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[最新版] MEDICA 2024における各社の環境負荷低減への取り組み

こんにちは!zeniusです。
今回は、2024年11月に出展したMEDICA 2024より、医療用包装における持続可能な生産活動への取り組みをされている企業を紹介いたします。zeniusメンバーが、現地でその取り組み内容をヒアリングしてまいりましたので、その様子とともにレポートいたします。


DuPont( https://www.dupont.co.jp/ )

DuPont社は、Tyvek®(以下タイベック)の生産プロセスの見直しによって、材料廃棄物を最大30%削減できることを紹介していました。生産コストはやや上昇するとのことですが、タイベックを利用している企業や団体にとっては、持続可能な事業活動に寄与できる選択肢と言えそうです。また、彼らはタイベック製造施設でISCC PLUS認証を取得しており、2022年以降はその生産に再生可能エネルギーを使用しているとのことです。

DuPont|MEDICA 2024
DuPont|MEDICA 2024

Vernacare( https://vernacare.com/ )

Vernacare社は、再利用可能な新聞紙ベースの簡易トイレを提供しており、そのトイレは凝固剤や分解装置を通して下水処理ができます。また、彼らはリサイクル可能率70%以上の製品を中心に、リサイクル可能な注射針廃棄システムも提案しており、医療現場における廃棄物削減に直接寄与しているのではないでしょうか。これらの製品の一部は、2024年12月時点では日本でも購入できるようなので、有事のために備えておくのも良いかもしれません。

Vernacare|MEDICA 2024
Vernacare|MEDICA 2024

FrostPharma( https://www.frostpharma.se/ )

スウェーデンの製薬会社であるFrostPharma社では、WoodSafe®というバイオコンポジット製の危険廃棄物容器を紹介していました。この製品は、80%再生可能なスウェーデンの森林由来の原材料を使用しており、CO₂排出量を最大66%削減することができるそうです。これにより、従来の化石燃料ベースのプラスチック容器と比べ、大幅な環境負荷低減ができるとのこと。日本もスウェーデンと同程度の森林占有率ではありますが、その積極活用には政策や文化的背景の違いなど、いくつかハードルがあるようです。

FrostPharma|MEDICA 2024
FrostPharma|MEDICA 2024

NordicMed( https://nordicmed.com/ )

デンマークの医療機器サプライヤーであるNordicMed社の製品パッケージは、着色せずリサイクルしやすいナチュラルなデザインを採用しています。また、製品自体も機能に影響しない範囲で環境負荷を削減した設計がされ、その輸送には、空輸ではなく陸路輸送を使用することでCO₂排出を削減する取り組みをされているそう。そして最小限の印刷であることが、パッケージとしてのデザイン性にも寄与していると感じました。
※こちらのブースでは、撮影許可をいただけなかったため写真はありません。

zenius所感

今回のMEDICA取材を通じて、医療機器産業においても、環境への配慮や規制対応が今後さらに重要になるであろうことを実感しました。
以下に、今回の調査やヒアリングを通じて得られた、zeniusメンバーの所感を記載いたします。

ISCC PLUS認証の導入がもたらす変革

医療機器の生産プロセスにおいても、ISCC PLUS認証の必要性が顕在化しつつあります。特に、リサイクル可能なグリーンエネルギーへの転換は、業界に適した解決策と考えられており、その代表例としては先般のDupont社のタイベックが挙げられ、医療用途における代替エネルギーの可能性を示しています。しかしながら、医療機器業界では「4M(Man、Machine、Method、Material)」変更が極めて高いハードルとなっており、すべての工程で認証取得が必要になることが大きな課題です。こうした制約を克服するには、産業全体での協調的なアプローチが求められます。

EU規制の影響とその双刃性

EU独自の環境規制は、素材ごとに適用基準が異なるため、企業の戦略的対応が不可欠です。これらの規制は、持続可能性への取り組みを促進する一方、事業運営における制約となる可能性も否めません。規制厳守の負担が新たなイノベーションを阻害するリスクについては、慎重に検討する必要があると言えます。

SDGsへのアプローチにおける地域的ギャップ

今回の取材で興味深かったのは、SDGs(持続可能な開発目標)への認知とアプローチの違いです。
海外では、「SDGs」というフレームワークそのものよりも、個別の目標(例:気候変動の緩和、ジェンダー平等の促進)に焦点を当てた具体的な実践が主流となっています。このような地域的な視点の違いは、日本企業がより効果的にグローバルな課題に取り組むための道しるべにもなります。

サプライチェーン全体での統合的対応の必要性

医療用部材においても、サプライチェーン全体での環境負荷低減が不可欠であることが明確になりました。取材した企業のみならず、多くの企業が環境対応を全面に打ち出し、持続可能な供給体制の構築を目指しています。これらの取り組みは、医療機器産業が直面するグローバル課題に対応する上で不可欠な要素となるでしょう。医療機器産業は、単に製品を供給するだけでなく、環境と社会に配慮した持続可能な価値創造を担う役割を果たすべき時代に突入してきています。


zeniusはこのような動向に常に注目し、日々の医療デバイス開発に役立てています。また、今回は環境負荷低減をテーマとしたMEDICA取材でしたが、そのほか、業界における国内外の製造/開発キープレーヤーとの交流を通じて、最新医療デバイス情報を得ながら研究も進めています。

本件や弊社サービスに関するお問い合わせは、HPよりぜひご連絡ください。


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