鶴かもしれない2020(演劇)
下北沢の駅前劇場で小沢道成さんの一人芝居「鶴かもしれない2020」を鑑賞。
もともと色気のある人だけど、痩せてて、何かにとりつかれたように目だけギラギラしてる女に完璧になりきってた。というか小沢さんがやると「女子」って形容したくなる。
出てきた瞬間に、目元はきちんと鶴っぽく鮮やかにメイクしているのに、くちびるは薄くドーラン塗ったままのヌーディーな口元だった。その口元を見た途端にめちゃくちゃ計算高いスッピン女子だと感じたので、ただの中性的な男性じゃないということが、私のようなものにもわかる。計算しつくされていると感じたのでそこが快感ポイント。
鶴と優しい猟師(どうしようもないバンドマン)を一人でいったりきたりするんだけど、元の造作が良いので、凡庸でどうしようもないバンドマンが魅力的に見えてしまってあまり絶望を感じない。そこは少しもどかしい。
センスも魅力もまったくないのにただ優しいだけの男のために、身を削って春を売るという絶望を表現するはず。でも小沢さんが彼を演じることで、魅力的に見えてしまうことで、どこか滑稽になってしまう。
彼が作ったどうしようもない「どん底」という歌がどうしようもない歌のはずなのに、そう聞こえないところが物悲しさを募らせる。最近バンドマンに入れあげているからだろうか。いやでもヒモアレルギーは治ってないしな。
小沢さんの作る舞台は、春を売ることを悪とジャッジしない。あくまでふわふわしたことに描くことで、あなたはどうしてそれを悪いこととしてジャッジするのか、というのを観客に突き付けてくるような気がする。とても言語化が難しい。
あと、たぶん役作りのためにかなり体重落としていたので、アンケートにご飯ちゃんと食べてくださいって書いてしまった。そのうちなくなってしまいそう。
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