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④拘留2日目 東京地方裁判所

前夜何度か目が覚めた。
前日の検察調べの待機中、時間が経つのが遅すぎる。
調べが始まるまでは取り調べのシュミレーションをしているのですが、終わった後はただひたすら待つだけの過酷な時間。
目を閉じて座ったままムリヤリ寝るしかないので遂に睡眠が飽和してしまいました。

この日は東京地方裁判所に行く日。
検察官が、逮捕に引き続き捜査を進める上で被疑者の身柄の拘束が必要だと、裁判官に勾留請求をしていて、その判断を裁判所がする。
裁判所の勾留請求の却下率は5%程度で、浅野の立場から見ても今回の逮捕案件は取り調べが必要なのは分かるのでほぼ確実に勾留請求は通ると覚悟は決めている。

裁判官は起訴、不起訴を最終的に判断する客観的な立場で強い決済権を持っているので、取り調べの仕方が理不尽であることは主張する予定。

6:00起床、朝食は毎日心を折りに来るメニュー。
揚げ物・煮物にソースをジャバジャバにかけてゴハンと頬張る。
食事時はソースと醬油の調味料が共有で出される。
ソースをかけまくれば、究極ソース味のなにかとしてなんでも食べれることを発見。

生きるために食わなきゃとは思うものの、
弁当箱に三ヵ所しかない小さなおかずのスペースの二ヵ所を名前不明のお豆さん達が占拠。お豆さん達元気過ぎ。
端にある緑の甘そうな名前の分からない豆に心を折られて、最後残す。

護送車に乗せられる時は戸塚署の警察官達が大層な人数で大声でお見送り。
朝のルーティンみたいです。午前8:00出発。

手錠と縄で引っ張られるのは人としての尊厳を奪われるが気にしないようにする。考えても仕方ないことは考えない。考えるべきことに集中する。これ留置所生活ですごく大事なこと。

護送車はコロナ禍を忘れさせてくれるくらい密な空間でキツキツに座る。
護送車は窓換気なしなのに、護送車の中で鼻マスクの危険性や足を組むと急ブレーキ時に踏ん張れないので危ないという説明を他の警察署を中継するたびに何度もされる。戸塚署→渋谷署→原宿署→戸塚署→牛込署→麹町署→赤坂署。1時間20分位の間に7回、全然響かない話をされて虚無。

到着。地検・地裁は法務局の管轄のためルールが厳しい。
共犯の接触を避けるため、容疑者同士のあらゆるコミュニケーションは禁止。
毎度見せしめに、担当さんがキレる「横みてんじゃねーよ。お前だよ出てこいよ、オラッ」その後、この行為によってみんなの帰る時間が遅くなるという連帯責任論の解説が入る。全然響かないけど黙って聞いておく。

裁判官呼び出しが入る。
一応話は聞いてくれるもののメモ等は取らず。
書類の容疑者供述の部分には検察官に述べたことと同じことを話しましたという内容の判子を押して終了。所要15分。

退室した後その場で勾留請求の判断がされるため、
昼過ぎくらいから、大きな待機室の中の前のスペースで呼び出されて結果を知らされる。
書類を読み上げる刑務官の声が聞こえてくるので、他の人の結果が聞こえてくる。

悲しくなるくらいみんな同じ告知。
書面の内容を読み聞かせしてもらうのですが、

あなたの勾留が決まりました。
理由は、
①住所不定(これは人による)②証拠隠滅の恐れ③逃亡の恐れ

聞こえた範囲では全員②、③は含まれていて勾留が確定してました。
型にはめた拘留延長。みんな一緒。

容疑者みんな、勾留請求が却下されることにわずかながら期待しているので、告知がほぼ完了する夕方頃には待機室の空気はどんどん重たくなっていきます。

19時過ぎに逆走開始。 20時半に戸塚署に戻る。
15分で終わる流れ作業の為にヘビーな待機方法で13時間。
うん。過酷です。

夜飯の時間は終わっているので留置所の空き居室で護送車組だったおじいちゃんと食事。ずっとしゃべれない環境にいたからか堰を切ったように話し出す。国際郵便を受け取るバイトをしていたら薬物だった。面会に来た息子にも「帰ってくるな」 と言われたって感情が溢れ出して号泣してた。

「家族だから、少し時間がかかっても悪気がなかったことが伝わればいつか和解できますよ。これだけ反省してるから気持ちが伝わるといいですね」

自分の立ち位置が謎。笑

そんな話をしてすぐ21:00に就寝。

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