人は「思い込み」で生きている 心の鍵が開くとき
自分にはどんなアレルギーがあるのだろう。この10年ほどずっと疑問だったのですが、先日、看護師の妻が勤務するクリニックで、アレルギー検査をしてもらいました。
結果はというと・・・
なんと、なんのアレルギーもありませんでした。スギ花粉もなし。
花粉症の時期は目がかゆくなって目薬をさしたり、頭が痛くなるので薬を飲んだりしていました。また、キウイを食べると、かゆくなるのですが、これもアレルギーなし。
これまでの自分に起こっていたことはなんだったのだろう。
この10年検査して欲しいと言い続けてきたのが、この結果。妻からは、「そういうケースって、よくあるのよね」と鼻で笑われました。
検査の後しばらくは、目がかゆいときもあったのですが、「自分にはアレルギーはない」と思い続けていたら、いつのまにか、かゆみは弱くなっていきました。例年、花粉症の時期に感じる頭の痛みもなし。薬を飲むこともなくなりました。
まさにプラシーボ効果を実感しました。プラシーボとは、「偽薬」という意味で、たとえばデンプンで作った偽薬を本物の薬と思い込み、得られる効果のことです。薬の開発に利用されています。
プラシーボ効果のいい側面としては、医師を信頼して「この薬はよく効く」と思って服用すれば、良い効果が得られます。一方で、「ジェネリックの薬は効かない」と思い込んでいる方の場合、薬の効果が低くなってしまうこともあるそうです。
最先端の科学にも、「思い込み」という心理効果が利用されています。「思い込み」は、無意識のうちに、いろいろな影響を与えているのですね。
他にも、さまざまな思い込みがあります。
たとえば、人の話を聞くとき。
普段、自分では「人の話を聞いている」と思っていても、フィルターがかかっていて、自分の聞きたいところだけを、聞きたいように解釈しています。
先日、ある講座で、逐語録をとってくれた仲間がいました。逐語録とは、その場で起こっていた言葉を録画し、あとで文字に起こしたものです。逐語録のやりとりを読んで、いかに自分が聞けていなかったかに愕然としました。
コーチは、人の話を聞くのが仕事です。聞くことに少しは自信がありました。しかし、多くの言葉を聞き逃していた上に、話し手が言いたいこととは、まったく違うように意味を解釈していたのです。
これが良い悪いではありません。どんなに頑張っても、人はありのままを聞くことはできないという事実に気づけたことが新鮮でした。
人は何かを考えます。感じます。これを止めることはできません。どんなに相手の話に集中しても、どこかで自分の思考や感情が混ざるのです。
以前は、「自分は事実を見ている」と思っていました。思い込みはないと考えていたのです。これは危ないです。
人は思い込むようにできています。だから、「思い込み」をやめることはできません。
では、出来ることは何か?
思い込みをほどくことです。
私が毎朝やっている習慣があります。朝、コーヒーを飲みながら、前日のことを振り返るのです。
前日起こっていた出来事を振り返っていると、違和感を覚えていることがあります。
それをやりすごすのではなく、ちょっと言葉にしてみるのです。
あることに、ちょっと傷ついているかもしれません。
あることが、ちょっと嬉しかったのかもしれません。
起こっている瞬間は、「傷ついている」「悲しんでいる」「喜んでいる」ことを、そのまま感じられていないことが多いです。
頭での思い込み作用は、「大したことない」「当たり前」と片付けてしまいがちです。あるいは、「こんなことで傷ついてはいけない」と感じることを止めさせるのです。
頭での思い込み作用は、思考があなたを守るためでもあります。ひとつひとつのことを感じすぎると、くたびれてしまいますから。
ただ、思い込み機能のままで生きている副作用もあります。
本当は傷ついたことを無視し続けていると、それは消化されず残っていきます。やがて、相手への攻撃になったり、思いがけない突発的な怒りとして爆発したり、悲しみが止まらなくなったり、後悔へと駆り立てるのです。
ちょっと傷ついていることをちゃんと感じられているでしょうか。一晩寝た翌日の朝は、振り返るにはいい時間だと思います。
まずは、自分が感じていることに気づいてあげてください。ちょっとだけ傷ついていることに気づくというのは、自分を抱きしめてあげることです。
「ちょっとしたこと」をたいしたことはないと放っておかないこと。
「思い込み」は本当の気持ちを覆っています。振り返ることによって、思い込みがほどけるのです。そこには、とても繊細で傷つきやすい生のあなたがいるのです。
生のあなたは、少し恥ずかしいかもしれません。でも、それが心の真ん中なのです。
「心の真ん中」が、人と優しくつながれる本当のあなたなのです。
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