(小説)俺が『錬金術師』になった時 第4話
翌朝起きると、真っ先にする事は、帰りの航空券を確保する事であった。
未だ格安航空券など無い時代である。
会社の購買部を経由して、なるべく安く手に入れる。。。この方法が一般的だったが、フリーランスになった俺には、『購買部』などそもそも無い。
この時代、『航空券をスマホでネット予約』など容易にできる事ではなかった。。。
(※そもそもインターネットが未だ無かった。。。
日本で、インターネットの普及が始まったのは、Windows95 の登場と、ほぼ同期していると考えて良い。。。
俺は、1993年から、まずメーカの講習会で、インターネットの仕組みと、クライアント・サーバ・システムの事例を学んだ。。。)
俺は、先ず『浜松町』に出て、帰りの航空券を確保した。
時刻は夕方18時発として、『夕暮れ時の首都東京』を満喫しようと想った。
帰りの航空券を確保したら、後は自由行動である。
羽田空港までの移動時間に留意して、『浜松町駅16時発』と決めた。
『見たいっ❤』と思うステージは、『チケットびあ』に無かったので、取敢えず『東京土産』を探そうと『銀座』に出る事にした。
『浜松町』の駅周辺では『懐かしさ』が手伝って、『コーヒーでも飲んで行こう』と思った。
『貿易センタービル』の方に歩いていると、大型の書店があったので、何気なく立ち寄った。
知識欲旺盛な時代の大型書店探索である。。。
尽きる事無く、あちらこちらと書店探索を続けていると、どうしても読みたい本が何冊も在る。
しかし、今から土産を買って帰るのである。
「我慢、我慢。。。引っ越しが完了したら、何冊でも読める。。。」
そう呟いて、不用意に荷物を増やさない事にした。
気が付くと、書店で結構時間を潰してしまっていた。。。
結局、何も買わずに店を出た。
意外と書店で長く時間を潰したらしい。
気が付くと、もう15時近くである。
もうゆっくりと『銀ブラ』している時間などは無い。
『コーヒー飲んでから、羽田に行くか!』
そう考えて、良い香りのする店に入った。
羽田空港に着いてチェックインを済ませると、後は延々と搭乗口まで歩く。。。
途中で、『土産物』などは買えるのである。
しかし、この時は慣れていなかったので、全てが初体験に等しい。
俺は何よりも喫煙室の場所が気になっていた。
それは、搭乗口の近くに在った。
『土産物』を買って、アナウンスがあるまで、ゆっくりと喫煙室に居ると、搭乗案内のアナウンスが流れた。
運良く窓際の席が取れたので、綺麗な東京湾の夕陽に見送られながら、羽田から離陸する事に成功した!!
この時の羽田の夕陽は、俺の新しい時代を祝福してくれている様だった!!
<続く>
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