Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【10月4日㈬~10月10日㈫】
先週10月4日、釜山国際映画祭が開幕し、スケジュールほぼ丸かぶりで国内でも隔年開催の山形ドキュメンタリー映画祭が5日から始まり、どちらも今週閉幕。同業他社の皆さん、A社は釜山に、B社は山形に…と、映画祭シーズンたけなわ。弊社からも女子チームを釜山に送り込んでいたので、今週のザジ通信は、彼女たちの帰国を待って報告を聞き、伝聞で“釜山ネタ”を書こうと思っていました。が、今朝出社してきた彼女たちに「どうだった?」と聞いたところ、報告は約2分で終了。「チケットを取るのが大変だった」というのと、「一般観客はとにかく若い人が多かった」という情報しか得られませんでした。私は釜山映画祭に行ったことがないので(山形も未経験です)、話の広げようがありません。やっぱ自分で行かないとネタにはなり得ません…(トップ画像は、女子チームが撮ってきた釜山映画祭です)。
で、私はというと15日の日曜出発で、カンヌ→リヨン→パリの7泊9日出張に出かけてきます。カンヌでは4年ぶりにテレビ番組見本市MIPCOMに参加、リヨンは9月6日~13日の当通信で書いた通り、リュミエール映画祭への参加です。MIPCOMではセールス各社と2日半みっちりミーティングを行い、リュミエールもミーティング中心の2日間。修復版が完成したり、今後修復が予定されているクラシック作品のプレゼンテーションなども行われるので、情報を収集してくるつもりです。この円安、物価高の折、決して安くはない経費をかけて出張するので、実り多きものにしなければ…とプレッシャーかかりまくり。MIPCOMには同業他社の知り合いの方はほとんどいなさそうなので基本独り飯だし、“美食の街”と言われているリヨンでも、星付きのレストランに行く予定もなく、せっせと仕事することになるでしょう。
なので帰りに寄るパリの1泊が束の間の休息。ベルリンやカンヌの映画祭期間中は試写や取材で多忙を極め、なかなかゆっくりご飯をご一緒することの出来ないパリ在住の映画ジャーナリストの方々との土曜の夜のディナー(素敵なお店を予約してくれているらしいです!)を楽しみに、ハードな5日間を乗り切る所存です。翌日の日曜の朝はシネマテークで始まっているVIVA VARDA!展を観に行く予定。再来週の当通信で詳細にレポート出来るよう、しっかり観てきます!
新作は国内外の映画祭で探すことが多いのですが、今回のようなMIPCOM、リュミエール出張でのミッションは、クラシック作品の掘り起し。ご存じの通り、旧作の特集上映はうちの会社の大きな柱。最近もカール・テオドア・ドライヤーやジョン・カサヴェテス監督のレトロスペクティヴを企画、開催して、好評を頂いていますが、次にどんな企画を立ち上げたら良いか、こうした出張で様々な会社のセールス担当者とミーティングしているうちに、有益な情報がもたらされたり、アイデアが浮かんで来たりします。2018年に開催した『アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ』、去年末からの『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』などは、まさにそうした出張、ミーティングの積み重ねの中から生まれて来た企画です(今、書いてて気づいたのですが、ロブ=グリエやエテックスの特集は“レトロスペクティブ”なのに、カサヴェテスだけ、前回も今回も“レトロスペクティヴ”。その一貫性の無さは何故?笑)。
劇場でリバイバル公開はせず、DVD、ブルーレイ化するだけの作品の買付交渉、権利取得も、マーケットに参加する目的の一つ。そのための情報収集も欠かせません。こうしたマーケットでは海外のセールス会社が、権利を保有している作品のリストを持ち寄るので、それを入手してチェックするのも重要な仕事です。会社によっては数百本もの権利保有映画のタイトルが並ぶので、ざっと目を通すのも一苦労。原題名が並ぶリストなので、インターネットにタイトルを入力しては、日本で劇場公開されているか否かをチェック、公開されていたとしても、DVD、ブルーレイのマーケット的に価値のある作品か否か?を判断していきます。そんな作業を長年続けているので、フランス語もイタリア語も出来ないのに、原題を見て邦題がすぐに分かる、という特技も身についてます。「POURQUOI PAS!」と聞けば、80年日本公開のコリーヌ・セロー監督作『彼女と彼たち~なぜ、いけないの?~』と即答!みたいな(笑)。
DVD、ブルーレイが出たら喜んで頂けるだろうに、30年以上探していても、いまだに権利がどこにあるか分からない映画、行方不明になっている映画もあります。例えば…とここで実題名は出せませんが(競合他社さんも探していると思うので)、パッケージ化されていない映画には、されていないなりの権利的に複雑な理由があったりします。今回の出張には“権利捜索リスト”も携えて行くので、1本でも発掘出来れば…と思っている次第!
尚、来週の当通信の更新は、出張の最中。水、木、辺りにアップ出来るかどうか自信はありませんが、休載にならないよう、頑張ります!
さて。今週は年末開催のレトロスペクティヴの情報をお披露目しようと思っていたのですが、情報解禁がもうちょっと先になるので、こちらでの紹介もお預けです。が、一足先に劇場では(どこの?)今週末からチラシの配布がスタートする予定。そして今日は、その年末の番組の次、年明け1月下旬に公開が控えるクラシック作品のデザイン打ち合わせが行われました。こちらも早くお教えしたい!
texte de daisuke SHIMURA