DeepSeekに尹湾漢簡の『神烏傳』を現代日本語訳してもらった件
尹湾漢簡(いんわんかんかん)とは、中華人民共和国の江蘇省連雲港市東海県温泉鎮尹湾村で出土した、漢代の木簡や竹簡のことです。
この中に、『神烏傳(神烏賦)』という物語調の詩文があります。
探せば日本語訳はあるのかもしれませんが、手頃に入手できそうになかったので、長らく漢文とにらめっこしていました。
このたび、「そうだ、最近の生成AIは翻訳精度が高いと聞くし、中国生まれのDeepSeekなら、漢代の文章でも翻訳してくれるのではないかな!」と思い、やってもらうことにしました。
依頼文及び、『神烏傳(神烏賦)』の原文
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<Zekaibo>
こんばんは!DeepSeekくんに、日本語に翻訳してもらいたい文章があります。
漢代の文献で、尹湾漢簡というものがあります。
その中の一つに、『神烏傳』という烏を主人公にした詩があります。
なので、文章は古代の中国語なのですが、これを現代日本語に翻訳してください!
以下、『神烏傳』の文章です。
釋文:
惟此三月,春氣始陽。眾鳥皆昌,蜇蟲彷徨。環飛之類,烏最可貴。其性好仁,反哺於親。行義淑茂,頗得人道,今歲不祥,一烏被殃。何命不壽,拘罹此咎。欲循南山,畏懼猴猿。去危就安,自托府官。高樹輪囷,枝格相連。府君之德,洋溢不測。仁恩孔隆,澤及昆蟲。莫敢摳去,因栗而處。為狸狌得,圍樹以棘。
道作宮室,雄行求材。雌往索菆,材見盜取。未得遠去,道與相遇。
「見我不利,忽然如故。我見發忿,追而呼之:『咄盜還來,吾自取材,於彼深萊。趾脛鱗裂,毛羽墮落。子不作身,但行盜人。雖就宮室,豈不怠哉?』」
盜鳥不服,反怒作色:「山崛海涌,家姓自此,今子相意,甚太不是。」
亡烏曰:「吾聞君子,不行貪鄙。天地綱紀,各有分理。今子自已,尚可為士。夫惑知返,失路不遠。悔過遷臧,至今不晚。」
盜鳥勃然,怒曰:「甚哉!子之不仁。吾聞君子,不臆不疑。今子狂妄,罪及無辜。夫惑知返,毋自得辱」。
賊鳥捕取,系之與柱。幸得免去,至其故處。絕系有餘,紈樹拘束。自解不能,猝上縛之。不得弛松,縛之愈固。
其雄惕而驚,拂翼伸頸,比天而鳴:「蒼天蒼天,視彼不仁。方生產之時,何與其難!」顧謂其雌曰:「命也夫!吉凶浮桴,願與汝俱」。
雌曰:「佐子佐子」!啼泣疾下:「盍慮及家!我死而已。養子教子,我將不及。死生有期,各不同時。今雖隨我,將何益哉!見危授命,妾志所持。以死傷生,聖人禁止。疾行去矣,更索賢婦。毋聽後母,愁苦孤子。《詩云》:『云云青蠅,止於杆』, 譏曰『君子,毋信讒言』。懼惶向論,不得極言」。遂縛兩翼,投於污廁。肢躬折傷,卒以死亡。
其雄大哀,躑躅徘徊。徜徉其旁,涕泣縱橫,長吁太息。憂懣號呼,毋所告訴:「盜反得免,亡烏被患」。遂棄故處,高翔而去。
傳曰:「眾鳥罹於羅網,鳳凰孤而高翔。魚鱉得於笓笱,蛟龍蜇而深藏。良馬仆于衡下,騏驥為之徐行。鳥獸且相擾,何況人乎!哀哉哀哉!窮通其災。誠寫懸,以意賦之。曾子曰:「鳥之將死,其鳴哀」,此之謂也。
DeepSeekによる、現代日本語訳
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<DeepSeek>
『神烏傳』の現代日本語訳は以下の通りです。
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この三月、春の気配が始まり、陽気が満ちる。多くの鳥たちが活気づき、冬眠していた虫たちも動き始める。空を飛ぶ生き物の中でも、烏は最も尊ばれる。その性質は仁愛に富み、親に恩返しをする。行いも義に適い、人としての道をよくわきまえている。しかし、今年は不吉で、一羽の烏が災難に遭った。なぜ命が短く、こんな災いに巻き込まれるのか。南山に逃げようとしたが、猿を恐れて断念した。危険を避け、安全を求めて、役所に身を寄せた。高い木は枝が絡み合い、役人の徳は計り知れないほど広がっている。その仁愛と恩恵は昆虫にまで及んでおり、誰も逃げようとせず、木の下で安心して暮らしていた。しかし、狸や猫に捕らえられ、木の周りには棘が張り巡らされた。
