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映画『ハッピー・オールド・イヤー』公開記念 リアル引っ越しドキュメント⑱「もらった物、全部は取っておけない。前に進まなきゃ」

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前回の記事はこちら☞ 連載⑰「もう物を増やすな」
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『ハッピー・オールド・イヤー』の公開が、いよいよ9日後に迫りました。配給を決めた年明けの頃は、コロナなんて“対岸の火事”的に捉えていたし、春先に12月の公開が決まった時は、希望的観測に基づき年の瀬にはとっくにコロナは収束している予定でした。人生、何が起こるか分かりません。それを言ったら、今年の初めには事務所の引っ越し、なんて具体的には考えていませんでしたが、春夏までとは違う場所でこうしてnoteをしたためています。12月になり、2020年回顧モードの私です。

今回ピックアップするのは「もらった物、全部は取っておけない。前に進まなきゃ」。家の断捨離中に、友だちピンクからプレゼントされたCDを捨てたのをピンク本人に発見され咎められた時に、ジーンが言うセリフです。自分の行為を正当化しようとする、ちょっと苦し紛れな言い訳、という側面もありますが、そう言い切られたピンクは「あんたの言うことは正しいよ」と返すしかありません。が、その後に「でも(そういうもんじゃないでしょ?)」と続けたかったのは明らかです。

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※主人公ジーンは、インテリアショップで何を想う…?

人からプレゼントされた物を捨てるのは、断捨離をしていて一番の悩みどころですよね。ザジフィルムズの引っ越し断捨離中に悩んだのは、来日した監督がサインしてくれたポスターやパンフレット、プレスをどうするか?プレゼントパブ用にサインしてもらった物の予備だと思いますが、それが結構な枚数だったり、冊数だったり。もう権利も切れているし、取っておいても有効な活用方法が思い浮かばないのですが、当時、来日取材を終えて帰国間際、ホテルのチェックアウト前に部屋やロビーで無理やり時間を作ってサインしてもらった監督たちの、その時の姿がよみがえってきて、なかなか捨てられない…。と、書いていて、このブログを『ハッピー・オールド・イヤー』のナワポン監督がGoogle翻訳にかけて、読んでくれているのを思い出しました。監督!大丈夫!サイン入りポスター、捨ててません!(来日が叶わなかったので、今回サインはしてもらっていないですが。笑)

人からもらった物、ではないですが、誰もが持っている卒業アルバム。今回チラシ裏に、吹き出しで“あなたは卒アル捨てられますか?”と入っているのにお気づきの方はいらっしゃいますでしょうか?劇中には実はそんなシーンはないのですが、《何を捨て、何を取っておく?》の象徴の品として敢えて入れてみました。悩む、悩まないはあるかもしれませんが、結果的に取っておく人と捨てる人、人間二通り、という思いを込めています(ちょっと意味が伝わりにくいでしょうか?)。実際は、引っ越しを繰り返しているうちに失くしてしまった人、実家の自分の部屋の押し入れに眠っていると思うけど、もしかしたら捨てられちゃったかな?という人など、厳密には二通りに分けられないかもしれませんね。

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※“ジーン、物に囲まれて思い悩む”の図。それにしても、この自然な物ごちゃごちゃぶり。美術スタッフの仕事が素晴らしいです!

しかし今回のセリフで大事なのは後半の「前に進まなきゃ」のほう。上手くまとめようとするワケではないのですが、2020年というコロナ禍に翻弄された1年のキーワードだと思ったりするのでした。どんな困難があろうとも、前に進まなきゃ。ザジフィルムズが引っ越しを決めて断捨離を決行したのも前に進むため。人間誰しも、前に進むために、試行錯誤、悩んでいるのです…と、だんだん大袈裟な話になってきた(笑)。

今回、この回の文章を書くにあたって、また字幕台本を読み返していて気付いたのですが、この「前に進まなきゃ」、ジーンが後半もう一度言ってました。最初に言う「前に進まなきゃ」は自分に都合のいい言い訳としての「前に進まなきゃ」でしたが、再度言う時は、本人の心からの実感、というか決意表明に聞こえました。どんなシーンで言うかは、見てのお楽しみ、ということで!

※トップ画像は、来日した監督たちのサイン入りプレスなど。色紙のサインは、『ジョン・レノン,  ニューヨーク』というドキュメンタリーを配給した際に、インタビューに答えてくださったオノ・ヨーコ氏のものと、もう一枚は『バッド・ジーニアス 危険な天使たち』のナタウット・プーンピリヤ監督のもの。

◆映画『ハッピー・オールド・イヤー』
 公式HP公式Twitter公式Instagram
12/11(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開! 

次の記事はこちら☞ 連載⑲「振り返るな」


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