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ロバート・アルトマン監督『ビッグ・アメリカン』史実を基にした!?西部劇
<作品情報>
1885年、西部開拓時代が終わりを告げようとしていた頃。ワイルド・ウェスト・ショーの一座を率いるバッファロー・ビルは優れたショーマンとして成功を収めていた。しかし彼は作家のネッドとスターの存在感を備えたスー族の族長ブルを疎ましく思うようになる。様々な要求をするようになったブルはある時、ビルの前から姿をくらましてしまうが……。実在したバッファロー・ビルの後半生をシニカルに描いた西部劇。
1976年製作/123分/アメリカ
原題または英題:Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull's History Lesson
配給:東宝東和
劇場公開日:1977年
<作品評価>
70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
おいしい水
バッファロー・ビル役にポール・ニューマン、そしてバート・ランカスターにハーヴェイ・カイテル、シェリー・デュヴァルなど豪華キャストで描く西部群像劇です。
アルトマンお得意の群像ドラマで、まぁ水準作という感じではないでしょうか。なぜこれが金熊賞なのかはよく分からないですが。
バッファロー・ビルが主役を張るショーにスー族の首長シッティング・ビルがやってくるという物語です。そこから起こる騒動を描くのですが、ラストがちょっと投げやりな気が。でもそこがアルトマンの意図な気もするし…ちょっとよく分からないですね。
アルトマンにしては分かりやすいドタバタ劇でそこそこ楽しく観ることが出来ます。まぁまぁ面白い。
終盤、バッファロー・ビルのもとに幽霊のシッティング・ビルが現われるくだりがアルトマンらしいというか。少し不穏な空気感を挟み込んでくるのが「らしいな」と思いました。
全体として含みがあるような映画ではなく、ストレートに楽しめる西部劇になっています。先住民の扱いに少々問題はあるものの、ちゃんと先住民出身の俳優を使っているのはいいと思います。
吉原
「事実を元にした作品」はあくまでも事実を元にしただけで真実とは限りません。
「ボヘミアンラプソディ」や「ロケットマン」など当人たちが制作に携わった作品でさえも、100%の真実が描かれているわけではなく、ドラマ性を持たせるために脚色が加えられていることに留意しなくてはならない。本作はそんな作品です。
映画という一つのショービジネスにおいて、脚色文化を皮肉るメッセージが込められてるのは非常に面白く、アルトマン作品の中でも知名度はそこまで高くありませんが、興味深く、好きな作品です。
<おわりに>
ロバート・アルトマンの変わった西部劇です。キャラクターがそれぞれクセが強くて面白い作品です。
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