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強制キャッシュレス旅行
前回はこちらhttps://note.com/zeikin3/n/n5720d5a1d9a3
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朝。近所を散策してみる。
チャイナタウンではぼちぼち屋台の営業が始まっていた。
屋台から「うちで食ってけよわたあめ!」と声をかけられるも、現金がないから不可能だ。早く金を手に入れてこういう汚い屋台で飯を食いたい。
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セブンイレブンのATMで金をおろそうとするもまた失敗。
何が原因かわからん。
とりあえず飲み物と食い物が欲しい。なけかしの現金で買い物にチャレンジ。
500ミリリットルの水が2.50RM(70円)。あれ?高くない?
カップ麺も同じくらい。日本よか安めだけども、あまり安くない。
パンもお菓子も高め。まあこれは予想つく。発展途上国のお菓子は高いものだ。
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とりあえず水とカップ麺を買って宿に帰還。
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うん、無難な味。
食事の後、銀行に電話してみる。何故ATMで金をおろせないのか。
銀行のねーちゃん「暗証番号エラーでロックかかってますね。今海外ですか?」
わたあめ「ええ、これから利用しようかと思って」
銀行のねーちゃん「……帰国しないとロックを解除できませんね
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実は、マレーシアのATMでは6桁の暗証番号入力を求められる。
日本では一般には4桁なのだがのATM利用時は後ろに「00」と入力しないといけないようだ。ATMにもよっては普通に4桁でもいけるらしいが。
なるほど、と言ってる場合ではない。
カスタマーサポートのねーちゃんがとんでもないクレームに発展するのを予知して臨戦態勢に入ってるのを電話越しになんとなく察する。
クレームつけたところでどうしようもない。わたあめは先進国の住民なのだから、どんなトラブルにも冷静に対応できる。
声を震わせながらお礼を言って電話を切った。
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しばらく放心状態。
漫画とかでよく見る口から魂が抜け出てるような感じになった。
さてこれからどうしよう。
わたあめが持ってきたのはこのデビットカード一枚のみ。他のクレカとかは紛失した時を考慮して日本に置いてきた。完全に裏目に出てしまった。
調べると、海外緊急カードなるものを2万いくらの手数料で発行できるらしい。それを発行すればATMで金をおろせるようになる。
このデビットカードはもうゴミと化してしまったのだろうか。試しに、Amazonで漫画を購入してみる。
すると、普通に購入できたではないか。ATMでの操作にロックをかけられてしまったが、買い物は可能らしい。
旅の予算20万円は現金化できないが、カード対応の店では使えるようだ。
しかし、カード対応の店って中~高級なお店に限られてしまうんじゃないだろうか。安い屋台飯や安宿利用前提の予算なのでカードに頼っていたらあっという間に資金が尽きてしまう気がする。
緊急カードを発行してもらおうか?でも2万円の手数料か……ムムム( ゚ε゚;)
そういえば、海外ではキャッシュレス決済が発達してると聞いたことがある。偽札とか多そうだし、キャッシュレスの方が信頼性が高いってことなのかな?
意識して外を歩いてみると、確かにキャッシュレス決済用とおぼしきQRコードを至るところで見かける。
ボロい屋台でさえもだ。
コロナで非接触決済の需要が高まった結果でもあるそうだ。
これは…現金がなくともやってけるのでは??
ヤフってみると(わたあめはYahoo!派である)マレーシアではかなりの種類の電子マネーが普及しているらしい。
中でもダントツはTouch&Goというもの。日本でいうSuica的なやつらしい。
キャッシュオンリーっぽい店でもTouch&Go対応の所は多い。これを利用すれば現金がなくてもスマート&エコノミーな旅行ができるのでは?
早速ダウンロードしてデビットカードからチャージを試みると…失敗。
マレーシア国内で発行されたカードしか利用できないっぽい。観光客は現金でチャージしろということだ。
現金がないからチャージしてんだけどなあ。他の電子マネーを試そうと目をつけたのがGLAB PAY。配車アプリで有名なアレの電子マネー。
Touch&Goに続いて普及率2位らしい。
これは日本のカードからもチャージできた。これはいける。
光明が見えた。どうなるかと思ったが、現金がなくとも意外と困ることがなさそうだ。
手始めに、そこら辺で見かけたコンビニKKマートで利用してみる。
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ここは24時間営業らしい。しかもセブンイレブンより安い。ただ雰囲気はかなりローカル。入店しても店員はガン無視してくる。堂々と万引きしても無視されそうな感じ。てかこっちの存在に気づいてない説まである。
コーラをカウンターに持っていき、GLAB PAYの画面を見せてバーコードをスキャンしてもらう。
レシートが出てくるがこちらにはくれない。エラーレシートかな。
わたあめ「支払いできたんか?」
店員「……(肩をすくめて首をかしげる)」
「さあ、どうだろうね」と言ってるのか?なんだこいつ。
もう一度尋ねてみると、店員はまた同じ動作をした。
ひょっとしてこの国では肩をすくめて首をかしげる動作は「OK」を意味するのかもしれない。
ブルガリアだかどっかの国では首を横に振るのが「yes」のジェスチャーだと聞いたことがある。
言葉が違えばジェスチャーの意味が変わるのも当然だろう。
店員の態度にキレかけたが、先進国育ちならではの思慮深さを持つわたあめはグッとこらえた。
GLAB PAYを見ると決済完了の通知が来ていた。
ローカル色あるコンビニで使えるのだから、GLAB PAY対応の店は多いと思われる。
現金をおろせないと知った時は絶望したが、時は2022年。発展途上国といえど、時代は進んでいるのだ。
現代に生まれて良かったと初めて感じた日だった。
しかし、やはり現なまは触りたかった。
大量の紙幣をベッドの上に広げて「うへへ、ぼく、おかねもち」とニヤニヤするのが海外旅行一日目の楽しみなのに。
まあ仕方ない。生きていけるだけありがたいと思おう。
とりあえず最大の困難は乗り越えたと一安心。
しかし、このあと更にとんでもない事態に見舞われるのであった。