見出し画像

人物②:元船長 包容力と停滞と肥満体と

さて、初回の登場人物はこのnoteを書くきっかけとなった人物なので
その勢いのままヘビーでロングな内容となってしまった(照)。
読み物としては、ちょっと気軽に読めるものではなかったように思う。

じゃあ2回目となる今回は、やはりライトで口当たりの良い人物にしようかと。それでいて、読み応えのある程よい重厚感のある内容・・・。
となると、もう今回の登場人物は決まりだ。

同じ会社に勤務する同僚であり、僕より5,6歳ほど年長の方。
人生経験豊富であり、入ってまだ1年ちょっとの新人で、100㎏の存在感あるおっちゃんが最適だと。

理由は明確だ。その方の人生がとても波乱万丈なのだ。
少し経歴を列記するが、それだけで十分面白いと思う。(妄想が膨らむ)
幼少期、事業家である父上が貿易で成功し、オランダ(うろ覚え?)にも会社をつくり、オランダ人300人ほどを社員とする会社社長のご子息として、いわゆる超お金持ち(ボキャブラリー不足w)の家庭に育ったとのこと。
丘の上に住み、プールがある家で、お手伝いさんが複数おり、車で小学校に通っていたらしい。
服はいつも仕立て屋さんが来て、作って貰っていたし、
車好きのお坊ちゃん(登場人物)が日産の新車がカッコイイとカタログを取り寄せたら、ディーラーの重役たちが一斉に家に押しかけ、「お坊ちゃんが欲しがっている」と営業に来たそうな。
いわゆる小遣いという概念すら持たない少年だったようです・・・。

そんな彼が成長し(ここからが本番)、高校生くらいの時に「船乗り」となるべく専門の学校に通っている最中に、父上の事業が失敗し、没落したとのこと。(でも、不渡りは出さず、しっかりと従業員の保証をし、なんか分からんけどちゃんと払いきった上での倒産とのことで、僕はなんか聞いていて感心した。その人の上品さ・人徳に繋がっているようで。)

そんな状況にも関わらず、多感な少年であったであろう本人は気を確かに、しっかり船の学校を卒業し、船乗りとしての社会人生活を始めたようです・・・。つまりは年収何千万円の暮らしとのこと。

で、色々あって(十数年はしょる)その後、しがないうちのベンチャー企業なんかに入社することになったようなのです。。。
その間の大きなトピックとしては、
・航海中に妻がパチンコで何千万円の借金を作ったことで離婚したり(自分で返済し切った)、
・人間関係で悩み会社が嫌になって船長を辞めたり、
・趣味のボディービルダーとして活躍するも膝を壊して断念したり、
・・・まぁ色々あったらしい。。。

結果、いつの間にか、40代後半になり、
とても人当たりの良い100㎏の肥満体としてうちで勤務しておられます。


で、僕は彼のことが非常に好きなんです。
理由は簡単。基本的に頭が良く、知識も豊富、趣味も色々あってトークも軽快、そのうえ人柄が上品。
そんな人を嫌いなわけがないですよね。
でも、やはり、そんな彼が会社にとって素晴らしい人材かというと、
そうでもないのがビジネスは難しいところ。

おそらく、波乱万丈の生活の中で、どこかで心が折れたのだと思います。
というのも、異様に責任ある仕事(役割)を嫌がるのです。
イベントの案件であれば、年齢的にもディレクターとして現場を仕切って欲しいところ、かたくなにディレクターは無理ですと断り、
じゃあ簡単な資料作りを任せようとしても、頑なに自分では内容を考えず、教えて欲しいと乞い。
常々、「作業」としての働きを求める傾向があるのです。

人生の途中で何かあったんだなぁ~と思わせる要素が半端ない感じなのです。
そのうえ、お昼ご飯は2.5人前を食べます。
結果として、明らかにストレスによる暴飲暴食が習慣づいてしまった体形なのです。

そんな彼を見ていると、やはり心配もあるし、応援の気持ちもあるし、苛立たしい気持ちもある。
「あなたはもっと出来るでしょうに!」というドラマで聞いたことあるような言葉を叫びたくなる。
このもどかしい気持ち!第2回目の登場人物として最適でしょ?(笑)。

その仕事ぶりを傍らで見ていると、責任を取る、というのは、いわゆる能力(この場合、脳力といった方がいいのか。スペック?IQ?)とは別のところに所属する力なのだと思う。
その人が持つ「前へと進むエネルギー」というのか、つまり「推進力」というものかもしれない。

元船長であることを掛けて言うと、彼は今、無風を求めてしまっている状態なのだ。
浮かんでいるだけで精一杯、なのか、沈まなければ御の字、なのか・・・。

僕は彼をみていて、『浮き輪』を思い出す。(見た目だけではなくね)

彼はとても包容力があるタイプで、人の言うことを否定することはせず、常に聞き入れる姿勢なのだ。
そんな彼は、気が滅入っている時、弱音を吐きたい時、誰かに励まされたい時、最適だ。
沈んでしまう自分を何とか持ちこたえることができる。つまり浮き輪だ。

でも、力がみなぎり、よし向こうまで泳ぎ切ろう!という時、浮き輪はむしろ邪魔になる・・・。

『包容力』と『停滞』と・・・。

今回も唐突に、そして無理やり、締めにかかるとする。

・・・人生はまだまだ続くのだ。
僕は強く思う。少しでも前へ。もしかしたら、流されているだけだとしても前へ。
もっと言えば、浮かんでいるだけでも良いと思う。でも、『前』がどっちなのか。

『前』とは、自分が行きたい方向。良いと思う方向だ。
それは、僕が自分自身に向けても思うことでもある。

少しでも良い方向を目指す・・・。
楽しく生きるスタンスとしては、まずはそれが大事なんじゃないかと思う。
結果として成功するかもしれないし、失敗するかもしれないし、何も起こらないかもしれない。
でも、いずれの結果であっても航海をした経験値は得られる。
無風・無方向は後悔すらできないのだ。(あぁダジャレを書いてしまった・・・)

育ってきた環境、自分が進んできた道のり、周りの人間関係によって辿り着いた場所、その他、多数の縁によってもたらされた経験の数々。
人それぞれあるだろうし、自分の現況に対する気持ちもそれぞれ違うだろう。
ただ、そのうえで、「じゃあどうする?」が常に大事なのだと。
いつだって、誰だって、その点だけは同じなのだと。

「じゃあ、どうする?」

僕は彼の幸せを祈り、願い、応援しつつ、
しっかりと「じゃあ、どうする?」を推し進めていきたいと考えている。

いつの日か、彼の「では、こうします。」のあとのストーリーをここで更新できたら嬉しいなと思う。

#エッセイ #コラム #人物評

企画会社の社員。ある日、苦手な人との電話中に発疹が出てきて、全身に広がったため、皮膚科に駆け込んだところ、ストレス性の蕁麻疹と診断される。気持ちを落ち着かせるためにnoteを始める。