銀行が住宅ローンを販売する本当の意味とは?
過去に何回かに渡って住宅ローンについて記事にしてきましたが、今回はなぜ金融機関がそんな「薄利多売」の住宅ローンを販売するのか?を考えて見たいと思います。
現在の住宅ローン金利
ざっとネットで検索してみると今や条件、属性が良ければ変動金利で最安0.38%。フラット35で0.97%(ともに価格ドットコム調べ)です。安っ!
0.38%、0.97%でお金を借りるとどのくらいの金利を払うのでしょうか。
5,000万円、35年払いで
0.38%➝約340万円
0.97%➝約900万円
です。安いですね〜。5,000万円35年どこかに預けて340万円しか増えない金融商品を勧められてあなたなら購入しますか?
では銀行はなぜこんなに安くできるのでしょうか?安くするのでしょうか?
基準金利
変動金利には基準となる金利があります。その金利は実質0金利の中で2.475%でここ10数年は全く動いていません。
出展:住宅金融支援機構
「あれ?さっきの0.38%は?」これは、各行が競争により金利を「割引」しているために出てくる数字です。
勤めている会社、勤続年数、年齢、収入、そんな事を総合判断してその人にどれだけの割引金利を適用するか各行が判断します。
安定した会社(その最たる例が公務員)、安定した(高)収入、勤務歴が長い、等々が揃うと最低金利=割り引き率が高くお金を借りることができます。
なぜそんなに競争をするのか?
一つは貸し出し先がなくなっているからです。銀行は有料企業にはお金を貸したい、倒産しそうなところにはお金を貸したくない。
コロナ禍の前、おぼえているでしょうか?大企業の内部留保は史上最大規模の額になっていたことを。
個人で言ってみれば貯金が沢山あって、困ってない。だからお金を借りる必要がない。
お金が必要なところはリスクがあるから貸したくない。
なのでお金を貸すところが無かったわけです。
私がお付き合いのある社長さんもコロナ禍の前は銀行から「3ヶ月でいいから借りてくれ、使いみち無くてもいいから借りてくれ」、と言われてましたが、いざコロナ禍で資金繰りが悪くなるとお金を貸してくれない。
銀行はそんなもんだと大企業はわかっているのでリーマンショック後、いざというときに備えてしこたま貯金をしてました(それが今のコロナ禍で役に立つとは皮肉な結果と言うか、準備の賜物というか…)
なので銀行としては取りパッグレの少ない「住宅ローン」を必死に競争して売り込んでいるのです。
優良顧客のリスト作り
ですが、ここまでやるのは度が過ぎているとはおもいませんか?
35年、超長期間お金を貸して売り上げ(利益ではありません)にあたるものが340万円ですよ!おかしいと思いませんか?
もちろん銀行にも思惑があります。それは「優良顧客のリスト作り」です。
先程言ったように住宅ローンを借りるにはお金の履歴を丸裸にされます。
去年、一昨年いくら稼いだのかではなく「いくら納税したのか」、いくら貯金があるのか、どんな会社には勤めているのか、資産はどのくらいあるのか、借金はどのくらいなのか…
ここからわかるのは、銀行が売りたい金融商品を売りつけることができるのか?です。
住宅ローンを借りるときに合わせて保険や投資信託の勧誘を受けたことはありませんか?
これが銀行の狙う本丸です。
微々たる売り上げで優良顧客のリストを作り、囲い込みをして、あわよくば手数料が高くてリターンの少ない金融商品を売りつけようとしているのです。昔は保険、今なら投資信託が代表格でしょう。
なぜ銀行が破格の金利で住宅ローンを貸しているのかなんとなくわかって頂けたでしょうか?
銀行はお金を貸すだけでは生きてはいけない世の中です。いかにして金融商品を販売して手数料を稼いでいくのか。その為の準備が「住宅ローン」なのです。
お金に旅をさせよう