建設業のニューストピックス(2023.8)
2日 24年度新規事業化「適当」/国交政審、中部国際空港滑走路増設
国土交通政策審議会航空分科会事業評価小委員会は、中部国際空港会社(愛知県常滑市)が計画する滑走路増設事業の2024年度新規事業化を「適当」と判断した。近く交政審での審議を経て国交省の24年度予算概算要求に反映させる。中部国際空港の滑走路増設事業では、空港島内にあるA滑走路の東側に2本目となる新しいB滑走路を整備する。延長は3290メートル、幅45メートル。既存の誘導路を改修し整備する形になる。事業費は145億円。
2日 建設・採掘は5.68倍/厚労省、6月の平均有効求人倍率
厚生労働省の6月の平均有効求人倍率によると、「建設・採掘」の職業は前年同月比0.26ポイント上昇の5.68 倍になった。新規求人倍率は0.21ポイント上昇の9.30倍だった。建設・採掘関係の有効求人倍率を職業別に見ると、最高だったのは「建設躯体工事」10.22倍(前年同月から0.15ポイント上昇)。次いで「土木作業」6.50倍( 0.50 ポイント上昇)、「建設」5.14 倍( 0.44 ポイント上昇)、「電気工事」3.56倍(増減なし)となった。
3日 専用貿易保険を創設/経産省、万博パビリオン建設加速策
経済産業省は2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で外国・地域が自ら設計・施工するタイプAパビリオン建設の加速に向け、支援策を発表した。ゼネコンが懸念する対価の支払いリスクなどに対応するため、日本貿易保険(NEXI )に、海外パビリオンの建設会社向けに特化した「万博貿易保険」を創設。中堅・中小建設会社の利用促進へ、保険の専用窓口も設けた。支援に万全を期すため省内体制も強化した。
4日 建設業は2636 事業場/厚労省調査、22年度労基法違反
厚生労働省は2022年度に長時間労働が疑われる事業場を対象に実施した監督指導結果を公表した。対象の3万3218事業場のうち81.2%の2万6968事業場で違法な時間外労働を確認。是正や改善に向けて指導した。建設業は3228事業場のうち、2636事業場で時間外労働や残業代の不払いなど労働基準法関係法令違反があった。時間外・休日労働時間数が1カ月当たり80時間超と考えられる事業場や、長時間の過重労働によって労災請求が行われた事業場を対象に監督指導を行った。
8日 糠平と太田川総合開発の評価着手/国交省、24年度新規直轄ダム
国土交通省は2024年度予算の概算要求に向けて、国の直轄ダム事業の新規採択時評価の手続きに着手した。糠平ダム再生事業(北海道上士幌町)と太田川総合開発事業(広島県安芸太田町、北広島町)の2事業が対象。気候変動による雨量の増加に備え、ダムの新設や既設ダムの改修に取り組む。8月末までに評価結果をまとめる。
9日 前年度比2.2%増予測/国交省、23年度建設投資見通し
国土交通省は2023年度の建設投資額(名目値)が前年度比2.2%増の70兆3200億円になる見通しを発表した。内訳は政府投資が25兆3400億円(前年度比4.5%増)、民間投資が44兆9800億円(1.0%増)。背景には底堅い需要がある民間投資に加え、今年初めころから政府投資の出来高と手持ち工事高が一段と増えていることなどがある。
9日 マップで86施策促進/国交省、インフラDX行動計画改定
国土交通省は2022年3月に策定した「インフラ分野のDXアクションプラン」を初めて見直した。インフラの整備や維持管理、街づくりなどで生産性や品質の向上を追求しデジタル技術やデータなどを活用する施策の数を53から86に拡充した。個別施策の連携によって生産性向上など効果のさらなる発現も促進。新たな連携促進ツールとして86の施策をデジタル技術やデータなどの内容別に分類した一覧表「インフラDXマップ」も作成した。
10日 建設業の賃上げ率3.36%/厚労省調査、23年春闘
厚生労働省は2023年春闘について主要企業の妥結状況をまとめた。建設業(集計企業数26社)の定期昇給分を含む賃上げの平均妥結額は、前年比2579円増の1万1913円。賃上げ率は3.36%(22年は2.75%)だった。
21日 9月30日で販売停止/福祉共済団、工事現場単位契約
建設業福祉共済団は建設共済保険で1974年に創設した「工事現場単位契約」方式の販売を9月30日で停止する。代わりに81年に創設した現在の主力商品で、工事現場単位契約に比べ加入者のメリットが多い「年間完成工事高契約」方式への移行を促す。
24日 技能者の処遇改善を努力義務/基本問題小委の中間まとめ案
国土交通省の中央建設業審議会と社会資本整備審議会産業分科会建設部会が設置する基本問題小委員会の第4回会合が東京都内で開かれ、建設業関連制度の法令や運用の改善を提言する「中間とりまとめ」案が示された。持続可能な建設産業の構築に向けた抜本的な課題を技能者の処遇改善に据えた。適切な賃金とその支払いを確実にするため、新たに建設事業者に対し法令で技能者の適切な処遇確保を求める努力義務規定を提案した。9月に開く次回会合を経て中間取りまとめを決定し、秋の中建審会合に報告する予定。
24日 5.2 万人減22 万人に/厚労省調査、22年の建設業入職者
厚生労働省は2022年(1~12月)の主要産業別の雇用動向調査の結果をまとめた。建設業に入職した人の数は年間22 万500 人となり、前年(27万3300人)より5万2800人減った。離職した人の数は28万7100人で2万6600人減少。入職者数と離職者数の差し引きでは、離職者の方が6万6600人上回った。
25日 公共事業費19%増の6.3兆円/国交省、24年度予算概算要求
国土交通省は2024年度予算の概算要求を発表した。一般会計の国費総額は前年度予算比19.1%増の7兆388億円。うち公共事業関係費は19.0%増の6兆2908億円を求める。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」は前年度に続き事項要求とする。高止まりしている建設資材価格の変動に応じ、必要な公共事業の量を確保する。特別枠「重要政策推進枠」には1兆6149億円を求め、国土強靱化やGX(グリーントランスフォーメーション)・DXなどに取り組む。
25日 持続可能な建設業でポスト新設/国交省、24年度組織・定員要求
国土交通省が公表した2024年度の組織・定員要求で、持続的な建設業の実現に向けた取り組みを加速するため、不動産・建設経済局に課長・参事官級ポストの新設を求めた。同年度に適用される時間外労働の罰則付き上限規制もにらみ、担い手確保に向けた処遇改善や資機材高騰を踏まえた流通の安定化で対応を強化。「建設産業を支える人と物(資材)が確保されるよう環境を整えていく」(不動産・建設経済局担当者)方針だ。厚生労働省からの水道整備・管理行政の移管に伴う体制整備も要求した。同省医薬・生活衛生局水道課の体制(環境省移管業務を除く)を水管理・国土保全局下水道部に統合再編。部内に水道を担当する課を新設し、課長を置く。
[全建ジャーナル2023.9月号掲載]
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