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アレクサンドル・ソクーロフ監督『ファウスト』ゲーテの古典を映像化


<作品情報>

ドイツの文豪ゲーテの名作「ファウスト」を、ロシアの名匠アレクサンドル・ソクーロフが新たな解釈で映画化。2011年・第68回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。19世紀初頭、神秘的な森に囲まれたとある町。あらゆる学問を探求するファウスト博士は、研究を続けるために悪魔と噂される高利貸しのマウリツィウスのもとを訪れる。マウリツィウスはお金を貸すかわりに生きる意味を教えるとファウストを説き、ファウストは言われるままに町へ繰り出す。そこで出会った美しい女性マルガレーテに心を奪われたファウストは、マルガレーテを求めるあまり魂と引き換えにマウリツィウスと契約してしまう。

2011年製作/140分/ロシア
原題:Faust
配給:セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2012年6月2日

https://eiga.com/movie/57602/

<作品評価>

65点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

上村
うーん、『エルミタージュ幻想』も大好きですし『チェチェンへ』も素晴らしかったので期待してたんだけど少し期待外れでした。
話が何が何やらなのはソクーロフだから覚悟していて、その上でファウストらしい画面の遊びがみられるかなと期待をしていました。
序盤は掘り起こした死体を解剖したり、悪魔に連れられて女性浴場に行くところなど面白かったです。その浴場のシーンは色彩もわざとフレアを使って、ピンクに一部着色してるのかな?独特の美しさがあってよかったです。
局部が尻尾みたいに後ろについてる悪魔の体の特殊メイクもソクーロフらしい気色悪さでよかったです。
ただ、その後は映像的に感動したところがなくなってきました。あんまり覚えてもいないくらい映像的カタルシスがなかったなぁ…
ソクーロフの美意識はブレていない気がするし、最新作の『独裁者たちのとき』はすごく良かったので、衰えているというより題材とあまり合わなかったのかなと思います。
ソクーロフは金獅子賞に値する作家だと思うけど、これじゃない気がします。

吉原
ヤン・シュヴァンクマイエルの「ファウスト」と手塚治虫が漫画化したものを一度読んだことがあるので、大筋は覚えていますが、原作自体を読んだ事があるわけではないので、どこが翻案されいるのかはよくわかならなかったです。
本作では、正方形のような独特なフレームが使用されているが、監督曰く、これは絵画のような美しさを表現するために使用されているという。
確かに劇中で登場する浴場のシーンでは、絵画のような美しさと共に、悪魔の陰茎が尾のように後方についているというなんとも気持ち悪いビジュアルが混在していることによりアート的な視覚効果があったと思います。
ある程度、原作に詳しくないと難解な作品だが、セットが作り込まれていて、非常に美しい作品でした。特にラストは戯曲をわざわざ映像に起こす必要性を感じるようなシーンでありました。

<おわりに>

 ゲーテの超有名作品を映像化した作品です。ソクーロフならではの攻めたビジュアルは必見です。

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