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Histoire De Zazie Films 連載⑭    マラソンマン、あるいは、蛇の道はヘビ ~>゜)~~~

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旧作、新作すべて、今までのザジフィルムズのLINE UPを客観的に眺めてみて、燦然と違和感を放っている作品が何本かありますが、私の中では全部の作品が何の違和感もなく仲良く並んでいます。昨年末配給した『ゾンビ 日本初公開復元版』もそうですし、3年前公開したイタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』も「私がやらなければ!」という謎の使命感に燃えて買い付けた作品です。
では2014年に公開したオランダ映画『人生はマラソンだ!』についてはどうでしょうか?監督も日本では無名だし、世界の映画祭に出品されていたワケでもないし、オヤジたちの絵面は汚いし、映画自体も何だかベタベタで亜流っぽい…(と、自分でそこまで言うか)。

しかし当時、私の知り合いの間では「ああ、ついにそんな映画をやるのか!」という反応が多かったような気がします。私は30代後半から実際マラソンにハマっていて、本作を観た頃は走歴すでに15年ほど。マラソン用語でいうところの“サブスリー”(フルマラソンを3時間以内で完走すること)を目指して、気持ちも走力も一番アゲアゲだった時期でした。

作品との出会いは、これまた偶然。私がマラソンが趣味だと知っているスタッフのOが参加した映画見本市でたまたま見つけ、「こんなのありましたよ」と試写用DVDをもらってきて渡してくれたのです。Oは買付け検討用に渡したワケではなく、「趣味で観てみれば?」程度の気持ちだった、と述懐しています。私も買い付ける気など毛頭なく、メタボ気味のオヤジ4人組が一念発起してロッテルダム・マラソンに参加する、というシノプシスを読み、実際の大会で撮影を敢行したというレースシーンが、どれだけちゃんとしてるかな?というのを確認してみよう、と思った程度でした。

『人生はマラソンだ!』main

が、しかし!観てみたらこれがメチャメチャ面白かったんです。練習シーンも、本番のレースシーンにも“市民ランナーあるある”が散りばめられてて共感しまくり。おまけに最後は大泣きさせられてしまいました。

2005年に公開された韓国映画『マラソン』を、市民ランナーモニターとして先に観せて頂いたことがあるのですが、観ながら頭の中に?マークが浮かぶ描写が多々あって、「ちょっとどうかと思う」と素直に感想を伝えて、宣伝の方にムッとされた経験があります(笑)。レース前夜にコーチからシューズをプレゼントされ、それを履いて当日出走する、なんてありえません。「ふつう、前もって試し走りはするでしょう?」と思っちゃうし、市民レース中に倒れた主人公を避けてランナーたちが追い抜いていくシーンでは、「誰かしら声かけたり、助けたりするでしょう?」と、ドラマチックに運ぶための展開に、いちいち引っかかってしまう。『人生はマラソンだ!』にはそれが全くなかったのです。

宣伝には力が入りまくりました。市民ランナーならではの目線で、銭湯の脱衣場にポスターを貼ってもらったり、字幕監修を金哲彦さんにお願いしたり、夜間走行用のライトをタイアップでもらってきたり。アイデアが次から次に湧いてきました。私自身が千葉真子さんのラジオに出演して、インタビューに答えちゃったりもしました。一番の思い出は、KLMオランダ航空とタイアップして、実際のロッテルダム・マラソンに作家の角田光代さんと一緒に参加したこと。その完走記をNumber Doという雑誌に寄稿して頂いたりしました。そして前々回、触れたとおり、予告編ナレーションはふたたび原田知世さんに。もうやりたい放題(笑)。

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初日の土曜日は『24時間グリーンチャリティリレーマラソンinゆめのしま』というのにエントリーしていたので、初回の入りを確認した後、レースに参加しました(24時間で1周回1.3キロある公園を何周出来るかを競う大会で、グループで交代で走るのがメインの部ですが、私は一人で走る個人の部)。ランナー仲間はもちろん、劇場のYさんも、うちの会社のスタッフも後から応援に来てくれたりして、趣味と実益、公私混同グッチャグチャ(笑)。

しかし興行はスマッシュヒット止まり。心ひそかに大化けを狙っていたのですが、やはりビジュアルがむさくるしいオヤジばかりだったので、一般の女性層をゲットするのが難しかったようです。その代わり、市民ランナーへの宣伝はやれるだけやったので、全国の市民ランナーの方々が地元の劇場での公開時、大勢観に来てくださり、場内は日に焼けて痩せた中年男女が多かった、という話も聞きました。最初から最後まで楽しかったし、ちゃんと利益も出たので、私は大満足です(笑)。

社員の皆は迷惑だろうけど、またこんな映画やりたいな~。ちなみにフルマラソンの記録は、この頃がピーク。“サブスリー”は夢と消え、今は4時間切りも怪しくなりました…。

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