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Histoire De Zazie Films 連載④    ウルトラミラクルラブストーリー  あるいは、秀逸なデザインは後世に

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前回の記事はこちら☞ 連載③さらば映画の友よ
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前回少々しんみりさせてしまったので、友情の物語の次はラブストーリー!というのは大ウソで、“ウルトラ”さんにまつわるお話です。

『女は女である』のヒットに気を良くした前述の女史(S女史としましょう)。私もHが亡くなって「これからは一人で頑張らなければ・・・」と、悲壮な決意を新たにしていたので、権利を保有するゴダール映画のリバイバル公開を次々仕掛けていくことになります。

先ずは『女は女である』の半年後、8月に同じシネセゾン渋谷で『中国女』を、10月には当時、東急文化村の通り向かいにあったシネアミューズで『男性・女性』を、翌99年夏にはふたたびシネセゾン渋谷で短編『未来展望』と、クリス・マルケルの『ラ・ジュテ』をカップリングで・・・、と怒涛のゴダール波状攻撃。

その後も2001年1月に“浅田彰セレクション”と題して、『東風』、『ベトナムから遠くはなれて』、ヨリス・イヴェンスの『北緯17度』を連続上映、という暴挙も(笑)。まさかジガ・ヴェルトフ集団時代の作品にまで手を出すとは思わなかった(自分で言うな)。そして翌2002年も『パッション』、『ゴダールのマリア』の連続上映。そして『恋人のいる時間』。
まさにザジの劇場配給初期は、ゴダールに開け、ゴダールに暮れる日々でありました。

ウルトラ写真3 修正済


その間、新作の配給も始めていますが、なかなかヒット作を生むには至らず。唯一形になったのは、ジョニー・デップがナビゲートする、ビートジェネレーションのドキュメンタリー『ビートニク』(宣伝協力は、今回の“Help!The映画配給会社プロジェクト”でもご一緒しているムヴィオラさん!)ぐらいでしょうか。

で、やっと本日の本題です。ゴダール波状攻撃の際、宣伝戦略、イメージ作りに大きく寄与したのはビジュアルデザイン。チラシ、ポスターのメインビジュアル、パンフレットのデザインです。上記の作品群、1番組を除いてデザインを担当してくださったのがグラフィックデザイン事務所UltRA GraphicsのYさん始め、スタッフの皆さんです。

実は私は当時、劇場配給の資金を捻出するためのライセンスの仕事が中心で、現場の配給業務はS女史にほぼ任せっきり。仕上がってきた複数のデザイン案の中からどれかを選ぶ作業には加わっていたものの、アートディレクションは実質的にUltRAさんの、ほぼやりたい放題(笑)。だからこそ、今も鮮烈に記憶に残るデザインの数々が生まれる結果になったのでした。UltRAさんとの相思相愛時代、と言えましょう。

今だったら、とてもじゃないけど出来ない、先鋭的で、予算を考えない(多少は考えてたけど)凝ったデザイン。いやぁ、思い出しても凄い時代でした。バブルなんて体験してない、って思ってたけど、ある意味バブルだった、と今思い当りました(笑)。

ウルトラ写真1 修正済

それを考えると、今は「分かり易く」がモットーになってしまって、デザイナーさんのクリエイティブな部分を殺してしまっていて申し訳なくなってきます…。
当時はもちろん「旧作を新たなイメージでパッケージし直して差し出す」というのが隠れたテーマだったと思うので、出来得たことかもしれません。
しかしながら「分かり易く」は、ある意味観客を信じていない、ということにも繋がります。

初心に帰ってもっと冒険してみてもいいのかもしれません。
・・・と言いつつ、明日も「タイトル、もっと大きく」とか「角版(場面写真の小さい画像)入れちゃいましょうか」とか言ってるのが、容易に想像出来たり…。


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次の連載記事はこちら☞ 連載⑤切られた首
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