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アラン・レネ監督『去年マリエンバートで』映画史上最も難解!?


<作品情報>

フランスの名匠アラン・レネが1961年に手がけ、同年の第22回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した一作。戦後世界文学にムーブメントを巻き起こした文学運動ヌーボーロマンの旗手アラン・ロブ=グリエが執筆した脚本で、ヌーベルバーグ左岸派の代表格とされるレネがメガホンをとるという奇跡的なコラボレーションが実現し、「映画史上最も難解な映画」とも称される一作だが、後の映画作家たちにも多大な影響を与えたとも言われている。時代も国籍も不明なバロック調の宮殿のようなホテルに宿泊し、社交に興じる客たち。その中に女Aと男X、男Mの3人がいた。MとAは夫婦だが、XはAに対し、1年前に会い、愛し合ったと語りかける。Aは否定するが、Xは1年後に駆け落ちする約束もしたという。Xの話は真実か、それとも……。

1961年製作/94分/G/フランス・イタリア合作
原題:L'annee derniere a Marienbad
配給:セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2019年10月25日

<作品評価>

80点(100点満点)
オススメ度:★★☆☆☆

<短評>

上村
評判通りかなり難解ですが、何か記憶をめぐる話であることは理解できました。
一つのカットの中で人物の位置が変わったり、逆に人物の位置は同じなのに異なる時制に変わったりと混乱させられます。他のゲストたちは本当に実体として存在するのでしょうか。その意味でも『シャイニング』と近いかもしれません。彼らは実体のない幽霊、もしくは記憶だけのものかもしれません。
全ては若い男の妄想なのか。それとも狂った女の妄想なのか。いや、もしかしたら女の夫が嫉妬して想像したものなのか。そもそもあの「夫」は実在するのだろうか。考え出すと止まらないのです。「記憶」と「存在」をめぐる思考をせざるを得ない作品です。

吉原
映画史において最も難解な映画の一つとされている映画です。モノクロの美しい絵と登場人物の煌びやかな衣装をは裏腹に序盤から物語においていかれてしまいます。C・ノーランの「インセプション」との共通点が注目されがちな映画ですが、「メメント」や「TENET」「インターステラー」だけでなく、3つの時間軸を交互に描いた「ダンケルク」にも共通点があり、まさにノーラン映画の原点のような作品でもあると感じました。まぁ、ノーランは「インセプション」制作時に、本作を鑑賞したことがなかったらしいですが…

<おわりに>

 本当に美しい映画です。しかしやはり非常に難解。人によって読み解き方が変わってくるでしょう。
 間違いなく後世の映画作家たちに影響を与えた作品であり、無視しては通れない作品です。難しい作品ですが、みなさんも自分の読み解き方をしてみると楽しいと思います。

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