の資材価格や物価の高騰などを踏まえて5か年加速化対策の別枠として創設した「国土強靱化緊急対応枠」(3000億 円)も含まれている。
17日 主要基準類書籍を電子化/日本道路協会、 24年4月開始
日本道路協会は2024年4月、同協会が発刊し ている道路建設基準類書籍の電子利用サービスを始める。道路建設業団体などのニーズを踏まえ、1 冊当たり数百ページある膨大な書籍を電子化し、 官民の技術者らによる検索や持ち運びなど業務の効率化を促進。サービス開始から9月末までの半年間を導入期と位置付け、特別に無料で誰もが利用できるようにする。将来は電子化する書籍を順次増やしていく。
17日 公共建築確認を民間機関も/内閣府有識者会議、地方分権改革
内閣府は地方分権改革に関する有識者会議を開き、地方からの提案に対する対応方針案を示し た。専門人材の不足などを背景に公共建築物の建築基準適合の審査や完了検査について、地方自治体の「建築主事」に代わり、民間の指定確認検査機関も実施できるようにする。対応方針は年末の閣議決定を目指す。法改正での対応が必要な施策は次期通常国会に関連法案を提出する方針だ。
21日 「標準労務費」検討に着手/国交省、補正予算案に調査費計上
国土交通省は建設業での適切な労務費や賃金の行き渡りを担保する基準として制度化を目指す「標準労務費」の具体的な検討に入る。今月閣議決定した2023年度補正予算案に制度化を見据えて前もって実施する調査・分析の委託費を計上。公共工事設計労務単価に直轄工事で使用する歩掛かりを乗じる方法で標準労務費を作成することを前提に、多くの種類が存在する歩掛かりの中で工種ごとに「標準的な仕様・条件(規格)」を特定するための方策を検討する。
27日 転籍要件は原則1年超/政府有識者会議、 外国人就労制度
政府の外国人材の受け入れに関する有識者会議は都内で会合を開き、技能実習に代わる新たな制度「育成就労」に関する報告書案を大筋で了承し た。同一機関での就労が1年超の外国人材を対象に基本的な育成期間(3年)の終了を待たずに、本人意向での転籍を容認する。制度移行に伴う急激な変化を緩和するため、受け入れ分野ごとに転籍を制限する期間を延長できるといった経過措置の検討を提言した。最終報告書は細部を見直し、月内に小泉龍司法相への提出を目指す
[全建ジャーナル2023.11月号掲載]