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ジャ・ジャンクー監督『長江哀歌』圧倒的な映像美で紡がれる叙事詩


<作品情報>

06年のベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた、中国の若き名匠ジャ・ジャンクー監督による人間ドラマ。ダム建設によって水没することが決まっている三峡の街。16年前に別れた妻子を探しにこの街を訪れた炭鉱夫サンミンは、かつて妻が住んでいた場所がすでに水没してしまったことを知る。一方、音信不通の夫を探しにやって来たシェン・ホンは、夫が働いていた工場を訪れるが、そこに彼の姿はなく……。

2006年製作/113分/中国
原題:Still Life
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
劇場公開日:2007年8月18日

<作品評価>

55点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

上村
少し退屈に感じてしまいました。これが金獅子賞?決して悪い映画ではないけど…
撮影の素晴らしさは誰もが認めるところ。霞がかったような三峡の景色のダイナミズムと、鬱屈した人間ドラマは絶妙なバランスです。
目的は最小限しか提供されず、誰かを探し求める二人の男女を中心に描くのですが、目的や真実が最後まで見ても劇的に変化したりする訳ではないので興味があまり持てないまま終わってしまいます。
しかしやはりジャ・ジャンクーの映像には引き込まれるものはありました。今観ると非常にジャ・ジャンクーらしい作品で嫌いじゃないです。

吉原
観終わった時、「これは何についての映画なんだ?」という感想が浮かびました。妻子に会うために16年振りに街を訪れた男と、2年間音沙汰のない夫を探して彷徨う女。
何かを探している人の話かと思いきや、突如展開される謎のSFシーン。そんなシーンがあるとは思っていなかったので、一瞬目を疑ってしまいました。
これらのシーンの挿入は、激動の時代の中国の発展があまりにも急すぎて理屈で理解できるものではないということが表されているようですが、その趣旨を知らないと本当に理解できません。
2時間観てて「景色綺麗だな〜」くらいの感想しか抱けなかったことは残念ですが、2回目を観たら、特にスクリーンで観たら、絶対に評価が上がる作品だと思います。

<おわりに>

 中国第六世代の監督としての知名度があるジャ・ジャンクー監督作品です。初見でこれだけみるとなかなか評価が難しいですが、圧倒的な映像美で魅せられる作品です。

<私たちについて>

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