第4章. AI時代の衝撃
この章では、筆者が『AI時代』と呼んでいる、「第4次産業革命」の時代
の様相と特徴を、筆者自身の予測も交えながら整理してみましょう。
■ 「第4次産業革命」の要素技術
前章で述べた『ダボス会議』でも活発に議論されたとおり、世界中の人々が
「第4次産業革命」の到来を予感していたのは、そもそもインターネットの
普及・拡大が浸透し、国際的な社会基盤として認知されていたからです。
そこにIoTとAIの急速な技術進歩が加わったために一気に「産業革命」
の到来が現実のものとして認識される様になった訳です。
まず予測される事は、製造技術の完全自動化です。
これは「第3次産業革命」の時代にも、FA(Factory Automation)と呼ばれて発展を続けていましたが、IoTとAIの進化により、業種によっては全自動の製造ラインも実現される様になりました。
工場で働くブルーカラー労働者が急速に減りつつあるのです。
輸送技術も自動化される様になりました。
自動運転の自動車が、その好例でしょう。
その他にも、ドローン技術の利用や各種宅配ロボットの分野などで数多くの
革新がレポートされています。
在庫管理技術の自動化も急速に進んでいて、大型の自動倉庫も各所で建設が
加速しています。
倉庫業務の自動化、無人化の流れ自体は「第3次産業革命」の時から進化が続いているのですが、以前は主に取扱い品目が限定的なメーカーの製品倉庫原材料倉庫において、製造ラインの稼働率を最大化する目的で建設されたものが主流でした。
しかし、今日の文脈では、グローバルな視点でサブライチェーンの最適化を
達成する目的のものが多く、自社以外の拠点までも含めて、世界中に分散す
る関係工場、倉庫、販売拠点等々の在庫を、数多くの商品品目毎に一括処理
する事が当たり前のごとく行われる様になりました。
この面ではまさに極限が目標になっていると言って過言ではないでしょう。
課題はリードタイムを如何に短縮化するか、できるか、への挑戦なのです。
また、SCM(Suppuly Chain Management)の進展によって、大部分の
業種において、大幅な在庫の圧縮が行われています。
製品によっては無在庫での販売も実現しています。
完全受注生産の理想型が、急速に拡大しているのです。
さらに今日では、販売技術の面でも次々と革新的な進化が続いています。
無人のコンビニエンス・ストアが登場し、POSレジの進化も著しいものが
あります。
そもそも販売技術面では、EC(Electric Commerce)による無店舗販売が
一般に定着し、急速に市場を拡大しています。
勿論、これらの変革を加速するには、大量の資金と人材を必要とします。
企業が内部留保を強化し、株式時価総額にこだわり、M&Aを進めるのも、
相応の企業戦略があるからです。
資金と人材があれば、商品供給自体の全自動化さえ、業種によっては不可能
ではない時代なのです。
それでは、今度は需要面について考えてみましょう。
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