月よ、疾く明けよ【Lunatic Dawn】
見立てより時間を食う荒野に不安を感じ、乏しくなる食料に焦り、怪物との遭遇におののく。眠ることもままならず、じっと息を潜め月が明けるのを待つ。滑り込むように街に入り、やっとの思いで得られるのは僅かな宅配代。息を継ぐ暇もなく宿屋を巡り、依頼を食い入るように見つめ、次の機会をうかがう。
RPGといえば、モンスターを倒して経験値と金を手に入れ、装備やレベルをため込むものと思い込んでいた私にとって、そのゲームは価値観そのものを揺るがすとてつもない衝撃だった。それは物語を読むのではなく、自らが体験するパルプ小説であり、今まで読んできたコナン、ファファードで感じた冒険の空気を確かに吸うことができた。後年TRPGに興じることになるのも、ルナティックドーンで味わったあの熱を再び我が身で感じるためだ。
君は、共に冒険をしていた仲間NPCが冒険中に死んで、衝撃でゲームが進められなくなったことはあるだろうか?
(続く)