「移りゆくファッション」「移り行かないファッション」VOL.2
*「素敵」と「必要」のあいだ
さてさて前回からの続きになります。
かつて日本のファッション業界でよく言われていたのが
「カッコいい」とか「新しい」とか「素敵」が善だったわけです。
デザイナーさん達の企画過程での会話では
「去年と何が違うの?何が新しいの?」というフレーズをよく聞きます。
「変えることが善」というトラウマが存在しているようにも聞こえます。
「変える=新しい=企画努力」的な空気感が漂っているんですね。
これは決して悪いわけではないのですが
多くのアパレルに存在する空気であり
日本のアパレル業界が誕生して、様々な試行錯誤の上で
拡大成長する過程で生まれた慣習のようなものです。
この辺のことはまた別の機会に深掘りしたいと思います。
*では、現在の消費傾向はどう変化し始めたのでしょう。
どんなに「素敵」でも
どんなに「新しく」ても
購入前には以前よりも冷静に
購入するかを考えていませんか?
もちろん、この傾向はファッションだけではありません。
普段普通の生活必需品や
スーパーでの食材調達などでも同じです。
特に食材は日々の生活に「絶対必要」なものですから
その消費傾向を見ていると
今のマーケットの深層マインドが分かりやすいものです。
幸いにもスーパーマーケットの買い物かごは
バスケット状になっているので
お客様が購入される食材が丸見えで
教えてくれますね(笑)
*「必要」というスイッチ
購入する際に「必要」というキーワードが
以前よりも重要になっていると感じるのです。
「かっこ良く素敵」なものに出会った時、
閃いたように湧き出てくる
「これ欲しい!!」
というアドレナリンが出まくる状況が、
減っている気がしませんか?
衝動買いが減っていると感じませんか?
消費動向には以下のような傾向が見られます。
・必要 > 素敵 = 購入
・必要 < 素敵 = 我慢
・必要 + 素敵 = 購入
・必要でない + 素敵でない = 淘汰
その上で
・「質より量」から「量より質」を意識
・「経年劣化」を嫌い「経年変化」を理解
・「1シーズン」を好まず「ずっと」を好む
・「ファスト」から「スロウ」への趣向変化
そうです、「素敵」と「必要」のあいだにあるスイッチに変化が生まれています。
その結果が衝動買いの減少であり、
車の運転に例えるなら、安全運転型消費が増えてるように感じるのです。
そんな時にはどんなモノが売れているのか。。。。
企画するうえでどんなことを意識すべきか。。。。
「変わりゆく美」 < 「変わり行かない価値」
という図式が見えてきませんか?
続きはまた次回、VOL.3にて。。。