Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【5月22日㈬~5月28日㈫】
先週の当通信、後半で「邦題、絶賛悩み中」とお伝えしていた映画ですが、無事邦題が決まりました。一周回って原題のまま行くことに。正月明けに行ったキックオフ的な最初のミーティングの頃から「原題のままで」という意見は主流だったのですが、私は原題のままで行くことに躊躇いがあって(映画の売り口と題名を上手く繋げるのに高等技術が必要)、「ゴールデンウィーク中にもう一度各自で邦題を考えて、休み明けに持ち寄ること」を提案していました。で、休み明け最終的に候補として残ったのは3案で、①やっぱり原題のまま ②折衷案的な、原題を生かした邦題 ③多少ベタでも分かりやすい邦題…というものでした。
その3案を、デザイナーさんが作ってくれるラフデザインに乗せてみて、しっくり来るものはどれだろう?と試して、しっくり来たのが結局原題だったのでした。邦題が決まるまで、なんだかんだと時間がかかってしまいましたが、その間宣伝の方向性について、皆といろいろ意見を交換出来たので、決して無駄な時間だったワケではなかったです。特に今回は提供会社がうちを含めて3社の共同体なので、社外の方々も交えての話し合いの時間は結果的にとても有益でした。
…と邦題決定の経緯をつらつらと書いておきながら、肝心のその題名をお教え出来なくて申し訳ありません。情報解禁まで、あと2週間ほどですので、もう少々お待ち頂ければ幸いです。
邦題に関して、別の話題をもう1つ。8月9日㈮公開のマルコ・ベロッキオ監督作品『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』について、とある映画評論家/ライターの方がご自身のSNSで、イタリア映画祭でのタイトル「夜のロケーション」から、なぜ変更したのか?なぜ余計なサブタイトルを付けるのか?というような主旨の異議申し立てをされていました。誰からも反対意見が出ない邦題、というのは、世の中には存在しないのでは?と日頃から痛感しているので、我々が悩み抜いて決めた邦題に対して、否定的な意見が出てくるのは仕方ないとは思っています。が、しかし!その方の投稿の最後のひと言は、ちょっとショックでした。曰く「自信がないから副題をつけるのな。バカめ!」。「バカめ!」ですよ、「バカめ!」。親にもそんなこと言われたことないのに(笑)。
正直な話、私自身も社内のスタッフや、映画好きの友人とのやり取りの中では、自社の作品は棚に上げて、他社さんの作品のビジュアルや邦題に文句をつける、というのを日常茶飯事でやっています(悪口は楽しい。笑)、が不特定多数の人の目に触れる場所で、それはやりません。なので、当事者の目に触れる可能性があるのに、何の迷いもなく「バカめ」と書けるのはある意味潔い、というか肝が据わっている気はするのですが、実際言われたほうはたまりません。これ以上傷つきたくないので、その方のフォローをそっと外させて頂いたことをここに報告しておきます。
不穏な話はこれぐらいにして、先週閉幕した第77回カンヌ国際映画祭のお話。土曜日の授賞セレモニーまでご覧になって翌日曜現地を出発、週明け27日の月曜に日本に戻ってきた方々が最終の帰国組でしょうか。昨日は帰国した同業の方とランチをして、今年のカンヌがどんな感じだったか、いろいろお話を聞かせて頂きました。外国映画の興行が全般的に厳しい状況に加えて、この円安ですが、引き続き各社さん積極的に買い付けしていたようです。パルムドールを受賞したショーン・ベイカー監督の『Anora』はユニバーサル作品だそうなので、現地でオファー合戦が繰り広げられたワケではなさそうですが(水面下で、ユニバーサル作品の配給実績のある独立系の配給会社さんが、手を挙げていたかもしれませんが)、GAGAさんは自社のXで、脚本賞を受賞したデミ・ムーア主演の『The Substance』と、特別賞を獲ったイランの『The Seed of the Sacred Fig』を買い付けた、と発表されていました。グランプリのインド映画『All We Imagine As Light』、審査員賞、女優賞を受賞したジャック・オディアール監督『Emilia Perez』、ミゲル・ゴメスが監督賞の『Grand Tour』が売れたかどうかも、おいおい情報が入ってくるのではないかと思います。
それにしても、カンヌ。円安と物価高のダブルパンチは相当なものだったらしいです。昨日ランチをした同業の方がおっしゃるには、ちょっと気の利いた店でブレックファスト・ミーティングをしたら、一人40ユーロだったそうです。今日のTTSは1ユーロ=170円ぐらいなので朝ご飯が7,000円近い、ということですよね。恐ろし過ぎます(((( ;゚Д゚)))。なので今年は、うちが10年以上前から提唱(笑)していたスタイル=合宿自炊形式でアパートに滞在する方が増えた印象、という話も別の方から聞きました。来年カンヌ復帰するとしたら、弁当屋やろうかな。のり弁15ユーロ、唐揚げ弁当20ユーロなら飛ぶように売れそう。パリやロンドンでBENTOは定着してるから、日本の方以外にもウケること間違いなし!
ところで、弊社Staff Oのアパート詐欺事件のその後ですが、しつこく予約サイトに賠償を請求して、無事全額が戻ってくることが確定したようです。円安が進んで為替差益も出るかも(笑)。そんな円安メリットいらないから、早く円高になってくれ~。
texte de daisuke SHIMURA