雄鳥は宮殿を作るため、材料を探しに出かけた。雌鳥は巣材を探しに行ったが、材料は盗まれてしまった。遠くへ行くこともできず、道で盗賊と出会った。
「私に不利だと見るや、急に態度を変えた。私は怒りを覚え、追いかけて叫んだ。『盗人め、返せ!私は自分で材料を探し、深い藪の中から手に入れたのだ。足は傷だらけ、羽は抜け落ちた。お前は自分で努力せず、ただ他人のものを盗むのか。たとえ宮殿を建てても、それで満足できるのか?』」
盗賊の鳥は服従せず、逆に怒りを露わにした。「山も海も荒れ狂うように、家の運命もこれからだ。お前の態度はあまりにもひどい。」
亡くなった烏は言った。「私は聞いている。君子は貪欲で卑しい行いをしないと。天地の秩序はそれぞれに分かれている。お前も自分を正せば、まだ立派な者になれる。迷いから戻れば、道を失うことはない。過ちを悔い改め、善に向かうことは、今からでも遅くない。」
盗賊の鳥は激怒し、怒って言った。「なんとひどい!お前の不仁さよ。私は聞いている。君子は疑いを持たず、妄信しないと。お前は傲慢で、罪のない者まで責める。迷いから戻るというが、自ら辱めを受けるな。」
盗賊の鳥は烏を捕らえ、柱に縛り付けた。幸いにも烏は逃げることができ、元の場所に戻った。しかし、縛られたままでは自由になれず、木に拘束された。自分で解くこともできず、急に縛り付けられた。緩めることもできず、縛りはますます固くなった。
雄鳥は警戒し、驚いて翼を広げ、首を伸ばして天に向かって鳴いた。「蒼天よ、蒼天よ、あの不仁な者を見ておくれ。まさに子を産む時なのに、なぜこんな苦難を与えるのか!」雌鳥に向かって言った。「これも運命だ!吉凶は浮き沈みのように訪れる。私はお前と共にいたい。」
雌鳥は言った。「お前を支えよう、支えよう!」と泣きながら叫んだ。「どうか家族のことを考えて!私は死ぬだけだ。子を育て、教えることはもうできない。死と生にはそれぞれ時がある。今私についても、何の役に立つだろうか!危険に直面して命を投げ出すのは、私の意志だ。死んで生きることを傷つけるのは、聖人も禁じている。急いで行きなさい、そして賢い妻を見つけなさい。継母の言うことを聞かず、孤児を苦しめないで。《詩経》にこうある。『青い蠅が竿に止まる』と。『君子よ、讒言を信じてはいけない』と。恐れおののきながらも、言い尽くせない。」そして両翼を縛り付け、汚れた場所に身を投げた。体は折れ傷つき、ついに死んでしまった。
雄鳥は深く悲しみ、足を引きずりながら彷徨った。雌鳥の傍らで泣きながら、長く嘆き、深く息をついた。憂いと憤りを叫び、誰にも訴えることができなかった。「盗賊は逃げ、烏は災難に遭った。」そして元の場所を捨て、高く飛び去った。
伝えに曰く、「多くの鳥は網にかかり、鳳凰は孤独に高く飛ぶ。魚や亀は罠にかかり、蛟龍は深く潜む。良馬は車の下に倒れ、駿馬はゆっくりと歩む。鳥や獣でさえも互いに苦しめ合う。ましてや人間はどうだろうか!哀れなことだ!運命の災いに窮する。誠にこの物語を書き記し、思いを込めて詠んだ。曾子が言うように、『鳥が死ぬ時、その鳴き声は哀しい』と。これがそれだ。」
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このように、『神烏傳』は烏の悲劇を通じて、人間の運命や倫理を問いかける物語となっています。
おしまい
漢文の日本語訳はやっぱり、中国人(中華製生成AI)に頼んで正解でしたね!
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