見出し画像

040_ひとり美容整形

肌を保湿して、毛も抜いた。次なるターゲットは、ほくろだ。

ある日、私は台湾に興味を持った。まだ観光に行けていないが、台湾観光で苦労しないように、HSKという標準中国語検定の4級を、せっせと勉強して取得した。このHSKは国際資格で、中華人民共和教育部が認定団体だ。これさえとっておけば、まず間違いないだろう。
また、一般社団法人日本中国語検定が主催している『中国語検定』と比較しても、はるかに簡単である(というか、中国語検定のほうが難しい。はっきり言って、だれがこの問題量・質で100点を取れるのだろうか)。
もちろん、中国語検定試験も受けてみたいが、テキストを開いた瞬間、閉じたくなってしまうのは、致し方ない。

初級レベルの中国語を携えて、台湾の情報をいろいろ収集していたとき、ある画像と出会った。それは、顔のほくろの位置で、運勢がわかるという占いだった。
参考↓

とりあえず、顔面にあるほくろの意味を洗い出してみる。すると、驚くほどに、いくつものほくろが強情の意味を持っていた。己の気の強さ、負けず嫌いで反骨精神が旺盛なのは、すでに顔に出ていたのである。

確かに、対人関係で苦労するのは、金でも悋気でもなく負けず嫌いな気の強さだった。しかし、これはほくろが原因と言うより、先祖代々から受け継いだ気性と言うものだ。戦争を潜り抜けた祖母をはじめ、事業で失敗した祖父の面倒を見ていた長女(私の母)ともども、負けず嫌いで気が強い。鼻から出血してもお構いなしで、喧嘩は勝つのみ。祖母の顔も母の顔もあまりよく見たことは無いが、きっと同じところにほくろがあるのだろう。

とりあえず、この気の強いほくろをいくつかと、金に関わる悪い運勢のほくろを除去候補にした。

駅の周りの商業ビルにはたくさんの美容整形外科がある。田舎でよく見る病院と言ったら、歯医者・内科・皮膚科だが、都会でよく見る病院は、歯医者・眼科・美容外科だ(個人的意見です)。
ほくろの除去は、1個あたり約1万円相当で、大きさによって値段が変わる。ウェブサイトで予約をし、カウンセリングを受けて見積もりが提示される。見積もりがOKであれば、その日に施術ができ、その日に帰宅もできるのだ。
美容整形ではあるが、手術でもある。こんなに簡単に完了して良いものなのだろうかと、少し不安になった。

今回も記事の内容と関係ない花の写真

施術中、皮膚が焼ける匂いがした。施術する医者は医師免許を持っているらしいが、よく行く皮膚科の医者と違い、元気はつらつとした50代くらいの男性だった。さっさとほくろを除去すると、医師は奥に引っ込んだ。麻酔が切れるまで、治療台の上で安静にしていたが、完全に寝ているわけではないので、医師とスタッフたちのくだらない話を聞いていた。静かで新しい手術室だった。
それはそうと、よく行く皮膚科や内科、産婦人科の先生は、レジェンドと思うほど高齢で、ある先生は車椅子に乗って診療しているが、そのクリニックに30代から50代の医師はあまり見当たらない。逆に、美容クリニックのサイトにある医師紹介欄には、高齢の先生はいらっしゃらない。レジェンド先生たちが引退したら、この街のクリニックはどうなるのだろうか。美容クリニックの待遇の良さは、SNSでよく聞くトピックのひとつだ。逆に、大学病院や総合病院の過酷な勤務に、驚くばかりだ。
レジェンド先生が引退したら、結局誰かがやらなければならないのだが、医師の診療レベルは下がるだろう。どうにかうまい事、町のクリニックに脂ののった若い人間が務めることができるような、そんなシステムにならないかな、とぼんやり思うが門外漢が嘆いても仕方ない。

施術後、カウンセリングの説明通り、ニキビ跡のような傷跡ができたが、ドラストのファンデーションを塗れば全く気にならなくなった。
一丁前に美容整形をしてみたが、顔のほくろが消えたくらいでは誰も気づかない。美容と言うのはいつまでたっても、自己満足でしかないのかもしれない。

いいなと思ったら応援しよう!