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やくもが行く

 今年の冬は連休とって島根旅行に行ってやるぞ!!と思った半年前には想像もつかんほど最近は仕事がバタバタしておりまして。(仕事が忙しいとかそんな話したいわけじゃないよぉ)楽しい旅行前後にこんな大仕事が入るなんて聞いてないんだが!!!!????と思いながらなんとか苦しみ生きとります。あくせくしすぎて、全然任されたこともうまくできんくて、旅行を取り消した方がいいのではと思ったこともあったけど、さすがに私が私にも旅行くらい行ってほしいと懇願してくれとったので、2泊3日、この美しすぎる羽を伸ばしに伸ばしてきました。ちな、島根初上陸✌️

 初日の朝からの移動は、まず岡山まで行くために新幹線に乗車。そこから松江まで行くために特急やくもに乗り継ぎ、というルート。タクシーの窓から曇天を仰ぎながら駅に行き、じゃがりことカフェラテ片手に新幹線に乗る。

 なかなかその前の数日間は睡眠にかまってあげれんかったので、新幹線の中で本を読んでは眠くなって寝て、本を読んでは寝てを繰り返していた。これができる幸せたるや。途中から隣に座ったおじさんは靴をスリッパに履き替えるという上級者っぷりを見せつけてきたものの、イトマキ、自分を貫く。移動中のこの持て余す時間、たまらなく好き。

 のびのび過ごしていたら、暇する間もなくあっという間に岡山に着いた。もうお昼どき。ここからやくもの出発まで、観光するかも、お昼ご飯めちゃ食べちゃうかも、という観測を持って2時間空けている。スーツケースをロッカーに預けて、駅の外へ。

 さんんんんんっっっむい。げっっき寒でした。なんせこの日は今季最大寒波到来!みたいなニュースが流れてたもんで。陽は出ているけど風がさーむいさむい。工事の関係で駅の隅に追いやられていた桃太郎御一行を拝み、駅前の通りに繰り出す。

 お昼はここで食べたいなーってところをGoogleマップにピン刺しといたんだけど、一番行きたかったところが臨時休業だった。くやしい。しかたないのでとにかく通りを歩いてみるが寒すぎるために頭がなんの情報も処理してくれん。もう耳ちぎれそうなくらい寒い。意外と昼飲みをやってる店が多かったけど、もう寒すぎて食欲があるかもわからんくなってきたので、せっかく30分くらいほっつき回ったくせに、結局駅に戻って地下街でパスタを食べた。このお店の店員さんたちはみなさんすごく愛想が良い方ばかりだった。凍えた体に染み渡る笑顔。ありがとう。アンケートまで書いた。

 列車が出るまであと1時間弱あるなーってところで、寒さを舐めて手袋を家に置いてきてしまったことを思い出したので、手袋を買いに。しかしビビッとくる手袋がなく、結局駅内をぐーるぐるしただけだった。普段生活しててもビビッとくる手袋なんてなかなか出会えんのでしょんなかです。そうこうしているうちに出発時間が近づいてきたので、ドラッグストアに寄って必要なものを買い、コンビニで黒豆茶を買い、やくもが来るホームへ。

 オレンジ色のやくも、めちゃくちゃかわいい。旅行計画中からあの雲のロゴがかわいいなあとずっと思ってたけど、これに乗れるなんて!ホームへ入ってくるところをバッチリ動画でおさめ、わくわくしながら乗車。

 ん?この発車メロディ聞いたことあるな、、、、ひげだんじゃないか!!!??ヒゲダンの『I LOVE…』だったのです。調べてみるとメンバーに米子出身の方がいるそうで、その関係で去年の春頃から流れているということだった。こういうご当地メロディ、だ〜いすき。このあとの各駅でも流れてたのでその度にどきどきした。

 平日の真昼間なこともあってか、乗っている人の数は少なく、車内は静かでのんびりしていた。新幹線のときと同様、私はまだまだ睡眠負債が溜まっていたようなので、本を読んでいつの間にか寝落ちしていた。

 トンネルを抜けると、もとい涎拭いて伸びをすると、そこは雪国でした。

白い!

