
車旅記:粟津温泉 法師に泊まってみた
個人的なマイブームに「登録有形文化財のお宿に泊まる」というのがありまして。暇を見つけては宿泊しています。今回は石川県小松市にある粟津温泉 法師さんに宿泊しました。
たまたま一人旅プランの空きがあって、ちょうど仕事が忙しかったのが一段落して、更に愛車も気がついたら2ヶ月乗ってなくてそろそろ乗らないと!と、諸々の事情が重なってお出かけする運びと相成りました。
先に結論から言うと、Googleマップの口コミにこのときの体験をまとめたら、それがほぼ全てになってしまったのでそれを読んでいただけると良いだろう😂
うん、良いお宿とは思うけどさ。個人的には1泊3万5千円出してこの建屋にこのお料理でこのお風呂か・・・と思っうと少しがっかり感があった。ただ、このお宿の真骨頂は庭園内にある離れの法師 延命閣なのでそこに宿泊すれば評価は変わったのかもしれない。(気軽にまれるお値段でもなく更にソロで泊まれないので無理ですが😂)
登録有形文化財のお宿に泊まるという当初の目的は達成はできたのだけどまた泊まりたいかって言うと答えはNOという結論に至る🥺
粟津温泉と法師
山代・山中・片山津とここ粟津をあわせて加賀温泉郷と言われる温泉地帯の1つ。開湯は約1300年前とされる歴史のある温泉地だ。泉質は共通して無色透明無臭の熱めなナトリウム泉だ。賑わい具合は山中温泉とそれ以外だと思う。この日は山中、山代と見て回ったが山代温泉も週末の割には人の気配があまりなくひっそりとしていたし、粟津温泉も同様だ。だが、インバウンドの影響もほとんど受けておらず従来の日本の温泉地を堪能できるという意味ではとても良い場所だと思う。ちなみに粟津温泉は温泉街がほぼ無いのでここでの過ごし方は基本的に宿でお籠りして過ごすことになるだろう。

そして法師は数ある加賀温泉郷のお宿の中で唯一登録有形文化財を有するお宿だ。登録有形文化財に指定されているのは玄関と、中の日本庭園にある離れ 延命閣なのだが、離れはもちろんソロでは宿泊できない。そして一泊20万円近くする天井の客室だ😂
今回は一人旅向けで料理がちょっと良いプランを予約した。宿泊料は1泊3万5千円だ。個人的な金銭感覚では物価高のこのご時世だと少しグレード高めのお宿代程度で、上記の特別な離れみたく目ん玉飛び出るような宿代ではないと思う。
・・・それにしても粟津温泉、オフィシャルは「のとや」と「法師」以外は認めん!知らない!というスタンスらしい。新参と古参で確執があるんだろうね。もちろん品質を高め、ブランドを守るという意味では重要な取り組みではあるけれど若干憎悪みを感じるのは気のせいだろうか。このご時世もう少し歩み寄って盛り上げていかないと続かないぜ?と思ったり思わなかったり🤔

ちなみに粟津温泉のオフィシャルWebサイトはSSLに対応していないので安全ではないと、PCから最新のブラウザでは見ることができない。今どきこれは無いなぁ。
温泉宿に泊まる意味
湯治やレジャー、気分転換、現実逃避などなどいろいろな事情はあるだろうけど個人的にはそのお宿の「体験」を重視する。つまりそこに宿泊することで得られる特別な時間だ。それは建屋の雰囲気や窓から見える景色、従業員さんの所作、お料理にお部屋から見える景色までポイントは多岐にわたる。それらを統合してそのお宿の世界観が体験そのものなのだと思ってる。

庭園、お宿のエントランスの雰囲気は良かったと思う。けれど今回は美味いご飯と温泉を重視していたのでその部分が期待とギャップがあったのだろう。

石川・加賀のご飯?と言われると少し個性も薄かったと思う。多分この内容はここでなくても食べることはできる。具体的にはもっと加賀野菜をふんだんに使ってそこに日本海の魚介を上手く組み合わせてくれたらなって思ったのだけれど、終始「北陸の一般的なごちそう」という世界が続いていたのががっかりだったわけだ。なお、ここの料理長の名誉のために申し上げておくとどれもめっちゃ美味しいのは間違いない。

これが一番気に入って素朴な味付けの中に出汁や素材の旨味が広がった

のどぐろの塩焼き、お吸い物と地元産コシヒカリに香香
あと加賀棒茶があればこれだけで最高ね😁
もちろんこれは個人的な趣味趣向の話であって、ごちそうであることには間違いない。個人的には上質な加賀れんこんの素揚げや天ぷらを塩でいただくだけで十分ごちそうと思える味覚の持ち主なのでそういう味覚とマッチしなかった、というだけの話だ。
ちなみに最近は朝ご飯のほうが好印象な宿が個人的には多い。もしかしたら味覚が爺になってきた証拠なのだろうか😂

美味しいだし巻き玉子、一夜干しの干物焼きに蟹味噌汁、
ご飯のお供に漬物や佃煮などたくさんあって美味しかった
出回っている写真はいいところしか見えない

宿泊したお部屋、日本庭園が見えて静かで素敵な空間だった。こういう世界観は由緒ある温泉旅館に宿泊する意義を十分に感じさせてくれるね。

同じものが売店で7000円で売られていた😁
一方で部屋の奥の方はいかにも改築増築しました!と言わんばかりの取って付けたような流しとトイレと洗面台・浴室があったりと。一気に由緒ある温泉宿から需要に合わせてとりあえず拡張しましたという田舎の温泉旅館に引き戻される。

トイレには手洗い簡易水道があるけどペーパータオルは少し歩いた洗面台にしかなかったり。お部屋の照明のスイッチが室外にしかなくて寝る時が面倒だったり、スイッチ周りの壁紙がボロボロでツギハギされているけれどそのツギハギが剥がれかけていたり。はたまた廊下の階段に敷いてある絨毯は擦り切れていたり・・・と。
多少の不便さは古さは建屋が古いから仕方ない。むしろそれを好んで訪れているので別に気にしていないのだけれど、その不便さをねじ伏せる圧倒的な世界観があるかと言うと一般客室にそれはない。所々でコンニチハ!って顔を出すツギハギがそのお宿や設備の年季や歴史ではなく、今現在のコストの問題という現実にそのお宿が過ごしてきた時間を強制的に巻き引き戻す。

BGMは雨音で
多分大きな建屋や庭園の維持で色々とコストが嵩む中、物価高も相まって色々と手が回ってないのかな、なんて思ったりもした。色々と気になることばかり書いてしまったけれど、多分個人的なハードルを上げすぎただけの話なのだと思う。スタッフの方々の対応もとても良く、気軽に訪れる分には多分満足感も高いお宿なのは間違いないだろう。祖父母を連れたご家族で訪れている方も多く、幸せな時間をたくさん目撃した😇
更にこの界隈はインバウンドにバレていない?のでやかましい外国人観光客もおらず、客層がとても良いのでそういう安息を求めて訪れるのもいいと思う。