建設業のNEWS TOPICS(2024.2)
1日 週休2日達成率、46.5%/国交省、22年度都道府県発注工事
国土交通省の調査によると、都道府県発注工事の2022年度完了案件のうち週休2日を実際に達成した割合は全国平均で46.5%だった。21年度完了案件を対象とした前回調査時の全国平均と比べ15.8ポイント上昇。前回調査で11団体あった達成率10%未満がゼロになるなど、各団体で着実な進展が見て取れる。ただ、時間外労働の上限規制が4月に適用されることを考えるとまだ低水準と言える。
2日 働き方チェックリスト活用/国交省、一人親方の規制逃れ措置
国土交通省が規制逃れを目的とした「偽装一人親方」の抑制に向け官民で取り組む内容をまとめた。一人親方と雇用労働者を線引きする「働き方自己診断チェックリスト」の現場活用などを2024、25 年度に推進。「適正でない一人親方の目安」を年齢や経験年数に加え、技能レベルも加味した上で26年度以降に策定し、現状より踏み込んだ実効性の高い方策を講じる。
5日 品確法・建設業法など一体改正へ/自民品確議連総会、賃上げも後押し
自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)が総会を開き、公共工事品質確保促進法の改正案を開会中の通常国会に提出する方針を固めた。品確法の理念を反映する形で公共工事入札契約適正化法と測量法も議員立法で改正する。根本会長は、閣法として改正案を提
出する建設業法と入契法を含めた4法を「トータルで捉える必要がある」と強調。公共工事だけでなく民間工事も視野に入れ「建設業法も含めた法制度の拡充によって、建設産業の健全な発展を後押しする」とした。
5日 港湾・空港・海岸に初適用/国交省、能登半島地震で権限代行
能登半島地震で大きな被害を受けた石川、富山両県など地方自治体が管理するインフラ施設について、国土交通省は権限代行制度による本復旧工事の第2弾に乗りだす。1月に決定した初弾の道路や河川、緊急的な地滑り対策に加え、港湾や空港、海岸の本復旧工事にも同制度を適用することを決めた。
8日 国8.1億円、地方27.2億円/財務省ら、政府調達協定の基準額
財務、総務両省は世界貿易機関(WTO)の政府調達協定が適用される2024~25年度の工事や設計・コンサルティング業務の基準額を告示した。
国発注の案件では、工事が8億1000万円(22~23年度6億8000万円)、設計・コンサル業務で8100万円(6800万円)を基準とした。都道府県・政令市の発注案件は工事が27億2000万円(22億8000万円)、設計・コンサル業務が2億7000万円(2億2000万円)になった。いずれの発注案件も基準額が引き上がる。
9日 投資的経費12兆円/政府、24年度地方財政計画
政府は地方自治体の歳入・歳出見込み額を示す2024年度地方財政計画を決定した。歳出総額は前年度比1.7%(1兆6038億円)増の93兆6388億円。このうち投資的経費は0.1%(165億円)増の11 兆9896 億円を見込む。投資的経費の内訳は国庫補助負担金を伴わない自治体単独事業が0.8%(500億円)増の6兆3637億円、国直轄事業負担金と国庫補助事業の合計が0.6%(335億
円)減の5兆6259億円となる。
13日 転籍制限は2年まで/政府、外国人材受け入れ新制度
政府は技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を創設する方針を決定した。受け入れた外国人材を3年間で特定技能1号の技術水準まで育成する。新制度で認める本人意向での「転籍」の制限期間は「1年」とする方向。激変緩和措置として産業分野ごとに最長2年までの延長を認める。転籍前の受け入れ企業が支出した初期費用などについて正当な補償を受けられるようにするための仕組みも検討する。
16日 監理技術者の現場不在を柔軟に/国交省、遠隔管理など条件明確化
国土交通省は現場技術者の働き方改革に対応した制度運用の方向性を固めた。監理技術者や主任技術者の専任制度であいまいになっていた部分を明確化し、専任工事で「工事現場を離れることができる条件」などを例示。現場を不在とする場合、現行では発注者などの了解を条件としているが、休暇などによる1~2日程度の短期間の不在であれば適切な施工体制の確保を前提に受注者の裁量で可能とする。施工体制を確保の手段として遠隔施工管理を位置付ける。
16日 在籍出向技術者配置で新ルール/国交省、連結子会社間でも容認
国土交通省は建設現場の監理技術者や主任技術者として企業グループ内の「在籍出向技術者」の配置を認める新たな運用ルールの方向性をまとめた。親会社と連結子会社の間で在籍出向の配置を認める現行の特例をそのまま運用し、連結子会社間で在籍出向後3カ月以上あれば技術者配置を可能とする規定を創設する。この規定では出向元と出向先の経営事項審査の有無を問わないこととする。持分法適用会社と親・子会社の間の在籍出向は従来通り認めない。
19日 設計労務単価5.9%引き上げ/国交省、過去10年で最大の伸び
国土交通省は公共事業の積算に用いる新しい公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価を発表した。労務単価は全国・全職種の単純平均で5.9%、技術者単価は全職種の単純平均で5.5%引き上げる。いずれも前年度を上回り過去10年で最大の伸び率。労務単価は都道府県別・職種別で1000以上ある単価のすべてがプラス改定となる。業界を挙げての賃上げや、価格転嫁の円滑化への働き掛けが実を結んだ格好だ。新単価は3月1日から適用する。
19日 能登復興事務所を開所/北陸整備局、本復旧の拠点に
国土交通省北陸地方整備局は16日付で石川県七尾市の金沢河川国道事務所能登国道維持出張所内に「能登復興事務所」を設置し、同日に現地で開所式を開いた。併任を含め職員16人体制で始動。所長には道路局国道・技術課道路メンテナンス企画室課長補佐だった杉本敦氏が就いた。権限代行制度などを活用し、国が前面に立って推進するインフラ本復旧・復興工事の拠点に。
21日 著しく低い労務費見積もり禁止/国交省、業法・入契法一括改正案
国土交通省が今国会に提出予定の建設業法と公共工事入札契約適正化法の一括改正案の概要が明らかになった。適正な労務費の確保と行き渡りに向けた法規制の導入が最大のポイント。中央建設業審議会が「労務費に関する基準(標準労務費)」を勧告し、著しく低い労務費などによる見積もり・契約を禁止する規定を新設する。違反した場合、発注者は国交大臣などによる「勧告・公表」を可能とし、建設業者は注文者と受注者ともに現行規定に基づく「指導・監督」の対象とする。
21日 契約前リスク通知義務化/国交省、業法・入契法一括改正案
建設業法と公共工事入札契約適正化法の一括改正案では資材価格の高騰を念頭に建設取引の価格転嫁に関する協議を円滑化し、労務費へのしわ寄せを防止する仕組みも新設する。契約前のルールとして資材の価格高騰や入手困難などの「恐れ情報(リスク情報)」を受注者が注文者(発注者含む)に通知する義務を課し、契約後のルールとして受注者が契約変更の協議を申し出た場合、注文者が「誠実に協議に応じる」ことを努力義務とする。