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『みんなご縁で繋がっている』

「仏教聖典」という本があります。ホテルにキリスト教の聖書と並べて置いてある本です。さりげない存在ではありますが、初めての人が仏教を学ぶための本を一冊だけ選ぶとしたら何を薦めるかと聞かれたら、私は間違いなくこの「仏教聖典」だと言います。
お釈迦様の生涯から根本的な教え、そしてその背景までもが分かりやすい言葉で、一冊の本に纏め上げられています。そして特筆すべきは初学者が読んでも、プロが読んだとしても、過不足ない内容になっている事です。そして何度読んでも学びがある。これは素晴らしく優秀な先師方が数多有る言葉を削ぎ落として削ぎ落として生んだ、努力と才能の結晶だと思います。
そんな「仏教聖典」にはどんな言葉が書かれているのか。縁という項目を見てみることにします。生活の中でもビジネスの場でもご縁があって、とよく言ったりしますね。ただあまり正しく理解がされていない言葉でもあると思います。本の中ではこのように書かれています。
『全てのものは、みな縁によって生まれ、縁によって滅びる。
雨が降るのも、風の吹くのも、花の咲くのも、葉の散るのも、全て縁によって生じ、縁によって滅びるのである。
この身は父母を縁として生まれ、食物によって維持され、また、この心も経験と知識とによって育ったものである。
だからこの身も、この心も、縁によって成り立ち、縁によって変わると言わなければならない。
網の目が、互いに繋がりあって網を作っているように、全てのものは繋がり合ってできている。
一つの網の目がそれだけで網の目であるとあると考えるならば、大きな誤りである。
網の目は、他の網の目と関わり合って、一つの網の目といわれる。網の目は、それぞれ他の網が成り立つ為に、役立っている。
全ての物が、縁によって生じ、縁によって滅びるのは永遠不滅の道理である。』
よく自分の為、人の為と分けて考えます。しかしこの「ご縁」という智慧を通じて伝えたいのは自分も他人も社会も世界も、全てがそれぞれに相互に関係し合って、依存しあって、影響しあって成り立っているという事です。
よく人生で出会った人の事をご縁があったといいますが、それは少し違うかもしれません。会っていても、会っていなくても、そもそもご縁で繋がっています。
なんだか自分の為にすると得するような気がして、誰かの為にすると損するような気がします。しかしそもそも繋がっているのであれば自分と為と、人の為とは相反するものではないという事です。
とは言っても短期的には自分の為にしたほうが得になる事があるのも事実です。でもみんなご縁で繋がっている。それを忘れないようにしながら日々を過ごしたいなと思います。

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