030_ひとり大掃除
インフルエンザから解放された日曜日、ウイルス感染に関する情報を集めるために、インターネットをサーフィンしていた。
ところで、ネットサーフィンって今でも使うのかしら?
インフルエンザウイルスは、罹患者の身の回りの物に付着している可能性があるらしい。ベッドで寝込んでいる間は、自室のため、勿論マスクなんかしていない。最初は保湿目的でしていたが、呼吸がしづらかったため捨てた。唸りながら咳をしていたことを思い出し、布団も寝間着もシンクすら、不潔と感じ、すべてを一度清掃しようと思い立った。
インフルエンザ明けにやる大掃除メソッド
1.布団
布団カバーすべて洗濯機に突っ込む。
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晴れた日曜日に洗濯できない布団を天日干しし、ダメ押しの除菌ファブ○ーズを噴射。
布団を天日干しした時の睡眠の質は極上そのものだと考える。太陽の香りが付いたあたたかな布団で、睡眠に誘われるときのそれは、まるで源泉かけ流し温泉に包まれたときと同じ幸福が体を包む。
誰が何と言おうと、どこぞの高級布団であろうと、天日干しした馴染みの布団というのは安心するのである。
2.カーテン
レースのカーテンもすべて外し、洗濯機で洗濯。ウイルスを濯ぐ。
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湿度確保のため、脱水後カーテンレールに吊るす
カーテンには意外と"家の匂い"がしみついていた。カーテンを洗濯機に入れる前に、セスキ水に浸けて汚れをうるかした。そのセスキ水がよく濁り、汚れを実感した。うまいこと柔軟剤を入れると、部屋がほのかに良い香りに包まれる。夜風なんかがふわっと入ると、今日の洗濯の苦労が報われるというものだ。
3.壁紙
薄めた台所用漂白剤に雑巾①を入れ、固く絞る
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壁紙全体を雑巾で拭く
カーテン同様、壁紙にも家の匂いがしみついている。週に1度、雑巾で壁紙を拭き掃除するが、壁紙全体よりも、巾木(はばき)に積もった埃やカビを除去している。以外にも白が多い巾木には、隙間なく埃が溜まっていた。拭いた後の巾木の美しさに、達成感が染みる。
4.シンク
薄めた台所用漂白剤に漬けた雑巾②で、壁→天井→換気扇フード→床の順で拭いていく
ひとり暮らしによくあるガス台の下は、パンドラの箱である。醤油をこぼしたまま化石になったものや、袋ラーメンの破片が転がっていた。それも、家の匂いの元となる汚れだ。
また、換気扇・排水溝という2大ダークマターにとりかかった。1週間かかった。また、台所の床も、意外と汚れていた。酷く汚れているところがあるため、床の汚さなど気にならなかったということだ。
5.その他手に触れたところ
薄めた(以下略)雑巾③を用意し、
・ドアノブ
・水道の蛇口
・レンジのボタンやドア
・冷蔵庫のドア
・テレビのリモコン
・窓
を拭いていく。
掃除は健康に生活する中で最も大切な家事である。と同時に、こんな効果も体感した。
掃除中に見つける汚れは、生活の粗を見ているようであった。もちろん、埃が積もることは、生活するうえで仕方がないことだ。
しかし、インフルエンザに罹患する前でも週に1度は掃除機を掛けたり雑巾で埃を拭いたりしていた。にもかかわらず、長年除去されずに残った汚れがあった。気が付けば、出したものは出しっぱなし、使った道具も出しっぱなしで、片付いていなかったのだ。
床を拭きながら、いつかの爪を切った破片を見つけた。棚をずらして埃を払うと、なくしたはずのピアスを見つけた。
ひとり暮らしの小さな部屋なのに、知らなかったことが次々と見つかった。
このままでは自分の部屋なのに、ままならなくなる。まずいと思い、習慣が変わった。
使った道具は、使い終わった直後に元の場所に戻すようになった。汚れたら、汚した直後にふき取るようになった。ピアスなど、細かいものを扱う時は、座ってテーブルの上で作業するようになった。なにより、掃除機だけではなく、雑巾で手を使って掃除をするようになった。
掃除をすると、気持ちよくなると昔から言われていたが、その理由が分からなかった。なぜなら、どこも古く汚く、だれもが適当に掃除をしていたからだ。
本当の掃除を、インフルエンザウイルス菌撲滅を目標に行うと、ようやく掃除後の爽快感が実感できた。
ほっと一息つき、私はあることを失念していた。
トイレの掃除をし忘れていた。がっかりしたが、私は疲労していたため、来週に持ち越した。