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理系の学習法①:なぜ数学とか物理が苦手か

お世話になります。ドリームラーナーズの石原です。鳥取県倉吉市で進路指導と学習法指導の塾を運営しています。学習指導は中学生・高校生・大人、英語の指導は小学生から対応しています。LINEなどを活用して、遠隔地でも進路指導・学習指導に対応しています。

今日は「理系」の勉強法の話をします。とは言っても、別に「理系」に限った話じゃないんですよね。「文系」と言いつつ、ただ理科と数学ができないだけの人に捧げます。ちなみに理系を選択していても、数学・理科ができない人は多いので、できるようにするポイントを見抜いて欲しいなと思います。

物事を具体的に考えすぎると、理系の勉強はできない

多くの人は物事を具体的に考えています。具体的なものがないと、頭に考えが浮かばないのです。これは、特定の分野に絞って鍛えていくことで、その分野についてはある程度は「具体物がなくても、概念だけで考えること」ができるようになります。しかし、あらゆる事象で具体物から離れることは、常人にはできないです。

抽象的な思考に頭を使うことに慣れていない人ほど、そうした「身体感覚に根ざした理解」を求めがちです。このため、どの科目でも、全く勉強していない状態から、難関高校入試や大学入試だと中堅大学以上のレベルに到達するためには、かなり時間がかかります。

このため、まずは「具体的じゃないものを考える」練習が必要で、これにはその個々人にあったイメージや概念の捉え方を掴んでいくことが必要です。近年出版されてきている、数学の超入門的な本は、その辺りを丁寧にカバーしてくれていますので、このレベルだという人は活用していきましょう。

さて、そこまでは数学や物理が苦手ではない、具体的なものから離れて理解すること自体はできるという人でも、悲しいことに、数学は本番までに何が必要とされているかという視点に立てないまま具体的な計算しかできるようにならない(計算のルールは覚えられる)まま入試を迎えて無事に共通テストで問題文の意味がわからず、点数的に爆発してしまう、ということが多くの受験生に起こることです(断言します)。

覚えるべきことを「正確に」覚えることが先

ところがどっこい、やはりある程度の「思考の型=その科目に要求される、決まった考え方」が必要になるのは、その他の科目と同じです。

例えば、中学・高校の6年間だけで、英文法も覚えずに、英語ができるようになるはずがありませんが、文法だけひたすらやっても読めるようにはなりません。文中で出てきた文法を認識できるようにしなくてはいけませんね。

そして、同じ英文法が使われている文でも、使われている英単語は、毎回同じではありません。「品詞」は同じでも、別の単語が使われたりするので、「品詞」というレベルで単語を読み取れるように覚えておかなければいけませんし、品詞を見抜かなければいけません。

逆に「単語」が同じでも「文型」が異なれば意味が変わってくる、ということも英文法では習いますね。

同じように、数学も覚えること(用語や、決まった解法など)は覚えておかなければいけませんが、「覚えるだけではダメ」なのも、英語と同じです。

「閃き」はいらない:目の前の問題で要求されていることを見抜く練習をする

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英語で例を挙げましたが、数学でも「見抜く」練習をするのが必要なのです。難関大になればなるほど、この「見抜く」作業がとてつもなく大変になってくるのです。数学が得意な人が呼ぶ「閃き」とは「問題文の要求を見抜くこと」を指します。

数学が得意ではない人が想像する「閃き」という言葉から想像されるほど、無茶難題を要求されるわけではありません。ある程度のところまでなら十分に練習して身につくレベルです。特に、文系の学部で要求される数学の閃き力の高さは、理系の難関大学と比べるとそこまで高くはありません(いや、十分難しいのは難しいのですが…)。

例えば、問題を目の前にして、

①問題文を数式で書き換えてみる
 →具体的に、何を求めるのか?
 →必要なのは方程式か、不等式か?
 →与えられている条件の範囲では何か考え方が変わるか?
②問題文に書かれていることを図・グラフで視覚的に表現してみる
 →何が提示されているのか?
③同じ意味の別の日本語で言い換えてみる(国語とかでもよく使う)

などして吟味し、要求されていることを見抜いていきます。これは確かに「やり方」の問題ではあるのですが、初めのうちは「やったところで見つからない・わからない」となるので(解説見て「知ってた」となるやつ)、練習が必要なのです。

鍛えるのは「抽象化する力=具体物の羅列から共通する法則を見出す力」

ある程度できる科目がある場合、具体物から一般的な法則を見出す、「抽象化の訓練」がある程度はできていますので、それを数学や理科に転化できる場合もあります。

しかしながら「数学」「物理」「化学」に関しては、その科目上の特性である「学習対象のほとんどが、実物レベルで目に見えない=具体物がほぼない」ため、「身体感覚に根ざした理解」が生まれづらいです。このことが「理系科目はいつまで経っても覚えられない」原因になっている人が多いです。

このため(具体物のイメージを根付かせるため)に実験とか、アクティブラーニングで抽象度の高い議論をするんですよね、という話なんですが、実態がどうなっているかとか、実験にどれだけ時間数使えてるかとか、素人の高校生同士が抽象的な議論を誘導なしでできますかね? これはかなり学校ごと・教員ごとの差が大きいです。

また、実際の授業や参考書では

①「共通する法則」を先に習い
② 具体物(問題や実験)で実際にやってみる

という手順を踏むのがほとんどでしょう。習った直前や、分野ごとに分けられた問題集や参考書では、「具体物から共通する法則を見出す」ことは比較的簡単です。

しかし、現象や記述だけを読んで「それと気づく」こと必要な場面(入試本番)では、問題文以外にヒントはありません。かなり難しいことです。個人差のあることだと自覚して、自分のできないところをチェックしたり、自発的に復習ができている人はそうはいません。

普段の勉強で、この「具体物=問題文や図表だけ、から共通する法則を見出す」練習ができていれば良いのですが、残念ながらそこを自覚的にできる生徒はそう多くありません。声かけだけでは不十分です。この「抽象化訓練」を十分にできていないと、覚えて吐き出す、パターンマッチングしかできないため、試験中に論理的に考えることはもはやできない、逆に、ここができていれば、試験対策としては必要十分なのだ、ということをどこかで実感させないといかんのです。

使うツールが違うだけ

英語などもそうですが、例えば英文法も、教科書的説明のほぼ全てを日本語でやっています。国語の現代文も日本語ですし、古典も解説は日本語です。社会は言わずもがなですし、生物・地学と行った文系の人が選びがちな科目も基本的には「言葉(日本語)での説明」が中心です。

このため、数字・数式という「浮世離れ」したものを取り扱うものが苦手だということは理解できます。私も、いくら学んでもほとんど理解できない分野があります(具体的には、マクロ経済)。

ですが、「受験に必要なだけ」やれば良いのですから、そこまで高度な練習は必要ではありません。諦めずに、実際に問題文で要求されていることを読み取る練習をしてみてください。もちろん公式や考え方自体をある程度覚えてからですよ!

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石原 太一/Taichi Ishihara
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