「なぜ Web 3は重要なのか」を考える
こんにちは。Surface&Architecture インフォメーションアーキテクトの安田です。
この記事では、Chris Dixon氏による "Why Web 3 matters" の翻訳を紹介し、内容について簡単な解説をします。
はじめに、記事を書くことになった経緯を紹介します。
Surface&Architectureでは、2週間に1度の全社ミーティングの冒頭にSALTという時間を設けています。SALTはSurface&Architecture Lightning Talk の略で、最近気になったことや面白かったことを社内向けに共有する時間です。
先日のSALTで "Why Web 3 Matters" というChris Dixon氏のツイートを翻訳して紹介しました。この時のプレゼンテーションを S&A Journal向けに再構成したのが本記事になります。
※Chris Dixon氏はベンチャーキャピタル andreessen horowitz (a16z)のジェネラル・パートナーで、crypto/ web3 ファンドを率いています。
なぜ Web 3は重要なのか
それでは "Why Web 3 matters" の翻訳を紹介します。原文はツイートがずらずらとならんているのですが、長いのでいくつかのパートに分けて紹介します。
※この文章のオリジナルはChris Dixon氏(@cdixon)のtweetです。同じタイトルのブログ記事も公開されています。
Web 1 〜 Web 2の30年
最初のパートでは、インターネットが商用化された1990年ごろから2020年ごろまでの約30年間を振り返っています。非中央集権的で民主的だったWeb 1が市場の大波に飲み込まれ、やがて一部の巨大資本に握られてしまったのがWeb 2の姿である、という説明がされています。この主張は、同時代にずっとインターネット関連の仕事をしていた自分も同意できるものです。
中央集権の弊害
ポジティブサムからゼロサムへの転換など難解な部分もありますが、プラットフォームをほぼ独占している現在のGAFAMの姿を的確に描写しているように感じます。今のモデルでは、資本が一部のプレイヤーに集中するため、インターネットは必然的に中央集権的にならざるを得ないということなのでしょう。
Web 3 の実体はトークンとブロックチェーン
ここでは、おもに仕組みの面からWeb 3についての説明が試みられています。NFTやブロックチェーンといったバズワードが頻出しますが、かなり端的にわかりやすく伝えられていると思います。
なおここでは、原文の文意を損なわないようにあえて「非代替性」という言葉を使わないようにしました。あらためてこの文章を読んでみて「交換できないトークン」であるNFTの希少性や価値をETHやXRPなど「交換できるトークン」で測っているんだな、ということに気づき、それは代替性という言葉からはわかりづらいと感じたためです。
Web 3への期待
最後のパートでは、トークンを入手する方法に加えて、Web 3 のコミュニティの性質が語られています。トークンの存在により参加者がたがいに協力するよう促される、というくだりは強く性善説に根ざしているようにも感じられます。また、分散型のWeb 3が中央集権型モデルの問題を解決するという主張は、正しいと思いますがかなり楽観的な見方かもしれません。
性善説と楽観視のどちらも、もしかすると新しい時代の期待を反映しているのかな、という気もしています。(原文についての私の理解が正しければ、ですが、、)
そして、今は2022年6月ですが、原文のツイートから9ヶ月たらずの間に、またたく間に状況は変わっているようです。もう「ムーブメントのごく初期」とは言えないのかもしれません。
おわりに
以上がChris Dixon氏による "Why Web 3 matters" の翻訳とその解説です。
自分は今年の2月にこの文章を知ったのですが、その頃と比較しても NFT や DAO、クリプトなどの言葉を耳にする機会が増えたなあと思います。S&A のJournalでもNFTを取り上げていますし、Wired の Web 3 特集もありました。つい最近は山古志村のNFT錦鯉のような試みがあったり。流れは早く、上にも書いたように「もうごく初期ではない」ようにも感じてしまいます。
でも、まだブロックチェーンもトークンも既存のWebに組み込まれたパーツの一部みたいな使われ方だなあ、という感じもしています。もっと大きな変化はこれからあるのかもしれません。
それがどんな形になるのかはまだわからないけれど、非中央集権的で改ざんができず、透明性が高くてかつ匿名性も保証される、というのが真実なら、きっとこれまで実現できそうでできなかった「自律する小さなエコシステム」がたくさんできて、それが必要に応じてつながっていく、そういうモデルが成立しそうな感覚を持っています。(性善説で、楽観的に)。
最後になりますが、誤解や誤訳に気づかれた方はぜひご指摘ください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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