2000年代と2010年代のアマチュア音楽制作現場の変化から紐解く音楽のオリジナリティ
そもそも、今の20代中盤くらいまでの歳の若者ってのは、いくつのときから「自分のパソコン」を持っていたのかね。
と思うわけです。
本日はアマチュアレコーディングについて。
先にも書いたりしてますが、我々のバンド、そろそろ新曲も旧曲も含めて丸っと一式レコーディングをしなおそうと今まさに考えているわけで、かつそれをセルフレコーディングでやるか、という一念発起のもと、少しずつレコーディングのリハをし始めております。
そこでふと思うわけです。
「そもそもかつてはこんなセルフレコ出来なかったよな」と。
思い出すのは2000年代中盤、レコーディングというものを初めて経験したのは、当時高校の友達と組んでいたコピーバンドで、自らの曲を作ってみようと試みたとき。
そのころアマチュアバンド、特に高校生のように金のない状態での主流はマルチトラックレコーダー、通称MTRを活用するものでした。(もちろんMTR自体、当時の自分たちには高価なものだったのでお年玉絞り出してゲットしてたなぁとノスタルジーを感じます)
初めての曲作り、今ほど構成を作り込む経験も素養もなかった当時でも、リズムパターンを選択して、ギターとベースを載せてっていう行為を当時ギターをやっていた奴の家に集まってやったのは、とても楽しい記憶として今も残っています。
当時のMTRには通常(だと思う)、CDドライブがついており、自ら作った曲をCD-Rに焼いて配ることも出来た。画期的なデヴァイス。
時を超えて、今。
セルフレコをやろうと思ったら、何の疑いもなくPCとDAWソフト、オーディオインターフェイスを通してそこに音をぶっこむやり方で進めています。
調べてみれば、セルフレコーディング用の機材をパッケージングしてレンタルできるスタジオなんかもあり。
マジで便利な時代になったことを痛感するわけです。
そもそも、MTRっつーもんは基本的にはちっさいディスプレイの中でコントローラーを駆使しながらポチポチやっていくわけですが、DAWソフトであれば、普段使い慣れたPCで直感的なUIのもと、作業ができる。
かつてはプロのミュージシャンが高い機材をもって実施していたレコーディングが今は最低限の機材で出来るという夢のような時代なわけです。
そりゃあいい若手もたくさん出てくるわな、とも思いつつ。
そうなるとみんないつからPC使って曲作りしてるのかしら、と。
我々の世代が「自分のパソコン」を持ち始めたのは丁度大学生になったころ。俺は少なくとも大学1年で初めてのパソコンを手にしました。(それでも早い方だった気がする)
それがもっともっと若い時代から、しかもかつてに比べ、だいぶ軽量高スペックPCが増えてきており、スタジオでサクッと録音すっぺ、となるよな、そりゃ。Mac買えばGaragebandついてくるもんね。
そうなってくると、エフェクターや打ち込みだけでは表現しきれない、たとえば残響感とか、そういう細かな音質の違いも「作品」としての音楽を構成する要素になってくると思うわけです。
かつては「どのレコーディング・エンジニアにレコーディングしてもらうか」しか選択肢がなかったものが、どういうマイキングをするか、どういうミックスダウンをするかもミュージシャンの裁量に移っていくと思うわけです。(もちろんプロのレコーディング・エンジニアという職種がなくなるわけではないと思うが)
高音質だけが正義ではなく、敢えて割れた音を使ってみたりとか、曇った音を使ってみたりとか、逆再生・リバーブなんかを駆使した音楽作り。ある意味プロでは普通やらないようなものが許容されたりする時代になってきたんではないかな、と感じるわけでございます。
そんなことを考えながらマイキングに試行錯誤しながら、今まさに我々ZEKUUはレコーディングの準備をしているよ、という話である。
東京を中心に活動するZEKUUと言うバンドです。今後増えていくであろう、”複業ミュージシャン”のポジションを30才を超えて狙うべく色々試行錯誤をしております。