開発協力事業(プロサバンナ)の名の元に行われる小農からの農地収奪に、日本が関与している話。
今日、京都ファーマーズマーケットさん主催のイベントに参加して来ました。→今アフリカで起こっていること
タイトルにあるとおり日本のODAの事業の一環として行われている「発展途上国支援」であるプロサバンナ。良いことをしている風に一般には思われているが実際はモザンビークの伝統的な豊かな生活を破壊し、現地の人を貧困に陥れているという、驚くべき現在進行形の話。
このニュース、私も以前何かの報道で目にした記憶があるのですが、実際昨年(一昨年だったか?)世界的に問題視され、人権問題としてかなり話題になったらしい。これは駄目だろうという日本の外務省トップの判断で2018年中止しているものの、計画自体が無くなった訳ではないという非常に微妙な状態の事業。
ウェブで検索したらざっと出てきますが、ここでも概略をかいつまんで説明。
南アフリカのモザンビークで、ブラジル・日本が共同で行う農業開発協力事業であるプロサバンナ。かつてブラジルの農業支援事業で行った大豆生産の成功例を下敷きに、モザンビークでも耕されていない荒れた土地を農地化するというプロジェクトらしい。
日本のプロジェクトは2011年からのものであるが、様々な国が同様の「支援」を行っている。どれも計画上で示された土地だけではなく、現地の小農たちが伝統的な農法で耕している肥沃な土地に有無を言わさずブルトーザーで侵入。農地を破壊しプロサバンナ事業での農地として奪い取り、大規模農業(大豆生産)への転換を強制的に行っているそうだ。
約30年程前、ポルトガルからの支配から16年の内戦を経て独立したモザンビーク。この国の約7割が小規模農家だそうだが、かつては一日4回ご飯が食べられ、生産余剰分で学費も出せて大学に行く者もおり、母子家庭でも豊かな生活が出来たそうだ。
しかしプロサバンナで土地を奪われた農家は、一日におかずなしのご飯が食べられるかどうかといった飢餓状態に。そしてモザンビークの土地に合うかどうか分からない大豆生産を、化学肥料や農薬を大量に投入して推し進めている。 これは「開発協力」の名の元に行う、新たな植民地支配と言ってもいいのではないだろうか。
こういうことを我々日本は、税金を使って今やっているんですわ。食料自給率が下がり続けている日本。コレ、日本国内で解決すべき食糧自給問題を他国に持ち出している事案でもある。解決の糸口が見つからないからって、他所の国の人の伝統的自給生活を破壊して良い訳が無い。
プロサバンナ事業の経緯の中で、「対話プロジェクト」というものが設定されるが、その内実がエグい。
現地の小農たちのプロテスタント活動に協力する、各国NGOをランク分け。その中の体制寄りのNGOだけ選り出し、「事前説明合意」の既成事実の論拠としはじめた。この恐るべき分断政策のプロジェクトにお金を出した、日本のJICA。。
なんか最近の日本の「国際貢献」を名目にした事業って、かなり怪しい。数年前にJICA職員が惨殺される事件があったが、このようなことを放置すれば、日本人自体の国際的な信用の問題にならないだろうか?
少子化の日本。今小学生の我が娘も、大人になったら 必然的に 国外に出る可能性もあると考えているが、この様なことを国家事業として行ってはならないと思う。悪事を働けば、どこかで見返りが来るものだ。
今、石を投げれば開発事案にぶつかるといった状態らしい、モザンビーク。
今回お話頂いた、モザンビークの農民運動の代表の一人であるコスタさんは言う。「私達が欲しいのは、収益ではない。主権と、尊厳だ。」
一貫して、反対運動ではなく、「真の対話」を求め続ける農民運動を続ける彼らに、実質70年以上占領下の状態に甘んじている我々日本人が学ぶところは多い。
高貴な農民運動の実際に、襟を正す思いがした貴重な数時間でした。