 まあ吹雪も吹雪。びっくりして一瞬で目が覚めた。山の中を通っていく列車だから見れる景色。私の地元ではほとんどない風景なのでテンション上がった。特に列車が信号待ちでしばらく停車した時間、白い景色にさらに雪が懸命に降ってて、あったかい車内はしーんと静まり返ってて、あの空間にずーっといたかった。あのときもし隕石が降ってきて、地球が終わってたとしても、多分あのやくもだけはどういうわけか生き残っていたと思う。それくらい、世界から切り取られるみたいっていうのを痛感した。

 雪景色へのテンションも落ち着いてきて、ボーっとSpotifyを流しているともう松江駅が近づいてきていた。もう16時前なので、宿に荷物を置いてご飯を食べる予定。

 松江駅に降り立ち、近くのイオンの無印でメイク用の鏡を買い足して宿に向かう。宿を目指して歩き出すと、狙ったかのように雪がちらつき始めた。ありえんくらい寒い。これが島根の歓迎の証なのか。寒すぎるってばよ。歓迎は十分伝わったって。

 スーツケースのゴロゴロけたたましく、文字通り凍えながら歩いて宿に着いた。この2泊お世話になるのはずっと泊まってみたかった和室のお部屋。浴衣の種類もフロントで選べるスタイル。スタッフの方がお部屋まで荷物を運んでくださって、えええごめんなさいいいと思いぺこぺこしながらお部屋に入った。

 お部屋も期待通りの落ち着いたお部屋だった。お布団が用意してあって、あとは寝るだけ!なんてこともできるが、外で飯を食うのだ、酒を飲むのだ、お刺身食うのだということで、お茶淹れて一息ついてメイク直し。行きたかったお店に一応電話を入れ、席があることを確認して、宿を出る。お刺身も地酒も飲めるお店。

 それにしても寒い。完全に舐めていた。この橋渡る?寒いって。寒さにほぼ怒る状態で歩いていると、通りの道になにか映してある。

かわいい
かわいい

 松江駅前にこの子達のちいちゃな銅像があったんだけど、結局このキャラクターが何かもわからんまま帰ってきてしまった。知ってる人は教えてけろ。

 キョロキョロしながら歩いていると目当ての店に着いた。中に入ってすぐの場所にカウンターがあり、そこには常連ぽいお姐さんたちが既に二人座っていた。「カウンターどうぞ」と言われ、そのお二人から一席空けた席に座る。姐さんたちは店主と談笑されていたのでさすがに自分から輪に入ろうとする、というか邪魔する勇気もなく、ひとまず瓶ビールを注文。「お食事は半分の量にもできますので〜」と店員さんのナイスアシスト。サラダと大本命のお造りを注文した。

 サラダをむしゃむしゃ食べていると、お造りがきた。これが、もう、もうね、美味しすぎてたまげた。肉厚で、脂がのってて、味が濃い。地元のお魚もすごく美味しい方だと思ってたけど、たまらんかった。人生であんなにおいしいお魚は食べたことがない。食べ終わりたくなくて、もったいなくて、なかなか箸が進まんかった。ほんっとに美味しすぎた。よくも私に秘密にしておいたな。もっとアピールしてくれ。

日本の宝

 今までにない次元でお刺身に胸を打たれていると「旅行かお仕事ですか」と店主さんが話しかけてくれたので、チャンスや!と思い、輪に入らせてもらった。店主さん、そして姐さんたち、めちゃくちゃいい人たちだった。私の明日からの計画を聞いてくれたり、お互いの出身地の話をしたり、とにかく姐さんたちの話とかノリが楽しくって最高だった。地酒のおすすめも聞いて二杯ほど飲んだ。

 わいわい話しているとなんと姐さんたちが二軒目に誘ってくれた。やっさし。私はすでに酔ってて楽しくて遠慮もなかったためついて行かせてもらった。近くのスナックに入って、もう何を飲んだか何を話したかも記憶はないが、22時前にはタクシーに乗って宿まで送ってくれた。確実に私の島根の幕開けを担ってくれました。最高の幕開け。島根の夜をつくってくれた姐さんズ。また会えるといいな。

 部屋に戻り、なんとかメイクだけは落として布団に入った。あんなにうきうきしていた浴衣にも着がえることもなく就寝。もうすでにアルコールで頭が痛くなっとったけど、チェックインのとき朝食7時に食べるって伝えたちゃったー早く起きなきゃーと胸に刻みつつ、素敵な出会いにぷかぷか浸って寝た。

 2日目からは本格的に観光がスタートいたします。出雲大社にお蕎麦にハシビロコウ。めちゃくちゃ運転しやすい道路。相変わらずの曇天。綴ってゆくぜ。

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